金羊毛騎士団勲章には、団員選出の基準に明確な功労が定められておらず、高位貴族のみのステータスシンボルとして捉えられている面もあった[44]。しかし、女帝は夫を通じて、アーヘンの和約後にカウニッツ伯爵を、士官学校創設後にダウン将軍をそれぞれ金羊毛騎士に叙任させ、その功労に報いている[44]。1759年11月29日、フランツ・シュテファンの推薦を得た他の2名の貴族とともに、ハウクヴィッツ伯爵は騎士に叙任された[46]。騎士団員を多数輩出してきた家系の貴族は、明らかな反発を示した[46]。次代のヨーゼフ2世は、騎士団による宗教行事等の規模を大幅に縮小した[43]。 オーストリアでは、カトリックの男性王侯貴族に限定して授与が行われた。ただし、ナポレオン戦争後に、非カトリック教徒である英国のジョージ摂政王太子(のちに国王ジョージ4世)に対し、外交的理由から例外的に授与している[注釈 4]。第一次世界大戦後にオーストリア革命により、ハプスブルク家のカール1世が帝位を失い、国家や君主による騎士団勲章としては消滅した[2]。しかし、騎士団主権者をベルギー王アルベール1世が受け継ぐという提案がスペインの反対でつぶれたため、元皇太子オットーを経て、その長男カールへと騎士団主権者が受け継がれ、今日もハプスブルク家による「栄誉」として存続している。 スペインでは、王家の授与する最高位の勲章として存在している。かつては女性は授与されておらず、例えばヴィクトリア女王は金羊毛勲章に次ぐカルロス3世勲章
近現代2014年撮影、スペイン国王フアン・カルロス1世とフェリペ王太子
オーストリア
スペイン
しかし現在は、授与対象はカトリック教徒及び男性に限定されず、日本では明治天皇以降第125代天皇(現・明仁上皇)まで、近代以降、明治から平成まで四代の天皇がスペイン金羊毛勲章を受章している。
また、スペイン君主の称号(英語版)の一つに「ブルゴーニュ公」や「金羊毛騎士団総長(グランドマスター)」が含まれている。
徽章2006年撮影、スペイン国王フアン・カルロス1世とプーチン露大統領。国王は中綬を佩用。2018年撮影、スペイン国王フェリペ6世とアストゥリアス女公レオノール王女。二人とも、左胸に小綬を佩用している。正装に佩用した頸飾と中綬の位置
スペイン金羊毛勲章オーストリア金羊毛勲章
主権者用綬章団員用綬章綬章
綬章については、大きさにバリエーションがあるが、首の中央につける中綬が肖像画及び写真に多く残されている(#騎士団員を参照)。
ギャラリー
勲章
スペイン金羊毛勲章の頸飾及び綬章(リエージュ、クルティウス博物館(英語版)収蔵)
オーストリア金羊毛勲章の頸飾(ウィーン王宮宝物館(英語版)収蔵)
近現代のスペイン金羊毛勲章の中綬
オーストリア金羊毛勲章の中綬
ローブ(ウィーン王宮宝物館(英語版)収蔵)
フランツ・ヨーゼフ1世の軍服と勲章(ウィーン軍事史博物館収蔵)
会議・式典
1470年代の騎士団会議
フィリップ美公による、長男カールの叙任
紋章
1468年当時の騎士団員の紋章(ブルッヘ、聖母教会内)
1478年当時の騎士団員の紋章(ブルッヘ、救世主大聖堂内)
1491年当時の騎士団員の紋章(メヘレン、聖ロンバウツ大聖堂内)
1519年当時の騎士団員の紋章(バルセロナ、サンタ・エウラリア大聖堂内)
1559年当時の騎士団員の紋章(ヘント、聖バーフ大聖堂内)
オーストリア帝国の国章(1815年 - 1866年)