鉄道事故の多くは道路交通と平面交差する踏切や、利用客と鉄道との接点である駅のホーム、急カーブ、単線、地上の線路で発生している。これらの事故に対して、踏切では立体交差化、駅のプラットホームではホームドアの設置、カーブではカントの設置及びカント量の上限を超えない範囲内での引き上げや脱線防止ガード設置、鉄道路線全般では自動列車保安装置の装備といった防止措置がとられる。
鉄道は、飛行機・船と同様、一度に大量の人員を輸送できる故に、一度事故になると大惨事になり得る。ただし、鉄道での死亡事故の大半は駅構内や踏切で起こる接触・衝突事故で、大量死亡事故は非常に少ない[要出典]。 鉄車輪と鉄軌道との摩擦力が小さいという理由により、自動車ほど急勾配を上り下りすることができない。自動車の勾配は立体駐車場などの1/6(水平に6 m進むと1 m高くなる)が最急だと言われているが、鉄道では25 ‰程度が常用の限度とされている。より急な線区も存在する(例えば小田急箱根鉄道線には80 ‰勾配が存在する)が、その場合建設や運転に不利になる[18]。そのため、山岳などの障害物を迂回したり、トンネル掘削による障害物回避、あるいはループ線やスイッチバックを設置するなどを行う必要がある。また、これらの対策でもどうにもならない急勾配は、ラックレール等を用いることで対処する場合もある。ただし最近では、ICE 3など、一部の高性能車両は連続40 ‰勾配路線を300 km/hにて走行可能であり、高性能車両を用いることで、トンネル掘削などの投資を抑えることが可能となりつつある。 また摩擦力・粘着力によって加速度を得ることが、自動車に比べて難しく、急加速・急減速が困難である。普通鉄道の最高速度は574.8 km/hだが、営業上の最高速度は320 km/hにとどまっている(「高速鉄道の最高速度記録の歴史」を参照)。この限界を突破するために浮上走行が考案されたが、その一つがリニアモーターカーである。 急減速が利かない欠点に対しては線路を一定区間に区切り、1つの区間に同時に2本以上の列車を入れない閉塞という概念・設備を導入して列車同士の衝突事故を防いでいる。ブレーキの改良も進められている。 また、鉄道は曲線にも弱い。曲線では遠心力が働くが、遠心力による横からの力に対して鉄道は自動車より弱い。よって、鉄道と自動車が同じ半径の曲線を通過する際には、鉄道の通過速度を自動車よりずっと小さくする必要が生じる。この欠点を小さくしようとすれば曲線を緩くする以外に方法はない[19]。 路上を自由自在に走行できる道路交通とは違い、レールの上しか走行できないという制約があるため、わずかな障害によって広範囲で正常運転ができなくなることが多い[20]。人身事故が発生すると、多くの列車に影響が出る[21]。また土砂災害や地震など、自然災害を受けると復旧までにかなりの時間を要し、迂回路がない場合、バスなどの代替輸送に頼らざるを得ない。強風にも弱く、強風のため長時間運行が停止されることもしばしば発生する[22]。ただし積雪の際に自動車よりも安全に運行できる鉄道は、地域によっては冬場の市民の貴重な足となりうる。 鉄道は建設と維持に莫大な費用を必要とし、特に地方の閑散線区では採算性が低くなりやすい[23]。それでも鉄道の維持を選択する場合は、公的資金の投入が必要となることがある。一例を挙げると、2011年(平成23年)7月の豪雨災害で不通となったJR東日本只見線会津川口 - 只見間は、線路などを地元自治体が所有する「上下分離方式」を採用して復旧することが決定した。復旧に際し沿線市町村と福島県は復旧費を約54億円負担し、復旧後は沿線市町村と福島県が年間運営費として約2億1000万円負担することになると見積もられている[24]。 鉄道はエネルギーあたりの輸送効率が良く、自動車交通や航空交通などと比較して排出される二酸化炭素 (CO2) が少ない。東京-大阪の旅客輸送について、鉄道と自動車一人あたりの二酸化炭素排出量を試算すると、鉄道は自動車の6分の1であると報告されている[25]。 かつては蒸気機関車の煤煙が大きな問題であったが、日本国内の鉄道は電化が進み、ディーゼル機関を利用した非電化鉄道が残っているものの、排気中の汚染物質が問題になることは少ない。 一方、国外(主に発展途上国)においては電化されていない鉄道が現在も大量に走っており、そうした地域では大気汚染の大きな原因の一つとなっている[26][27][28]。 新規開発は地域の利便性が大きく向上し経済発展に繋がるが、森林等自然が残るエリアを開拓する形で行われるため自然破壊(森林破壊)に直結している。ブラジル・アマゾン熱帯雨林の鉄道を含む開発事業は国際的に大きな非難を浴びている。また日本国内ではリニア新幹線の開発が現地住民やNGOなどから批判され、抗議運動を起こされている[29][30][31][32]。
短所
環境負荷
CO2
排気中の汚染物質
開発に伴う自然破壊
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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