鉄人28号
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戦後、乗鞍岳山中の地下研究施設で、独りで鉄人を作り上げた人物。詳しいことは謎に包まれている上に、普段から顔を覆い隠す布を被っているために素顔も不明(アニメ第1作では黒沼、実写版では花井技師と名付けられている)。一説には金田博士ではないかという説も囁かれていたが、横山光輝本人はそれを否定する発言をしている(「金田博士」の存在は後付け設定である)。鉄人26号から28号までを作り上げたが、目的自体が「鉄人28号を完成させること」にあったようで、「御国のために」などといった意義や政治的目的意識は無かったらしい。おそらくは鉄人計画の生き残りの博士、あるいは技術者と敷島博士によって推測されている。如何なる理由からか、26号と27号を使ったロボット強盗団として金銭や機械の強奪事件を起こし、警察や鉄人に興味を持った犯罪者たちに狙われ、完成直前の28号を無理に起動させられたあげく奪われてしまう。PX団と手を結んで鉄人を国外に持ち出そうとして失敗、銃撃戦の中で命を落とした。
PX団
世界規模の大犯罪組織。国際的な密輸や組織犯罪を起こしており、ジェット機や潜水艦など、簡易的な軍事力も有している。各国に支部があり、団員は鉄の掟に縛られている。この鉄の掟は非情なもので、団員は敵対する者より、この掟の方を恐れているほど。鉄人事件に絡んで、正太郎とクロロホルム、果てはS国スパイ団と事を構えているうちに追いつめられて日本支部は壊滅し、支部長はフカ()に食べられるという悲惨な末路を辿る。実写版ではQX団となっている。
クロロホルム
演 - 三田村隆介(テレビドラマ)声 - 西村知道(第4作)PX団を追ってフランスから来た有名な探偵。用心深く、自分の能力に絶対の自信を持っているためプライドが高く、来日した当初は正太郎を子供扱いし、正太郎に頼る日本警察をバカにしていた、しかしすぐに、正太郎の能力を認めて良き協力者になった。助手のニコポンスキーを影武者に使っていたが、そのニコポンスキーがS国のスパイだとは気付かず、逆に自分が影武者に使われてしまう。最後までニコポンスキーの行動力に翻弄され、腕の怪我を機にフランスへ帰っていった。 アニメ第4作ではフランス出身の探偵として登場。大塚署長から署長の座を奪い取り、背後でニコポンスキーと結託しつつPX団の陰謀を調査していた。『白昼の残月』ではベラネード(後述)の配下として登場。廃墟弾の調査に訪れた南海の研究所でショウタロウと遭遇し、日本へ連れ帰る代わりに大鉄人強奪の手引きをさせる。
ニコポンスキー
声 - 牛山茂(第4作)、山本兼平(ガオ!)探偵クロロホルムの助手。その正体は旧日本軍の鉄人や日本の技術を狙ってやって来たS国スパイ団の団長。クロロホルムにそっくりな上に、クロロホルム以上に変装の名人でもある。周到な準備と大胆な行動力で、正太郎たちを翻弄し、死に際して「敵ながら大した男」と大塚署長に云わしめた。後半は来日していたスパイ団がほぼ壊滅し、孤軍奮闘といった感じになり、やや短気で残酷な一面も覗かせているが、危機を好機に変える知己や巧みな交渉能力と演技力は、賞賛される悪役でもある。恐竜ロボットを使って鉄人28号との戦闘に際し、脱出に使用したジェット戦闘機が被弾したためにパラシュートを使って降下を試みたが脱出時の高度が低過ぎてパラシュートが開かず死亡した。アニメ第4作では、ブラックオックスを操って正太郎を奇襲した謎の覆面の怪人として登場する。その正体は自殺したと思われていた敷島博士であった。実写版では名前がペトロフとなっている。
スリル・サスペンス
声 - 秋元羊介(第4作)アメリカの暗黒街で名を馳せたギャング団のボス。残虐非道で目的のためには手段は選ばない男。鉄人を犯罪に使うために鉄人強奪を計画。逃亡中のニコポンスキーから一時は操縦器を手中に納めるも、リモコン争奪戦の海千山千の強者・知者の前には歯が立たずリタイヤしてしまう。しかし、人造人間モンスターと共に脱獄したことをきっかけに不乱拳博士と出会いバッカスを手に入れる。バッカスを手に入れたサスペンスは、鉄人を入手して行なう筈だった犯罪を、バッカスを思いのままに使い、まさに手当り次第に強盗などの荒事に手を染める。短略的な思考の割にギャングのボスだけに胆が据わっていて、大抵のことに驚きつつもそれなりに対応し、自分の利益に繋げてしまう様は古き時代の暴力悪漢の存在と言える。初期こそ鉄人の操縦が判らずニコポンスキーにやり込められたりもしたが、モンスターの説得や不乱拳お手製機器を見て憶えて使いこなす辺りは侮れない。ただし、欲が深いために身を滅ぼす典型でもある。考えるよりも荒事で全て決めてしまう傾向にあり、最終的には不乱拳博士に出し抜かれてバッカスを失い再度投獄。そのニュースを聞いた通行人たちに「死刑にされるだろう」と噂されながら退場した。アニメ版第4作では、敗戦国日本は自分たちアメリカ人に支配されるべきという思想を持つ。また鉄人の強奪に成功し、「良いも悪いもリモコン次第」と語っている。
