銀河漂流バイファム13
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その後も39話前後での短縮エンディング、または12月までの3か月延長など、さまざまな提案があった。最終的に46話で完結することが決まったのは制作の最終段階(1984年6月)だった。こうした経緯は、当時発売された『ジ・アニメ』、『アニメック』などの各種ムック本で、当時としてはかなり詳しく紹介された。結局、時間帯変更以降はより低年齢層のファンの人気獲得のために、衛星タウトへ襲撃に向かう展開よりもさらに戦闘色が濃くなり(ククト星編)、旧来の一般的なロボットアニメ路線に近い内容へモディファイされた。当初は子供たちだけで地球まで目指すストーリーで進められていたのを、テコ入れのため敵衛星タウトに同胞捕虜救出のため襲撃に向かう展開に差し替えられた。それに合わせてBGMも新曲にほぼ置き換えられ、主役ロボットには強化装備が追加され、主人公ロディのキャラクターデザインも活発でアグレッシブなものに差し替えられるとともに、敵軍にライバルキャラクターも登場した(異星人陣営が姿を見せて全貌を現した)。また3クール目からの放送時間帯変更を機に、放送を打ち切りにした地方局がいくつかあったため、これに対して、当時の中学生・高校生を中心とするアニメファンが番組存続の署名運動を敢行して地元テレビ局に集まった署名を提出し、一部の局で放送継続の決定に至ったというエピソードがある[8]。この模様は当時の『朝日新聞』でも取り上げられた。結局、後半がそのまま打ち切りとなった地域では、当番組はタウト星到達前で最終回だという認識のまま長年を過ごした(成人後も真相を聞くまで知らなかった)人々が散見されていた[要出典]。

本作品は時間帯変更や打ち切りの話しや最後の数話が制作されなかったことで不人気というイメージがあるが、実際はヒット作と言ってもよい成績だった[2]。まず5誌ほどあった当時のアニメ誌で、1年弱の間に表紙になった回数は10回以上、つまりほぼ1ヵ月に一度の割合だった[2]。関連ムック、書籍の出版点数も10冊を超え、全て合わせると数十万部という数字になる[2]。主題歌であるTAOの『HELLO, VIFAM』のシングルEPは30万枚を売り上げ、本作品で初めてテレビアニメの音楽を手掛けた渡辺俊幸[注釈 9]によるサウンドトラックはいずれもヒット作となった[2]。中でも放送終了翌月に発売された『銀河漂流バイファム総集編』(K-5505-6) は、オリコンLPチャートで最高10位[10]を記録した[注釈 10]。本放送後にも後日談を扱ったOVA作品が4作[注釈 11]も制作された[2]。その一方で、メイン商品であるバンダイのプラモデルの売上は、一応黒字ではあったと言われるが、ガンプラのような大ヒットというわけではなかった[2]。特に敵メカの売上は芳しくなく、多くの機体が商品化されなかった[2]。関連商品の売上が好調の中で、メイン商品のプラモデルの売上はほどほどという現象から、本作が従来のロボットアニメの顧客層ではなく、アニメファンたちによって支持された作品であったことがわかる[2]
作品の特徴

テレビアニメ番組としては実験的な試みがいくつかされており、以下にその例を挙げる。

アバンタイトルを導入した。3クール目以降は時短優先のため廃止された。

次回予告はテキストとアイキャッチのみとした。

敵陣営の説明描写を極力行わず、視聴者にもその概要を作中ではなるべく明かさない。3クール目以降は敵の母星と衛星が舞台となり、むしろ説明描写やコンタクトがストーリーの中心となった。

オープニング主題歌の歌詞がすべて英語。3クール目以降は時短のため再生速度が早められ、一部カットするなどの時短編集も行われていた。

ゴールデンタイムの毎週金曜19時という破格の枠での全国ネット。ただし裏番組は『ドラえもん』であったため、視聴率が悪かった。

姿勢制御バーニア描写の徹底。バーニア噴射方向にしか機体が進まず、方向転換も制動もバーニア噴射、という物理学的描写の徹底ぶりは、本作以降はほとんど見受けられない。

主役ロボットは量産機で、地味なカラーリング。半年前に放送開始の『装甲騎兵ボトムズ』でもこの手法が採用されていた。デザイナーの大河原邦男はこれについて「あまり上出来ではない」と後に言及している[11]

主役ロボットは1クールにわたって登場せず、序盤に少し出た後は2クール目まで登場しなかった。

子供たちは最後まで全員死なない。当初は脚本家のアイデアレベルでは低視聴率へのテコ入れのための死亡演出も想定にあったものの、放送中の企画会議で監督によりこの方針が通達された。

パイロットおよび艦船オペレーターは一般人の小中学生のみ。当初および後に至るまで、軍隊や勢力など組織に所属することは一切なく、最後までただの仲間同士、普通の小中学生の子供たちのみであった。有事に軍服やパイロットスーツも着ることは一部の例外を除いて一切ない。

音声対話型コンピュータの採用。それまでの作品のようなごくわずかな補助的な描写ではなく、作品世界における中核技術として、艦船やロボットの内蔵AIと乗員との会話が頻繁に描写され、メカニカル方面の魅力として作品人気の増加要因となった[要出典]。この手法は後の『レイズナー』に受け継がれている。

デザイン

キャラクターデザインは芦田豊雄、メカニカルデザインは大河原邦男が手掛けた[12]。また、当時サンライズに入社したばかりの永野護が大河原がデザインしなかった一部のゲストメカのデザインを担当している[注釈 12][12]


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