鉄道
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その後、車輪外周の内側につば状の輪縁(フランジ)をつけることでレールのほうのL字型は止め、レールの頭部の内側を走る、現在と同様の方式となった[2]。この段階で、車両の動力源は人力の力(馬力)であったが、18世紀の後半にワットが改良した蒸気機関をさらに改良利用する方法が多くの人によって研究され、1804年にイギリスのリチャード・トレビシック(1771―1833)が、初めてレールの上を走る蒸気機関車を製作し、馬にかわって、石炭の運搬車を引かせることに一応は成功した[2]。そして、1825年にイギリスダラム州ストックトン&ダーリントン鉄道が開業し、鉄道会社が予め作成した運行スケジュールに従って列車が運行される、現代の鉄道とほぼ同様の形態が採用された。

イギリス国立鉄道博物館にも展示されている写真(1920年9月)。狭軌の鉄道と、そこを走る蒸気機関車Pixie。おそらく露天掘り採石場で、蒸気を動力として動く機械で石を積み込んでいる。

鉄道の敷設工事(1926年頃、オーストラリアの西部)。鉄道という交通システムを構築するには、用地を確保して土地を平らにして鉄道(鉄のレール)を敷設しなければならない。土地の権利取得も大変であるし、工事も時に難工事の連続となる。

鉄道の敷設や保守(1942年、オランダ)

構造高架に敷設された単線の線路

線路は地上に敷設されていることが多いが、都市部や地形に制約のある場所、また高速走行を行うための路線では地下高架に線路を敷設している。特に地下に敷設される路線は地下鉄と呼ぶ。
軌道「軌道 (鉄道)」も参照

軌道は2本のレール枕木の上に平行に敷設したものであり、システムによっては3本以上のレールを用いる。レールと枕木はバラストと呼ばれる砂利コンクリート製の道床によって支えられる。特に、道床に砂利を用いたものをバラスト軌道と呼ぶ。コンクリート製のものでは、道床と枕木の機能が一体化したスラブ軌道や、コンクリート製の基礎にレールを直結し枕木を省略した形態も存在する。
軌間詳細は「軌間」を参照

2本のレールの間隔を軌間(ゲージ)という。軌間は世界で規格が異なる。三線軌条などの混合軌間、軌間可変車両ロールボックなどのテクノロジーで異なる軌間の路線でも車両の直通が可能だが、通常の車両では直通で旅客や貨物が輸送できない問題がある。規格が異なる理由は、戦争時に自国内の鉄道インフラをそのまま使わせない、もしくは初期の鉄道関連会社の慣習上の理由による[3][4]。ただ利便性が悪いのも確かで国ごとに規格争い(鉄道ゲージ戦争)も発生する(日本の改軌論争、ブリティッシュの改軌論争(英語版)、エリーの改軌論争(英語版))[4]
車両詳細は「鉄道車両」を参照

鉄道の車両を動力源によって分類した場合、蒸気機関を動力として用いる蒸気機関車、その他の内燃機関を動力とする気動車ディーゼル機関車電気モーターを動力とする電車電気機関車がある。鉄道車両は1両でも用いることができるが、多数の車両を連結でき、その利点を活用して旅客や貨物を一編成(ひとつらなりの形)で大量に輸送することが可能である。

鉄道車両は、異なる軌間の区間に乗り入れることが困難である。軌間を切り替える手法としては、まず境界駅で台車を交換する方法がある。この方法は、広軌の旧ソ連圏と、これに接する標準軌の中国や東ヨーロッパを直通する列車などで採用されている。しかし、この方法では、電車や機関車など、モーターを持つ台車の取替はできず、また作業のため、国境駅で3時間以上待たなくてはいけないなどの問題がある[5]。また、スペインの「タルゴ」「Alvia」で特殊な設備を用いて乗客を乗せたまま自国の1668 mmと周辺他国の1435 mmを切り替える方法が実用化されている。また、日本では、乗客を乗せたまま軌間切り替え可能なフリーゲージトレインの実用化試験が行われている。

他にも、異なる路線の鉄道車両の乗り入れが困難である場合が存在する。建築限界車両限界が路線によって異なる場合も、乗り入れの障害となる。例としては車両限界の大きい新幹線と、車両限界の小さい在来線を改軌した区間を直通するミニ新幹線のように、在来線の車両サイズで作らざるを得なくなる。直流交流といった電気方式が区間によって異なる場合には、直通するためには製作コストの高い双方の電気方式に対応した車両を使用するか、機関車を付け替えるなどの必要が生じるが、電気方式が同じでも、電圧が区間によって異なる場合は、複電圧方式の車両が必要となる。
駅「鉄道駅」も参照

鉄道駅は、列車が止まり、人が列車に乗り降りしたり、貨物を積み降ろしする場所である。基本的には線路とプラットホームから構成され、中程度以上であれば駅舎やさまざまな関連施設がある。貨物駅であればさらに貨物ターミナルから構成される。さまざまな分類法がある。
踏切「踏切」も参照

鉄道と道路が平面的に交差する場所には踏切が設置される。

日本では、踏切の通行は鉄道に優先権があり、道路交通を遮断することとなる。列車運行本数が多い場合は遮断時間が長くなり、交通渋滞の原因となり、甚だしい場合には「開かずの踏切」が生まれる。踏切を解消するため連続立体交差事業が進められている。
周辺設備

鉄道の中には、単に線路と列車と駅により構成されているだけに留まらず、変電所[6] や指令所[7] などを備えるものがある。電車は電力で走ることから、線路と平行して電線路が敷設され、それに伴い、鉄道変電所や電源の管理する施設が備えられている。また、複雑化した鉄道ネットワークにおいては、過密なダイヤや突発的な事故に対応するため、一箇所で集中的に列車の管理を行うこともある。
運営

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2017年3月)

鉄道の運営を行う鉄道事業者は、民間企業によるものと、特殊法人地方公共団体が行うものなどがある。なお、日本においては日本国有鉄道分割民営化と、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)の特殊会社化に伴い、いわゆる「国営の鉄道事業者」は現存しない。ただし、日本国有鉄道の事業を継承したJRグループのうち、北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、日本貨物鉄道(JR貨物)、および帝都高速度交通営団の事業を継承した東京地下鉄(東京メトロ)については、国や独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が一部または全部の株式を保有している[8][9]。したがって、現在の日本国政府が、鉄道事業の経営にまったく関与していないわけではない。

鉄道は、線路・駅などのインフラストラクチャーに対する投資コストが大きく、固定費率が大きいことから損益分岐点が高く、黒字となるには一定以上の輸送量、利用客数が必要となる。このため、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}欧米では「鉄道は公共財であり、また一度無くなると元に戻すことは難しいことから、赤字は基本である」(日本政策投資銀行 浅井康次)という認識であるとの紹介がある[要出典]。また、相当な利益を上げないと既存路線の高速化自動列車保安装置設置、駅のバリアフリー化やホームドア設置、パークアンドライド駐車場設置などの鉄道サービスや安全性向上も困難である。


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