銭形幸一
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モンキーは銭形について「かなり頭のキレる警部として描いたつもり」と記しており[7]、アニメでの狂言回しのような銭形に不満をにじませていた。実際原作での銭形は冷徹な性格で、口調等もクールで物静かであり、大抵の表情も口を真一文字に結んでいて、おちゃらけた表情も見せることはあるものの、取り乱したりしている場面なども含めてその頻度は少ない。「銭形流逮捕術の第一人者」であり、さらに「よく知られているルパンの顔や声は実は作られたもので、本当の素顔は(本人を除いて)誰も知らない」という、次元たちですら知らない事実を突き止めていること等から凄腕であることがうかがえ、ルパンの巧妙な仕掛けもあっさり見破ってしまうことが多く、故に非常に厄介な相手だとルパン達に認識されており、「まずは如何に銭形を出し抜くか」「銭形が来る前に、どうやって仕事を終わらせるか」にストーリーの主眼が置かれている。ルパンについては、「好敵手」と認めつつ「苦しませて処刑させる」のを目的としており[ep 38]、「八つ裂きにしても飽きたらないほど憎んでいる」と憎悪をも露にし[ep 39]、逮捕のためなら卑怯な手段も厭わないことから「俺たち悪党を相手にしてるとは言え、手口が汚い」とたびたびルパンに罵られている。

モンキーは劇場版『カリオストロの城』で描写された鋭い敏腕警部としての銭形の姿を「(監督の)宮崎駿さんの解釈がもっとも正しい」と語り、また自身が監督した劇場版『DEAD OR ALIVE』が公開される前にインタビューにて「銭形は、本当は天才なんです」と発言している。もっとも、原作でもルパンにあっさりと落とし穴にはめられるなどのドジな面もあり、またズボンが黒焦げになって下半身丸出しになったり(しかもルパンの忠告を聞かず発砲した結果)などと、酷い目にも遭っていて、軽率さ・間抜けな表情・コミカルな仕草も時折見せてはいる。

この設定の相違は、登場人物が次元を始めクールなキャラばかりなことに懸念を抱いた納谷悟朗が、差別化するため、また納谷自身が舞台では喜劇メインの役者だったこともあり、ディレクターに「銭形を原作より少し崩して描いてはどうか」と提案したことが発端となっている。このことについて納谷は1978年の対談では「人間味があっていい」と発言していた[8]他、後年には「あんな三枚目になるとは思わなかったですけどね」と回想している[9]

但し、納谷が担当した期間中でも銭形が切れ者として活躍するエピソードは何度か描かれており、声優が山寺宏一に交代して以降は、コミカルな描写を残しつつも比較的原作に近い存在として扱われている。TVスペシャル『東方見聞録』では当初から犯人の1人を見抜き盗聴器を仕掛け、敵の襲撃を一蹴する等、ヒロインの窮地を救うなどの活躍がある。PART4では、対ルパンで裏の裏をかいて逆にルパンを出し抜いたり[ep 40][ep 41]、些細な行為で不二子の変装を見破ったり[ep 40]、遺体の位置と弾の種類だけで次元の行動をほぼ正確に推理[ep 42]したりするなど、優秀で頭の切れる描写がかなり顕著になっており、『警部銭形』や実写ドラマ『銭形警部』では徹底的な現場検証及び地道な聞き込みを通して集めた物証や証言、些細な矛盾に着眼することによってルパン一味の犯行に見せかけた事件の真相を見事に暴いている[注 96]
女性関係・家族・住居