スリル・サスペンスの部下
名前の無い部下たち。いずれも日本人風の顔立ちをしていたが、アニメ第1作では、外人風の顔立ちに変更されていた。
ジルバ、ロングラン
声 - 宮下タケル(ジルバ、第4作)、室園丈裕(ロングラン、第4作)モンスター登場直後に現れた、原作中で名前が発覚しているサスペンスの部下。ジルバはサスペンスのNo.2的ポジションだった。ロングランは正太郎を暗殺しに来ようとした所をモンスターによって絞殺された。ジルバはバッカスを失ったサスペンスと共に逮捕され、共に死刑にされたと思われる。
ロックロック、タンボリン、ニュージンジャー、マックロイ
アニメ第1作で登場するスリル・サスペンスの部下。原作における名無しの部下たちがモデルになっている。いずれもサスペンス逮捕時に警官隊との銃撃戦で全滅する。
ジャネル・ファイブ
フランスの怪盗紳士。連載ではシャネル・ファイブという名前であったが、シャネルが元になっていたため、後にジャネル・ファイブに変更される。鉄人の存在を知り、ロボット・コレクションに加えるために来日し、周到に準備をしながら正太郎たちに挑戦して来た。まだら岩に奇巌城を造り、其処を根城に日本で本格的に活動しようとしていた。ニコポンスキーに劣らず変装の名人であり、また荒事においても殺傷を嫌い、女子供には手を出さない。仲間意識が高く部下からも尊敬され慕われる紳士的な犯罪者である。とにかく流血沙汰が嫌いで、独自の美意識で犯罪を行なう、この独自のルールや美意識は部下にも浸透しているらしく、正太郎の命の危機を「見捨てたら、お頭に怒られる」と窮地を救っている。厳重な警戒をかいくぐり、華麗に盗みを成功させることそのものが生き甲斐らしく、鉄人争奪戦に置いては「知恵比べ」と称して、正太郎、クロロホルム、ニコポンスキー、スリル・サスペンスに、それぞれ争奪参戦の予告状まで出している。また盗みのスタイルは、相手に気がつかれず盗み出し、相手が悔しがる様を楽しむといったものである。この知恵比べと称した挑戦によって事態は混迷し、出し抜かれた正太郎が本気で悔しがったのも相手もジャネル・ファイヴくらいだったことを見ても、正太郎にとって悪気が無いだけに厄介な相手とも言える。自分の頭だけで、金品や美術品、ロボットたちを盗みコレクションしているのが自慢で、それを見せびらかすためだけに手間暇かけて正太郎を誘拐するなど、困った趣味の人物でもある。結果的にクロロホルムと連携した正太郎に追いつめられ、争奪戦には敗れはしたがそれも含めて「悔しい気持ちもするが、楽しい気持ちもするね」という言葉を残し、敗北宣言をして日本を去った。
不乱拳酒多飲(ふらんけんしゅたいん)博士
声 - 大木民夫(第2作)、青野武(FX)、鈴木琢磨(第4作)、山本兼平(ガオ!)正太郎の屈指の好敵手であり、狂気を含んだ天才科学者である。読んで字の如く『フランケンシュタイン』の主人公ヴィクター・フランケンシュタインがモチーフであろうが、本作品では青年(学生)ではなく如何にも老学者のような風貌の初老の科学者である。好々爺然としたところと、モラルや人道的ルールから逸脱した悪魔的科学者の一面を併せ持つ人物で、自分の研究のためなら手段は選ばず、自らの規定から外れた場合は、ギャングや警察をまとめて敵に回して荒事も厭わない。正太郎をして「大変な人物だった」と云わしめたくらいの大人物。機械工学の他にも、化学、生物学などにも造詣が深く、それらの生み出した物が「空飛ぶアカエイ」「ロボットアカエイ」「人造人間モンスター」「潜航艇」「水中バイク」「バッカス」「ブラックオックス」と製作するにはあらゆる分野、多岐にわたった技術が必要とするばかりであり、これらの多くを1人で作り上げている。特にバッカスとオックスは短期間に製作されたにもかかわらず、鉄人と対等以上に渡り合うという完成度であった。1度目は自らの創造物バッカスに殺されるが、モンスターを生み出した死体蘇生技術を書き遺しており、それを手に入れた黒い覆面団(某国諜報員)の手によって蘇生を遂げる。2度目は逃亡中に自衛隊の砲撃の中で息を引き取った。今際の際の言葉は一度目は「鉄人は素晴らしいぞ」、二度目は「ついに考えるロボットは作れなかった」である。モンスター事件中、次は人工生命体を一から作り出そうとしていた節が見られたが、オックス事件では最終的に「物を考え、自ら判断するロボットを作り出す」ことを目標としていた。最後まで好奇心旺盛で知的欲求が強いままであった。