鉄道の最高速度
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2024年現在、特急列車以外で130 km/h 運転が行われる路線および列車は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の常磐線(E531系電車)、東海旅客鉄道の中央本線[1]315系[2])、西日本旅客鉄道(JR西日本)の琵琶湖線・湖西線・JR京都線JR神戸線223系及び225系電車新快速)、JR西日本・四国旅客鉄道(JR四国)の瀬戸大橋線予讃線5000系・223系5000番台の快速マリンライナー)などが挙げられる[3]

私鉄ほど細分化されていないが、電化非電化の違いや、複線単線かを始めとした線路規格、閉塞方式などの差に起因して区間ごとに最高速度が変わる路線もある(大糸線室蘭本線宗谷本線山陰本線日豊本線など多数)。東海道本線一つ取っても、現在はJR東日本の戸塚 - 小田原間および品鶴線区間とJR東海の豊橋 - 米原間が120 km/h、JR西日本の米原 - 神戸間が130 km/h、それ以外(垂井線、美濃赤坂線などの支線を除く)が110 km/h と区間によって異なってきている。

国鉄・JRでは内部規程において各線区における列車別で異なる最高速度を設定しており、必ずしも全列車が線区最高速度で走行可能ではない。国鉄・JRでは各線区において列車を「高性能列車」と「その他の列車」の2種類、あるいは必要に応じて「高性能列車」のうちの「高性能優等列車」を加えた3種類の列車別で最高速度を設定する形を原則としており、「高性能優等列車」あるいは「高性能列車」は線区最高速度と同一だが、「その他の高性能列車」は線区最高速度と同一か若干遅い最高速度が設定され、「その他の列車」については上限を110km/hとして、東海道本線などごく少数の路線を除き線区最高速度より遅い最高速度が設定されている。ここでいう「高性能列車」とは、国鉄・JRにおいて気動車と、当初は電車については指定された新性能電車のみであったが、国鉄分割民営化の時点では車両の形式別最高速度が95km/h以下の電車を除いた新性能電車と定義されている[4]。「高性能優等列車」については、原則として高性能列車のみで組成された特急と、国鉄では定員制の急行を加え、現在の各JRでは更に非定員制の急行を加えるケースや、非定員制の急行は加えず定員制の非優等列車を加えるケースもあるなど定義が異なっている[5]。しかしいずれにせよ高性能列車以外の車両は優等列車であっても「高性能優等列車」に含まれない。このため客車列車による優等列車は、ほとんどの線区で「その他の列車」の最高速度が「その他の高性能列車」より10km/h以上遅い規定となっていることもあり、電車や気動車の非優等列車より最高速度が遅くなることが多い。もともと国鉄では列車別での最高速度を規定していなかったが、昭和30年代に気動車の速度向上を目的として気動車と気動車以外で各線路種別の最高速度が分けて規定され、後に新性能電車が気動車側に加わり「高性能列車」となった。「高性能優等列車」については、東海道本線から始まった最高速度110km/h化の特例の時点では車両形式と列車名で対象列車を指定する形式であったが、後にヨンサントオで各線区の最高速度を120km/h化するにあたって整理され、「高性能優等列車」という形に落ち着いた物である。

国鉄によって計画され、第三セクター智頭急行によって開業された智頭線においても、「スーパーはくと」が130 km/hで運転されている。


以下は、私鉄各社が路線・区間・列車種別・使用車両ごとに届け出、認可を受けたうちの、路線ごとの最高速度。

私鉄では戦後間もない1947年近畿日本鉄道大阪線山田線)が、1949年に京阪神急行電鉄(神戸本線京都本線)が110 km/h の運輸省認可を取得。まだ高性能車(国鉄呼称では新性能車)は登場しておらず、電車はすべて吊り掛け駆動、また多くが自動ブレーキの時代であった。以降阪神電気鉄道阪神本線1954年、高性能車登場時。ATS導入後は106 km/h)、名古屋鉄道名古屋本線1961年)、東武鉄道伊勢崎線日光線1962年)、小田急電鉄小田原線1963年)が順次110 km/h運転を開始した。以上6社のうち初めの3社が標準軌、のちの3社が狭軌である。なお当時、阪急神戸本線と阪神本線は軌道法準拠で架線電圧も600 V であった。

近鉄は1988年に私鉄で初めて120 km/h 運転を開始、現在は大阪線・志摩線などの一部区間で130 km/h 運転を行っている。その他では1990年以降、東武(日光線)、京浜急行電鉄本線の一部、大半が通勤形電車)、名鉄(名古屋本線・常滑線空港線。名古屋本線のみ通勤形電車を含む)、南海電気鉄道空港線)が120 km/h、阪急電鉄(神戸本線・京都本線)が115 km/h へと最高速度を引き上げた。

新規に開業した北越急行ほくほく線では、2002年から特急「はくたか」において最高160 km/h 運転が実施され、2010年からは京成電鉄成田空港線でも「スカイライナー」で大手私鉄で初めで160 km/h 運転が実施された。2015年現在まで160 km/h はJR在来線にも類例が無く(ただし北越急行は第三セクターでJR車両(681系683系)が直通運転された)、新幹線以外の鉄道としては北越急行と京成の両社が国内で歴代最速となっている。北越急行の特急「はくたか」は2015年3月13日をもって廃止となり、160 km/h運転をおこなうのは京成電鉄のみとなった。また、これも第三セクターであるが、つくばエクスプレスは高規格の新線であり、路線の性格上、全車両が通勤形電車ながらも130 km/h 運転を行っている。

2024年現在、大手私鉄では西武鉄道 (105 km/h) と相模鉄道 (100 km/h) と阪神電気鉄道(106 km/h)のみ営業最高速度が110 km/h 未満である。上記以外の京王電鉄京王線相模原線)、京阪電気鉄道京阪本線)、西日本鉄道天神大牟田線)はいずれも110 km/h となっているほか、東急電鉄田園都市線に加えかつて高速運転のイメージから程遠かった東横線、あるいは準大手私鉄山陽電気鉄道でも最高速度110 km/h 運転が行われている。ただし、東武や小田急などでも通勤形車両による列車は100 km/h に留まっており、有料特急の格付けを尊重して序列を付けた形となっている。また、京王(井の頭線)や阪急(宝塚本線)などは主要路線でも線形が主因となって運転速度に較差があり、経営的には費用対効果も無視できず、一概にどの会社が高速化に熱心であるとは言い切れない。


認可(最高)速度

前項の私鉄における営業最高速度と同義。
区間最高速度

私鉄の認可最高速度のうち、区間・駅間における最高速度。
ダイヤ上の最高速度

実際のダイヤ(列車運行図表)作成において、運転曲線(ランカーブ)を引く過程で設定されている最高速度で走れるか否かは、運転曲線の引き方すなわち走り方による。たとえば5 km 程度の区間で1回だけ120 km/h まで上げて後は次駅まで惰行のみの走行(平坦や上り勾配の場合徐々に速度が下がる)と、110 km/h までしか出さなくても再力行を行い最高速度付近の速度を維持する走行(定速運転に近い走り方)とでは、運転時分に大差はなくなる。

上記に関連して、最高速度向上を時間短縮ではなく遅延回復余力(余裕時分)として用いる場合もある。
その他

地平を走り道路との平面交差のある在来鉄道では非常停止距離を600 m 以内としなければならない(上述の600メートル条項)。


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