鈴木千尋_(声優)
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行っていたところ、沢木が席の目の前にいたが、話していたところ、すごく気に入ってくれたようで、「あと1年で卒業できるんだから俺のところにいろ」とかわいがってもらい、2年目の時には卒業用のテープの主役に入れてくれたという[7]
デビュー後

初仕事は同学院時代の卒業間際にオーディションを受けた教育系のゲームの主役ともう1人役の2役であった[3]1998年ガイナックス制作のテレビアニメ『彼氏彼女の事情』の有馬総一郎役で声優デビューする[3]。当時所属していた事務所は浅葉役を演じさせようと思い、オーディションに行かせてくれたようで、「楽しそうだ」と思い、オーディション会場に行っていた[3]。その時に後の宮沢洋之役の草尾毅などのベテランの先輩たちがたくさんおり、「うわぁ、絶対無理やん。受かるわけないやん」と自分なりに浅葉役を演じて帰ろうとしていた[3]。その時に庵野秀明が、「ちょっとこれやって」と有馬役のオーディション用のペラ(台詞が書かれた紙)をもらい、「アレ? うーん、わかんないけどやってみるか」としていたところ合格したという[3]

アニメーションでアテレコ自体も、養成所で1、2回少ししていたことがあるくらいの状態だった[8]。有馬役を演じていた時は、えらい喋る役で、「もう、口パクが合わない、合わない! だ」と演じたことなかった[8]。元々早口だが、アニメの場合はたくさんの台詞量の中でも、ゆっくり喋らなくてはいけなかったことから、大変だったという[8]。音響監督が最初の頃は「口パクはあまり気にしなくていいよ。あとで合わせるから」と言ってくれてたが、そのうち「口パクが1秒以上余るのは、おまえが初めてだよ」と言われていた[8]

最初はなにも考えずに当てたが、食事会の時に草尾が「おまえ何も考えずにやってるだろ」、「はい」、「それがいいんだよ、そのままやりなさい」と言ってくれた[8]。この頃、元・演劇集団 円で演出をしていた志水良旺が主宰するワークショップで当時、所属していた事務所がお金を出してくれて、役者を通わせてくれており、そこで改めて芝居の勉強をし始めた[8]。今度は草尾に「いろいろ考えるようになったよな」、「はい」、「下手になったよな」、「はい」、「それでいいんだよ。自分で考えて芝居をしようと思ってるからそれはそれでいい。下手のなり方なんだよ。覚えておけばいい。これが本当の自分の力で、鈴木 千尋っていう力でつかんだものではない。終わってからが、おまえの本当の力なんだよ」と仰ってくれた[8]

草尾の言った通りであり、『彼氏彼女の事情』が終えてから、仕事がなくなった[8]。そこで、「あ、こういうことか」と実感し、「これから自分の力で役を取っていかなきゃいけないことなんだな」と思ったという[8]。ビッグタイトル過ぎて、逆にリスクも大きく、そこらへんの葛藤もしばらくあった[8]。この頃に来る役といえば、優等生ばかりだったから、ワークショップでは、感情を爆発させた芝居をしたかったため、もっと情熱的なこともしたかった[8]。優等生のキャラクターのため、自分の中で暴れてくる気持ちを抑えなければならず、優等生が演じにくくなり、不安定になった[8]。それだと、なかなかオーディションに受からず、そういう葛藤の日々だった[8]

志水良旺は沢木郁也に続く、2人目の師匠で沢木の時がかわいかったくらいここでの稽古は厳しかった[8]。最初に、全部を否定されていたことから、たたずまいからダメで、チャラチャラした格好でいること自体ダメだった[8]

「鈴木 千尋です!」という挨拶の一言からしてダメ出しをされたことから、「声が高すぎる。人間の声じゃない。人間のナチュラルな音じゃない」と言われた[9]。最終的に沢木の時と同じく、志水にもかわいがってくれたという[9]

稽古場公演が多かったが、何度か舞台に立ち、主役のキムラ タクヤ役も演じていたが、ゲネプロで大声を出しすぎて、左耳の鼓膜がポーンとイカれてしまった[9]。昔はいくらでも自分の限界を超える声が出てしまい、そのおかげで、2010年時点では限界を超える前に体が防御してしまうため、喉を傷めることがあっても枯れることはないという[9]。近眼であり、当時はコンタクトも持ってなかったことから、舞台上では見えない状態でヘレン・ケラー状態だったという[9]

2000年、声優の鳥海浩輔サエキトモと共に『デ・ジ・キャラット』から派生した声優ユニット「P・K・O」を結成。CDの発売やライブ活動などを行っていたが、後にサエキが病気療養で休業となったため活動を休止した。

2003年4月1日、所属事務所をアーツビジョンへ移籍。2010年2月1日アーツビジョンを退所しフリーで活動。2013年2月からはオフィスモノリスと業務提携を行っている。
人物・特色

本人曰く「やや高めの声」[10]を持ち、役作りの上ではこの声を多用することが多いが、低音の声を使うこともある。本人は「吹き替えがとても大好きな仕事」と公言するが、普段使う声だけではなく、低音のトーンを求められることも多く、更には自然な芝居を求められるため、結構大変だと語っている[10]。その一例として『テイルズ オブ ジ アビス』では、ルーク役とアッシュ役の2役をその場で同時に演じる機会があり[11]、高音トーンと低音トーンをキャラクターに応じて瞬時に切り替えて芝居をする。

『テイルズ オブ ジ アビス』のオーディションはルーク役で受けていたが、FAXで送ってくれた資料がつぶれてしまい、ルークの姿がシルエットでしかわからなかった[11]。シルエットを見る限りでは筋肉隆々だったことから、「ちょっとマッチョなキャラクターかな」と思い、オーディションに挑んでいたところ、ぜんぜん違っていたという[11]。「ルークでやって」と言われたため、「わかりました?」という軽い感じで、渋谷系の10代のような、「超マジうぜぇんだけど」のようなノリでしていた[11]。その時に、アッシュ役も受けるように言われ、低めの声でしていたが、これが結構きつく、低めの声が元々出しにくかった[11]。オーディションではひとまずしていたが、「これ決まったら相当きついぞ。喉が枯れちゃったな」と思って帰っていたところ、合格したという[11]

転機の作品は一番大きいのはテレビアニメ『砂ぼうず』の水野灌太役[9]

当時は静かでおさえた感じのキャラクターを演じることが多かったが、最初の収録の時に「二枚目キャラにならないように、三枚目で、三枚目で」と念を押された点が面白かったという[12]。今まで演じたキャラクターは、「考えてから行動する」というタイプが多かったが、水野灌太を演じていた時は「行動してから考える」という理由が後づけのキャラクターであり、ストーリーによって、シリアスだったり、おバカだったりするため、変化が激しくて演技が大変だったが、自由に演じさせてもらえたため、気持ちがよかったという[12]

「二枚目じゃなくて三枚目やりたいなあって。そっちのほうでもっと枝葉を広げていけたらほかの役もできるはずなのに」と思っていたことから、三枚目のキャラクターがしっくりきたという[9]

鈴木自身も、二枚目ではなく三枚目だったことからそういったことが「キャラクターの中に叩き込める」と思っていたという[9]。ここから、色々な役に全部繋がっていったという[9]

スーパー戦隊シリーズ」などの特撮作品においては、アウトロー系や奇声を上げるようなテンションの高い悪役を担当する機会が多い。『轟轟戦隊ボウケンジャー』で共演した三宅健太とは、「ロックマンエグゼシリーズ」でもパートナー役として出演している。

愛称は「ちーちゃん」。


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