原作では家族については触れられておらず、銭形の既婚・未婚・家族構成、及び日本での住居の設定は作品によってその都度異なっている。

父親については描かれたことはないが、『PartIII』第2話では「国へ帰ったら、おふくろさんがなんて言うかなあ…」と母親のことに少しだけ触れている。

『TV第2シリーズ』では独身として演出されており(第100話で妻子の有無について「いない」「まだ」と発言している)、第69話では美しき未亡人ローラとのロマンスが描かれ、第85話では銭形との結婚を夢見る上司・ジャスミン局長から熱烈なアプローチを受け、銭形がプロポーズするまでに至っている。第69話「とっつあんの惚れた女」では、ニューヨークマフィアに狙われる大富豪の未亡人・ローラを助けるためにルパンに土下座までして協力を頼み、ローラに献身的に尽くし互いに想い合う仲になるが、彼女は非情な追手の放った凶弾に倒れて息を引き取り、銭形は亡骸を抱え号泣する。その後ルパン達によってローラの敵討ちが為されたことを見届け、傷心した姿をルパンに慰められるが「いいかルパン、今日のところは見逃してやる。しかし、明日からそうはいかん!分かったか?分かったら、さっさと帰って首を洗って待ってろ!!」と言い放ちルパン達と別れた。第85話「ICPO?指令」では銭形に思いを寄せるICPOの捜査局長・ジャスミン発案の作戦を行い、二人で変装して薄幸のカップルを演じてルパン達を罠に陥れて捕らえることに成功。その後ジャスミンから思いの丈を打ち明けられ、「自分はルパンがいる限り、結婚は絶対的に出来ない」と銭形は躊躇するが、「いくらルパンでも、あの特別製の牢獄からは出られない」と説得され遂に「結婚していただきたいのであります!」とプロポーズをする。しかし、その直後にルパン達が目の前に現れ、婚期を逃したショックでジャスミンが失神し、「おのれルパン、人の恋路を邪魔しおって!ワシは貴様を許さんぞ!!」と銭形は怒り、いつもの様にルパン達を追いかける場面で終幕している。

また『PartIII』第44話でも「温かい家庭も優しい妻も、かわいい子供も、俺には作ることが許されないのだ。妻が欲しい?子供が欲しい?」と号泣しており、独身である描写がされている。

劇場版『ルパンVS複製人間』では警視総監の発言から「としこ(表記不明)」という娘がいるという設定になっており、『風魔一族の陰謀』のオープニングでは妻(純和風の女性)と子供3人(しっかりした感じの小学生くらいの娘、その弟で銭形を子供化したようなわんぱくな少年、さらに物心ついたばかりぐらいの幼い男の子)が登場し、その中の女の子が「としこ」とされている。この時住んでいた飛騨の山寺に家族を預けたまま、銭形は現在も活動していることになっており、生活費は彼の給料からの仕送りと、風魔との戦いで知り合った墨縄家(五ェ門の婚約者・紫の実家)にも後見を頼んでいるとも言われている。

独身という設定になっているTVスペシャルシリーズでも『バイバイ・リバティー・危機一発!』 ではルパンに同行していたマイケルを身代金目的で誘拐されたと思いこんで保護しニューヨークまで送ってやったり、『ハリマオの財宝を追え!!』ではルパンと共に逮捕したダイアナにカップ麺をご馳走したり、『天使の策略 ?夢のカケラは殺しの香り?』ではドジばかりするエミリー(銭形をだますための演技であったが)に手を焼きながらも娘のように思うなど面倒見が良い一面を見せ、『炎の記憶?TOKYO CRISIS?』の終盤でまりやに「お父さんみたい」と評された(亡くなった父親の面影を銭形に重ね慕っていたことから発せられた言葉だったが、このとき銭形はガッカリした様子を見せている)。『PART5』でもルパンに託される形でアミを保護しており[ep 43]、その後も彼女とは連絡を取り合っているらしく学校での様子を聞こうと担任の教師に挨拶しようとしたり(その際、八咫烏から「親ですか」と苦笑されている[ep 44])、最終回では彼女の父であるエンゾもアパートを貸す形で保護をした。

血の刻印 ?永遠のMermaid?』では、母国である日本に帰国していても、多忙故なのかカプセルホテルで寝泊りしている姿が描かれている。TVスペシャル『炎の記憶?TOKYO CRISIS?』では、東京の古アパートに1人暮らし(大家の女性からは「こうちゃん」と呼ばれており、結構古い付き合いだと思われる。なお、このアパートは物語中盤で本作の黒幕によって放火され焼失した)だったが、スタッフは単身赴任とも独身とも視聴者個々の解釈に任せたとのことで、『ルパンVS複製人間』と『風魔一族の陰謀』における銭形の家族も公式設定ではあるが、本編で(必要性が無い限り)は触れられておらず、現行ではほぼ「抹消された設定」に近い形になっている。但しこれは銭形に限った話ではなく、上記のように『ルパン三世』シリーズにおいては、こうした一定しない設定、作品毎に異なる設定、明確にされずに曖昧なままの設定は数多く存在する。

PlayStation 2用ゲーム『ルパンには死を、銭形には恋を』では、護衛対象である銀麗とのロマンスが描かれており、ここでも独身であると話している。


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