鉱物
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新鉱物の名称は、通常、その鉱物の産出地、発見者(申請者自身が発見者である場合を除く)、著名な鉱物学者、性質に基づいて命名される。名称はラテン文字で表記する(ラテン文字で表記されない言語の名称の場合は、ラテン文字に翻字する)こととされており、新鉱物の承認の投票に参加した委員から過半数の賛成を得ることにより承認される[3]。名称の語尾には「-ite」か「-lite」をつけることが多い。

鉱物の和名について、日本鉱物学会(2007年に日本岩石鉱物鉱床学会と統合して日本鉱物科学会となった)では1955年以降、「石」と「鉱」以外は片仮名で書くことを取り決めている。その際、「石」は非金属光沢を持つ鉱物、「鉱」は金属光沢を持つ鉱物に用いる。しかし、片仮名では意味が取りにくいため、実際には漢字で書かれることが多い。
岩石、鉱石との違い

鉱物 - その組成がほぼ単一なもので、なおかつ単結晶であるもの。組成が単一であっても複数の結晶を含む場合は岩石として扱われる。
大理石方解石の結晶により構成されるが、その組成は単結晶ではなく複数の結晶の集合体であるため鉱物ではなく岩石である。

岩石 - 組成が非均質であり、鉱物の集合によって構成されているもの。花崗岩石英長石雲母などの鉱物の集合からなっているため、鉱物ではなく岩石である。

鉱石 - 鉱物や岩石を資源として扱う場合に用いられる通称である。鉄鉱石硫化鉄鉱ろう石石灰石など。

性質

鉱物の性質は次のような項目で表現される。
光学的性質


- 比較的、微量成分の影響を受けやすい。また、紫外線などにより変色する場合がある。

条痕色 - 硬く、表面の粗い板に擦り付けたときにできる線を条痕といい、この色を条痕色という。条痕色は鉱物を粉末にしたときの色と等しい。条痕色は必ずしも鉱物結晶の色と同じではない。

光沢 - 結晶表面の質感。結晶表面の屈折率、反射率の影響でこの質感が決まる。光沢の表現は、金属光沢、ダイヤモンド光沢、ガラス光沢、樹脂光沢、脂肪光沢、真珠光沢、絹光沢など。

蛍光 - 熱や紫外線により蛍光を示すことがある。

屈折率 - 一般には密度の大きい物質ほど大きな屈折率を示す。単屈折と複屈折がある。造岩鉱物では、しばしば資料の薄片を偏光顕微鏡にかけ複屈折の大きさにより鉱物種を判断する。

化学的性質


化学組成 - その鉱物に含まれる元素の種類と割合。

結晶構造 - 結晶中で原子がどのように並んでいるかということ。

物理的性質


結晶系 - 晶系とも言う。結晶がどのような対称性を持っているかを表す。結晶格子を参照。

硬度 - 鉱物の硬さを表すときにはモース硬度が用いられる。硬度はゆっくりとこすり合わせたときの硬さであり、物理的な衝撃力に対する堅さではない。1?10の数字で表す。ビッカース硬度を用いる場合もある。

比重 - 水の重さを1としたときの重さ。

劈開 - 結晶構造によっては特定方向に割れやすい性質があり、これを劈開面という。鉱物によっては劈開を持たないものもある。劈開の表現は、きわめて完全、完全、不完全、きわめて明瞭、明瞭、不明瞭、無し。

断口 - 割れ口のことで、鉱物種によっては特徴的な割れ口を示すものがある。貝殻状断口、亜貝殻状断口など。

化学組成による分類詳細は「鉱物の一覧」を参照「シュツルンツ分類」も参照

元素鉱物以外の分類は、含まれる負イオンの種類によって行なわれる。また、リン酸塩鉱物とバナジン酸塩鉱物のように負イオンの性質および形状が類似するものは、分類方法によっては一つのグループとされる場合がある。
元素鉱物
単独の元素からなる鉱物。自然金(Au)、自然銀(Ag)、自然銅(Cu)、自然蒼鉛(Bi)、自然テルル(Te)、自然硫黄(S)、石墨ダイヤモンド(C)など。自然真鍮(CuZn)のように特有の結晶構造をもつ合金についてもここに分類される。ただし合金であってもイリジウム-オスミウムのように単純に固溶体を形成しているだけの場合は鉱物種とはならない。


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