銀河
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ハッブル分類では、S で示され、小文字 (a,b,c) で腕の粗密やバルジの規模を表し[21]、Sa(湾曲度合いが大きく個別の識別が不明瞭な腕を持ち、大きなバルジを持つ) やSc(腕は開放的で、そのバルジは小さい) [26]等と表記される。そのほか、羊毛状渦巻銀河(わずかな腕だけのもの)[27](または毛ふさ状渦巻銀河[28])や、グランドデザイン渦巻銀河(しっかりと識別可能で湾曲具合が激しい腕が観察できるもの)[29]などもある。

腕は、一様に回転する星の相互作用から、対数螺旋に近似した形状を持つ。星々と同様に、腕はバルジを中心に回転し、その角速度は一定である。この渦巻く腕は高密度の物質が集まる領域、もしくは密度波と考えられている[30]。星がこの腕の領域に入ると恒星系の宇宙速度が影響を受け、腕部分を抜けると元に戻る。これは、自動車が道路で渋滞にはまると速度が落ち、抜けると早くなる現象と酷似している。そしてこの高密度な状態が星形成を促進するため、腕は輝いて見える。つまりは、腕部分には若い星が多く存在する[31]NGC 1300。棒渦巻銀河の例。

大多数は、バルジから両方向に伸びる直線的な棒状の星の帯を持ち、渦巻構造と接続している[32]。ハッブル分類では SB で表し、小文字 (a,b,c) は渦巻銀河と同様に腕の粗密を表す[21]。この棒構造は、バルジ部分や他の銀河から寄せられた銀河潮汐力による密度波によって作られた一時的なものと考えられている[33]。また多くの棒渦巻銀河は、棒構造に沿ってガスがバルジに流れ込むため、活動的である[34]

天の川銀河は直径約3万パーセク、厚さ約1000パーセクの棒渦巻銀河である[35]。約2000億 (2×1011) の星があり[36]、全重量は太陽の6000億倍 (6×1011) である[37]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}ホーグの天体、リング銀河の例。NGC 5866、レンズ状銀河の例。
その他の形態

他の銀河との相互作用によって変わった特性を持つ異形の銀河がある。リング銀河(環状の星々が露出した中心部を取り巻いている。車輪銀河とも)は、比較的小さな銀河が渦巻銀河の中心部を通過することで生じると考えられている[20][38]。このような衝突は、赤外線分析の結果から多重環構造が見つかったアンドロメダ銀河でも起こったと考えられている[39]

楕円銀河と渦巻銀河双方の特徴を有する中間型のレンズ状銀河は、ハッブル分類では S0 で示され、不明瞭な渦巻き状の腕がありながら、楕円形状の銀河ハローを持つ[40]。ガスの量に乏しく、星形成は盛んではないと考えられている[20]

これ以外に、形態論上容易に分類できないものも多く、これらは一括して不規則銀河と呼ばれ、何らかの構造を持つがハッブル分類には当てはめられない種類は Irr-I、構造を持たない種類は Irr-II と識別される[41]。ガス成分が多く、星形成は活発だと考えられている[20]
矮小銀河詳細は「矮小銀河」を参照

大きな楕円・渦巻銀河が目立つが、宇宙のほとんどの銀河は規模が小さく、これらは矮小銀河と言い[20]、天の川銀河の100分の1程度に当たる数十億個の星を持つにとどまる。近年では差し渡しが100パーセク程度の非常に小さな矮小銀河が発見されている[42]

多くの矮小銀河は大きな銀河を周回していると考えられる。天の川銀河は少なくとも1ダースの矮小銀河を伴っており、未発見のものを含めれば300-500個程度があるものと思われる[43]矮小楕円銀河矮小渦巻銀河・不規則銀河といったものに区分される[20]。矮小楕円銀河の形状は大きな楕円銀河とかけ離れているため、矮小楕円体銀河とも呼ばれる。

天の川銀河周辺にある27個を調査した結果によると、星の総数は高々数百万であるのに対して、その中心部の質量は太陽質量のおよそ1千万倍であることがわかった。これは、銀河質量において暗黒物質が占める割合の高さを示し、また、規模の下限からウォームダークマターによって起こされる重力結合の限界を知ることができる可能性も示唆された[44]
異例な変動や活動
相互作用銀河詳細は「相互作用銀河」を参照触角銀河は、衝突を経て結果的に合体した銀河である。

集団の中にある銀河は、その直径と比べるとお互いの距離が近い。そのため、銀河間には相互作用が頻繁に働き、銀河に変化を与える重要な役割を果たす。銀河同士が接近すると、銀河潮汐力によってひずみや曲がりが生じ、さらにはガスや塵を交換させるようになる[45]

2つの銀河が互いに近づく際、通り抜けるに充分な相対的速度を持つ場合には、合体ではなく衝突が生じる。しかし、この過程で中の星々がぶつかり合うことは希で[46]、一般的にはやがて2つの銀河は通り過ぎてゆく。しかしガスや塵には合体が起こる。これが星間物質を掻き混ぜ、圧縮させると、爆発的な星形成に繋がる[46]。衝突は、棒や環、または尾っぽのような構造を銀河にもたらす[46][45]

相互作用の極端な例は、銀河の合体である。これは、接近速度が遅く、徐々に重なり合いながら単一の大きな銀河へ成長する。その形は、合体前と大きく変貌する場合がある。ただし大きさが極端に違う場合は銀河の共食い (Galactic cannibalism) と呼ばれ、小さな銀河は形を崩し、大きな銀河には比較的変化が生じない。天の川銀河は、現在いて座矮小楕円銀河おおいぬ座矮小銀河を捕食しつつある[45]M82は典型的なスターバースト銀河。星の生成率は通常の10倍に達する[47]。中心部から上下に広がる赤い放射は電離した水素ガスである[48]
スターバースト銀河詳細は「スターバースト銀河」を参照

恒星は、銀河内の巨大な分子雲で作られる冷たいガスから生成される。いくつかの銀河において、この星生成が例外的に活発な現象が発見され、これらはスターバースト銀河と呼ばれる。そこでは、銀河によっては通常の100-1000倍規模の星が生まれ、この過程で発せられる強い赤外線を観測できるものを超高光度赤外線銀河という[49]。しかしながら、このような状態が続くと銀河内のガスが急激に消費されるため、スターバースト状態は銀河の寿命から考えれば非常に短い1000万年程度しか持続しないと考えられている。初期の宇宙では、この形態が一般的だったと推定され[50]、現在でもすべての恒星生成の15%を占めている[51]

塵やガスが豊富で、大質量の星々が電離した雲で囲まれたHII領域を持つ[52]。これらの大質量星が起こす超新星爆発超新星残骸を撒き散らし、周囲のガスなどに強い作用を与える。そして、ガス領域の至る所で新しい星の生成を連鎖反応的に起こす。これは、利用可能なガスのほとんどが消費されるか広く分散してしまうまで続く[50]

しばしば相互作用銀河と関係する。この一つの例がM82であり、近接するより大きな銀河M81からの影響を受けている[48]。不規則銀河の存在は、宇宙におけるスターバースト活動のたかまりを示している場合がある[53]


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