太陽が銀河系内を運動する方向を太陽向点と呼ぶ。太陽の銀河系内運動の標準的な方向はベガの近くのこと座とヘルクレス座の境界付近で、銀河中心から約86度の方向である。太陽の銀河系内の軌道はほぼ楕円軌道で、これに銀河系の渦状腕や一様でない質量分布による摂動が加わっていると考えられている。太陽は現在、この軌道上の近銀点(銀河中心に最も近づく点)の手前約1/8の位置にいる。
太陽系が銀河系内の軌道を一周するには約2億2500万から2億5000万年ほどかかり[44]、太陽系が誕生してから現在までに約20?25周していると考えられている。太陽系の軌道速度は約220km/sで[45]、約8日で1天文単位、約1400年で1光年進む。 銀河系は、アンドロメダ銀河やさんかく座銀河 (M33) など約50個の銀河とともに局所銀河群を構成している[46]。局所銀河群の中で銀河系とアンドロメダ銀河は突出して大きな銀河であり、さんかく座銀河の約10倍の質量を持っている[47]。局所銀河群はおとめ座超銀河団の一部となっている。 銀河系には局所銀河群の数多くの矮小銀河が周回している。これらの矮小銀河の中で最も大きいものが直径約2万光年の大マゼラン雲である。これに対して最も小さいりゅうこつ座矮小銀河、りゅう座矮小銀河、しし座II矮小銀河 一般的な意味では、アインシュタインの特殊相対性理論によれば宇宙空間における物体の絶対速度という考え方には意味がない[48]。 このことを念頭において、多くの研究者は、近傍の銀河の観測位置に対して銀河系は約630km/sの速度で宇宙空間を運動していると考えている[49]。宇宙マイクロ波背景放射の非等方性の観測結果にも整合している。 21世紀初頭の推定ではこの値は130 km/sから1,000 km/sまでばらつきがある。仮に銀河系が600 km/sで運動しているとすると、我々は1日に5184万 km移動しており、1年では189億 km動くことになる。これは我々が毎年地球から冥王星までの距離の約4.5倍を移動していることを意味する。銀河系の運動方向はうみへび座の方向だと考えられている。 銀河系から約230万光年離れた位置にあるアンドロメダ銀河は秒速約122 kmの速度で銀河系に近づいており[50]、従って銀河系はアンドロメダ銀河と40億年後には衝突することが示唆されている[51]。この際、さんかく座銀河も同様に衝突する可能性が高いとされる[52]。この2個の銀河が衝突しても太陽やその他の恒星が互いに衝突する可能性は低いが、衝突から約30億年後には2個の銀河は合体して1個の楕円銀河を形成すると考えられている[53]。
銀河系の近傍
宇宙空間での速度
未来「銀河系とアンドロメダ銀河の衝突合体」も参照
ギャラリー
地球から見た天の川銀河中心部
地球から見た天の川銀河中心部
地球から見た天の川銀河中心部
レーザー光が銀河の中心を指している
脚注[脚注の使い方]
注釈^ a b 「天の川銀河」「銀河系」ともに文部科学省による学術用語集 天文学編(増訂版)に掲載されている学術用語である[7]
出典^ ⇒Mass distribution in our Galaxy - arXiv
^ a b ⇒How large is the Milky Way? - NASA
^ The disc of the Milky Way is bigger than we thought
^ a b c d e The mass of the Milky Way: Limits from a newly assembled set of halo objects, 2003