銀河系
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銀河系[注釈 1][8](ぎんがけい、: the Galaxy)または天の川銀河[注釈 1][8](あまのがわぎんが、: Milky Way Galaxy[8])は太陽系を含む銀河の名称である[8][9]。地球から見えるその帯状の姿は天の川と呼ばれる。

2000?4000億の恒星が含まれる棒渦巻銀河とされ[5][10]局所銀河群に属している。
概要

通常の銀河と同様、銀河系も数多くの恒星星間ガスなどの天体の集まりで、全質量は太陽の1兆2600億倍[4]と見積もられている。そのうち可視光などの電磁波を放出している質量の合計は5.1%以下の643億太陽質量[4]で、質量の大部分は正体が分からない暗黒物質である。中心付近には比較的古い恒星からなる密度の高いバルジを持ち、それを取り巻くように若い恒星や星間物質からなる直径約8万-10万光年ディスク(銀河円盤)がある。ディスク(銀河円盤)の厚さは中心部で約1万5000光年、周縁部で約1000光年で凸レンズ状の形状を持つ。ディスク(銀河円盤)の中には明るい星や散開星団散光星雲などが多く見られる渦状腕が存在する。大きさを相対的に例えると、銀河系を直径130 kmに縮めた場合、太陽系は約2 mほどの大きさになる。バルジとディスクのさらに外側には約130個の球状星団などからなる直径約25万から40万光年の球形の銀河ハローが存在する。銀河系の中心は地球の立場から見るといて座の方向に約3万光年離れた所に位置しており、いて座Aという強い電波源がある。いて座Aの中心部(いて座A*)には超大質量ブラックホールが存在することが確実視されていたが、2022年5月12日、ブラックホールの直接観測を目指す国際プロジェクトイベントホライズンテレスコープ (EHT) により、いて座A*に存在する超大質量ブラックホールの直接観測に成功したと発表された。ブラックホールの直接観測に成功したのはM87の中心にある超大質量ブラックホールに次いで観測史上2例目である[11]

天の川は天の赤道に対してはるか北のカシオペヤ座からはるか南のみなみじゅうじ座までの範囲に達している。このことから、地球の赤道面や軌道面である黄道面が銀河面に対して大きく傾いていることが分かる。また、天の川によって天球がほぼ同じ広さの二つの半球に分けられることから、太陽系は銀河面に近い位置にあることが分かる。

銀河系の絶対等級は直接測定することが不可能であるため確実な数値として表現することは出来ない。そこで研究者の間では、約-20.5等という値が慣習的に受け入れられている。
観測史
古代

銀河系の一部は地球上から天の川として観測できるが、肉眼では淡い光の帯としか見えないため、それが星々から成り立っていることは分かっていなかった[12]。多くの民族が天の川の正体に思いをはせ、さまざまな伝説が残されている[13]
科学ハーシェルが恒星の計数観測を元に描いた銀河系。中央やや左にある大きめの点が太陽系の位置を表す。

天の川が遠く離れた星々からなっているという説を最初に唱えたのは紀元前400年頃の学者デモクリトスである。その後、1609年ガリレオ・ガリレイ望遠鏡を使って天の川を観測し、天の川が無数のの集まりであることを確認した[14]1755年にはイマヌエル・カントが、天の川も太陽系と同様に多くの恒星が重力によって円盤状に回転している天体であるとする説を唱えた。1788年にはウィリアム・ハーシェルが恒星の見かけの明るさを距離に対応づけることで恒星の3次元的な空間分布を求める計数観測を行い、天の川が直径を約6000光年、厚みを約1000光年の円盤状の構造であるとし、太陽がそのほぼ中心にあるとした[15]

20世紀にはヤコブス・カプタインハーロー・シャプレーによってより正確な銀河系の構造が求められた。1908年にはハーバード大学天文台のヘンリエッタ・スワン・リービットケフェイド変光星の変光周期と絶対等級が比例する、いわゆる周期-光度関係を発見したことで[16]視差を利用できないほど遠方の星の距離が算出できるようになり、これを利用して1918年にシャプレーが天の川銀河の大きさを測定し、さらに太陽系の位置が銀河の中心から大きく外れていることを明らかにした[17]。1920年にはシャプレーとヒーバー・ダウスト・カーチスの間でいわゆる「大論争(The Great Debate)」が起き、その中でシャプレーは渦巻銀河が銀河系の内部に、カーチスは外部にあることを主張した[18]。この議論は1924年にエドウィン・ハッブルがアンドロメダ銀河までの距離を算出し、アンドロメダ銀河が銀河系外部に存在することが明らかになったため、銀河系以外にも銀河が存在することが確かめられた[19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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