鉄道
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だが20世紀前半からモータリゼーションが進展したり(20世紀半ばころから)航空交通が発達したので、鉄道はその役割を年々縮小してきている[2]。1980年代の欧米の(全交通機関輸送量に占める)鉄道輸送のシェアを見てみると、旅客輸送では、イギリス、フランス、旧西ドイツが7 - 11 %、アメリカが1 %、貨物輸送では12 - 38 %となっていた[2]。1997年の鉄道旅客輸送は、イギリス、フランス、ドイツが6 - 7 %、アメリカ1 %となっていた[2](つまり、さらにシェアが減少した)。1997年の貨物輸送を見てみると、イギリス7 %、フランス、ドイツが20 - 22 %、アメリカ40 %である。よって、欧米の鉄道ではそれぞれの国の交通体系のなかでの「鉄道の役割」というのは、旅客輸送より貨物輸送のほうが大きい[2]。なお日本の鉄道での諸交通体系に占めるシェアも、モータリゼーションの進展とともに低下してきており、1955年(昭和30年)時点で日本の鉄道のシェアは、旅客輸送が82 %、貨物輸送が53 %であったが、1984年(昭和59年)には、旅客輸送が39 %、貨物輸送が5 %にまで減少し、1997年(平成9年)時点で旅客輸送は22 %、貨物輸送は5 %となっていた[2]。欧米のデータと比較すれば一目了然であるが、日本の鉄道では、貨物輸送より旅客輸送の役割が大きいことが特徴となっている[2]。こうした状況下で世界的に鉄道に期待されている機能と役割は、高速鉄道に象徴されるような「スピード」(移動の速さ)と、都市圏での通勤通学輸送にみられるような「輸送密度の高い大量輸送」である[2]
分類、種類

技術、経済、法制などの観点から分類可能である。
技術的分類

鉄道は、技術的には、軌道・車両の構造、軌道の敷設面、軌間、車両の動力源などに基づいて分類できる[2]
軌道・車両の構造による分類
普通鉄道と特殊鉄道に分類できる。普通鉄道は、2本のレールの上に自走する車両を運行させる一般的な鉄道である[2]。対して特殊鉄道は、普通鉄道とは異なるものをまとめて呼ぶ総称であり、たとえば普通鉄道に特別な装備を付加した歯車式鉄道(ラックレール式鉄道アプト式、シュトループ式など)と、全然別の構造の単軌条式鉄道(モノレール)、案内軌条式鉄道新交通システムを含む)、鋼索鉄道(ケーブルカー)などがあり[2]、さらに言うと「特殊鉄道」には(次第に「鉄道」なのかあいまいな領域になるが)索道(ロープウェー)、無軌条電車(トロリーバス)、磁気浮上式鉄道リニアモーターカー、マグレブトレイン 等)なども含められることになる。
軌道の敷設面による分類
大まかには、「地表に敷設する鉄道」「高架鉄道」「地下鉄道(地下鉄)」の3種にわけられる。

地表に敷設する鉄道には、専用の用地に敷設する一般の鉄道と、道路上に敷設する路面電車がある。

高架鉄道は、交通の頻繁な道路や他の鉄道との平面交差を避けるために、高架構造上にレールを敷設するものである。

地下鉄道は、都市の地下のトンネル内に敷設する。

軌間(ゲージ)による分類
大まかには、「標準軌鉄道」「広軌鉄道」「狭軌鉄道」の3種にわけられる。

標準軌鉄道は、ヨーロッパ・アメリカなど世界の70 - 75 %が採用しており、日本の新幹線や一部の私鉄も採用している、1435ミリメートルゲージである[2]

広軌鉄道は、標準軌間より広いゲージで、スペインインドの1672ミリメートルゲージ、旧ソ連地域の1525ミリメートルゲージがある[2]

狭軌鉄道には、ニュージーランド、南アフリカ共和国、日本の旧国鉄在来線や多くの私鉄などの1067ミリメートルゲージ、またタイミャンマー、スイスの私鉄などの1000ミリメートルゲージなどがある[2]
日本の新幹線は「標準軌」で、在来線が「狭軌」である[2]
経済的分類
経営形態による分類

経営形態による分類がある。たとえば私企業による経営や、国による所有「国有」、国による経営「国営」などである。

世界の鉄道は、初期の段階においては(規模がまだ限られていたので)株式会社の形態が多かったが、やがて全国的な鉄道網の形成に伴い国有国営の形態をとるものが多くなっていった[2]。その後多くが、分割されたり、一部を分離独立させたり、民営化するなど多様な道を進むことになった。

欧州を見てみると、イギリスの鉄道1947年の法律によって国有化され、その後、1963年から公共企業体として運営されていたが、1994年に分割・民営化された。フランスの鉄道は、1937年の「公私混合株式会社」の発足以来、国有化の道を歩み始め、1983年からは全額政府出資の事業体として運営されていたが、1997年1月フランス国鉄 (SNCF) は、鉄道線路の建設と維持管理とを行うフランス鉄道線路事業公社 (RFF) を分離独立させ、フランス国鉄 (SNCF) 自体は鉄道輸送に専念する事業体となった。ドイツの鉄道は、1920年のドイツ国有鉄道の設立により国有化されたが、第二次世界大戦後1951年の東西ドイツの分裂により、西ドイツは「ドイツ連邦鉄道」、東ドイツは「東ドイツ国鉄」として国有国営の事業体となった。1990年の東西ドイツ統一以降、1994年に東西両国鉄が「連邦鉄道財産機構」として統合され、その後業務別に三つの組織に分割されていった。

アメリカの鉄道は、第一次世界大戦中に一時期、国の管理下に置かれたことがあるが、基本的には民間の運営であった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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