不乱拳博士の研究成果はまだら岩の海底墓場に埋められていたが、鉄人や旧日本軍の秘密を探っていた黒い覆面団によって掘り返されているため、某国(海外)へ渡った可能性がある。『FX』では正太郎の回想シーンに登場。ブラックオックスを作り上げて鉄人に挑むもオックスの下敷きとなって死亡したことが語られ、不乱拳に仕えていた執事との交流が描かれるエピソードもある。また、不乱拳のクローンであるフランケン・シュタイナー[注釈 3]が登場し、新たなブラックオックスを作り上げるなど物語中盤までの強敵として活躍した。重馬敬著の「空想科学小説 鉄人28号」でも登場するが、こちらでは「考えるロボット」とブラックオックスを誕生させている。また、ドイツ人女性を妻とした経歴を持ち、一人娘のレナーテがいる。鉄人との「決着」をつけるために一時は娘に対しても冷酷な態度をとっていたが、終盤では正太郎たちに協力的な姿勢を見せる。現在の全作品では不乱拳博士が死亡しない唯一の作品である。
牧村(まきむら)博士
声 - 中田和宏(第4作)、松山鷹志(ガオ!)長年の研究開発で自我を持つ電子頭脳ロボット・ロビーを作り出した科学者。法律も人命も考慮しないマッド・サイエンティスト同然の危うい科学者が続出するこの作品の中では例外的に、人格者と言っても差し支えない初老の科学者で、昔はドラグネット博士と一緒に電子頭脳を研究開発していた。ロビーを大切に人間の子供と同じように教育してから、世間に発表しようとしていたが助手の助川によってロビーを奪われ、以後、ロビーの犯罪に心を痛めることになり、警察に出頭し事態収拾に正太郎たちに協力することになる。しかし助川の元から逃げ出し、人間に敵対し始めたロビーが世間に被害を与えたことで、電子頭脳研究をやめて引きこもってしまう。後にロビーの事件を聞きつけたドラグネット博士に電子頭脳の教えを請われても、頑として頭を縦には振らなかったほど、後悔の念に取り憑かれてしまう。また、この時のドラグネット博士の言質によれば、牧村博士は自分が決めたことに対しては頑固であるらしい。また、一度はロビーに嫌いだと逃げられたが、人間不信になったロビーがドラグネット博士の言葉を聞くきっかけに「生みの親の牧村博士の友人」であるというところに反応する描写があるため、少なくともロビーにとって、「親」という認識と微妙な感情は向けられていると思われる。
ドラグネット博士
声 - 宮内幸平(第2作)、有本欽隆(第4作)自我を持った電子頭脳開発に執念を燃やし、牧村博士の開発したロビーに近づいた天才科学者。のような独特のヘアスタイル。原作準拠では片足を失っており、再編集版やその後のアニメ版では足の不自由な設定は無かったことになっている。かなり独善的で偏屈な性格だが、とても優秀な科学者であり、そのプライドは高い。その能力もたしかで、急造した安物と評するロボットで鉄人と正太郎を文字通り、煙に撒いたり、乗り付けたお手製の万能カーでロビーのロボットたちを次々と手玉に取って、ロビーを交渉のテーブルに着かせたりと大変優秀な人物。超人間ケリーと高性能ロボット・ギルバートの製作者である。研究にのめり込む余りに常軌を逸した行動をとることがあり、死んだ人間の脳を使ってサイボーグをより機械化した宇宙人間の研究を進めていたが、当時助手を務めていたケリーの計算ミスにより実験が失敗し、怒りに駆られた博士はケリーを生きたまま実験材料にして超人間を生み出してしまう。ただし、この時の超人間ケリーは目覚めることが無く、博士は殺人者として逮捕され、裁判で精神異常が認められ施設に収監されていた。このことにより博士自身はケリーの改造に失敗し、死亡したと思っていた。施設を出所後に電子頭脳を持ったロボットに研究を切り替えたが、自身の理論では完成を見いだせず、牧村博士の完成した電子頭脳ロビーに活路を求めた。ロビーに関わったことから、取引材料として鉄人とオックスにも負けないロボットを製作することになり、高性能ロボット・ギルバートを完成させるが、その時にはロビーは正太郎に破壊され、失意のうちに日本を去ろうとするが、暴走して復讐者となったケリーに殺されてしまう。
超人間ケリー
声 - 原康義(第4作)改造人間にされてしまった青年、詳細は超人間ケリーを参照。
ジョンソン
声 - 原康義(第4作)ケリーの弟。兄と共にドラグネット博士への復讐を果たした。温和な兄と異なり、証拠隠滅のために正太郎を殺害しようとするなど荒事に躊躇のない人物。強い兄弟愛を持っており、復讐へ至る過程を切々と訴えるラストシーンは正太郎たちも同情を禁じ得なかった。
門脇
モンスターに殺された警察官や、その他大勢の中につけられる名前。名前の由来は光文社で横山を担当した編集者から。たまに背景の中にも名前を見ることが出来る。
山嵐巌

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