金融腐蝕列島_呪縛
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前作・前々作が銀行組織・金融システム全体を捉えた作品であったのに対し、『再生』は人間関係の描写が中心とされ、評価の分かれるところである。

舞台は1999年、前々作と同じ協立銀行。かの竹中治夫は、営業本部プロジェクト推進室で「住管機構」対策に取り組んでいた。住管機構、正式名・住宅金融債権管理機構は、住宅金融専門会社(住専)の相次ぐ破綻の受皿として設立され、その負債について母体行の責任を追及していた。竹中は特命班の長として、責任追及を恐れる頭取から住管機構との対決を迫られる。しかし、協立銀行では内部が頭取派・相談役派の2つの派閥に分かれ争っていた。個人的な事情から住管工作の阻止を目論む相談役派の動きに翻弄され、妻や息子との不仲もあり、竹中は苦しむことになる。

やがて竹中は大阪梅田駅前支店長に転出し、過酷な資金回収_所謂「貸し剥がし」を任され、優良貸出先からも強引に融資を引き上げる銀行の非情な論理を痛感する。その後竹中は再び本店に戻り広報部長に就任するが、協立銀行内では次期頭取を巡る人事抗争が激化し、竹中もそれに巻き込まれていく。
混沌 新・金融腐蝕列島

前作『再生』のさらなる続編。東京スポーツに連載後、2004年に講談社から、2006年に角川書店から刊行された。

時は1999年、日本の金融業界に衝撃が走る。朝日中央・芙蓉・日本産業の3銀行統合による「にっぽんフィナンシャルグループ」の発足が明らかになり、続いて住之江銀行とさつき銀行が合併合意し「四井住之江銀行」の誕生が決定した。上位都銀がにっぽん、四井住之江、東都光陵のメガバンクに再編されるなか、内部の人事抗争に明け暮れる協立銀行は再編の流れから取り残されていた。

かつてのトップバンクの地位が揺らぎ焦りを感じる協立は、生き残りをかけて既にまとまりかけていた東亜銀行・あけぼの銀行ら中位都銀2行の合併構想に割り込んだ。それぞれの銀行の思惑が絡む中、広報部長である竹中は統合計画をまとめるために奔走する。
消失 金融腐蝕列島・完結編

『金融腐蝕列島』シリーズの完結編。東京スポーツに連載後、2007年から順次ダイヤモンド社より単行本化されている。

執行役員広報部長だった竹中は頭取の癪に触り、執行役員のまま大阪・中ノ島支店長に異動(人事部長の相原は否定したが、事実上の左遷)。そんな中、協立銀行と東亜銀行が合併し「JFG(Japan Financial Group)銀行」が誕生したものの、その実態は協立が東亜を飲み込んだような格好になり、行内では旧協立系による「グリーン化作戦」(因みに、これは実際にJFG銀行のモデルであるUFJ銀行の旧三和銀行が旧東海銀行勢に対して行った「緑化作戦」がモチーフ)が展開され、旧東亜系が冷や飯を食わされる結果となっていた。事実上左遷させられた竹中はその後主要取引先を救済し、金融庁の査察を乗り越えると東京に戻り常務に昇進。旧東亜系社員の待遇を少しでも改善すべく活動するが、行内の大勢は「グリーン化作戦」賛成に回っていた。

一方で金融庁は、当初にっぽんフィナンシャルグループに対する特別検査で同グループの国有化を狙っていたが、同グループが1兆円の大型増資で難局を乗り切ったことからターゲットをJFGに切り替える。そこに旧東亜系幹部からの内部告発なども加わり、JFGは苦境に追い込まれた。当初は大型増資による事態の打開を計画したが、旧東亜系を冷遇したことが遠因となり、増資先として当てにしていた名古屋財界(セントラル自動車[2])の協力を得られず計画は頓挫。そのため、打開策としてJFG信託銀行を四井住之江グループに売却する方針を固めたものの、その後東都光陵銀行がJFGの救済合併に乗り出してきたため話は混沌とする。ただ、ここに至ってもその内情はJFG(というより旧協立系)行内の派閥抗争であった。

金融庁による刑事告発を何としても避けたいという思いから、副頭取に昇進して間もない竹中は、金融庁から目の敵にされているJFGホールディングス社長の杉本と抱き合い心中の形で辞職することで何とか事態の収拾を図ろうとするが…。
映像作品
金融腐蝕列島〔呪縛〕

金融腐蝕列島〔呪縛〕
監督
原田眞人
脚本高杉良
鈴木智
木下麦太
原作高杉良『呪縛―金融腐蝕列島2』
製作総指揮角川歴彦
高岩淡
羽佐間重彰
出演者役所広司
椎名桔平
若村麻由美
遠藤憲一
根津甚八
仲代達矢
音楽川崎真弘
主題歌中山美穂Adore
撮影阪本善尚
編集川島章正
制作会社アスミック・エース
東映東京撮影所
製作会社東映
角川書店
産経新聞
配給東映
公開 1999年9月18日
上映時間114分
製作国 日本
言語日本語
配給収入6億5000万円[3]


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