金属工学
[Wikipedia|▼Menu]
プロセス

凝固

鋳造

鍛造

粉体加工

溶接接合


名称

金属工学と似た学問分野の名称に金属学(金属物理学)があり、2つの学問の対象とする領域は一致する。異なるのは金属に対する姿勢であり、より工学的な発想に立ち目標の達成を目指す場合には金属工学を、より物理学的な発想に立ち、理論の構築などと言った自然の法則を追究する際には金属学を使う。しかし言葉の使用者の好みや、対置する他の学問分野の名称等にも左右されることが多く、明確な言葉の使い分けはなされていないと考えてよい。

大学の金属工学科は、初めは金属のみについて研究していたが、次第にセラミックス半導体材料など非金属も扱うようになり、対象領域が拡大していった。そのため、近年では大学の学科名が金属工学科から材料工学科と改称されることが多くなった。

なお、金属を制御することを意味する冶金という言葉は、日本においては「冶」の字が当用漢字外となったことから、制限漢字表である当用漢字の制定以降は金属学への言い換えの他、「や金」のような交ぜ書きがなされるようになった。現在でも「冶」は教育漢字はおろか、常用漢字にも含まれないために初等・中等教育では忌避される。しかしながら、中国などではこの用法は圧倒的に多く、日本でも日本冶金や粉末冶金協会、冶金研究所(日立金属の研究部門名称)などが見受けられ、考古学系での記述など多く使われており、漢字文化圏の用法としてはこちらが主流である。
歴史

人類が金属を利用し始めた当初は、自然銅自然金などの天然に存在する鉱石をそのまま、あるいはわずかに加工して装飾用などに使用されるにとどまっていた。やがて紀元前6000年期には中東で銅の精錬が開始され、やや時代が下ると中国やアメリカ大陸でも精錬が開始された。銅精錬はそれほど高い技術を必要としないため、伝播だけではなく、アメリカ大陸にみられるように各所で独自に開発されたものも多いと考えられている[1]。次いで紀元前3000年期には錫と銅の合金である青銅の製造技術が中東で開発された。青銅は銅よりも強靭であり、さらに加工も容易であったため、に代わって青銅が中心素材となり、青銅器時代の幕が開いた[2]

次いでの精練が行われるようになったが、鉄は融点が非常に高いため技術開発が難しく、各地で製法が発見された銅や青銅と異なり、世界でただ1度だけの発明であった可能性が高いと考えられている[3]。鉄の利用が本格化するのは紀元前1400年ごろのヒッタイトにおいてを使って鉄を鍛造することによりの製造に成功してからである[4]。紀元前1190年頃にヒッタイトが滅亡すると、製鉄技術は近隣諸国に伝播し、さらに遠方へと伝わっていった[5]。また、これにより青銅器よりさらに強靭な鉄器を中心とする鉄器時代が幕を開けた。

16世紀にはドイツにゲオルク・アグリコラが現れ、『デ・レ・メタリカ(De re metallica)』を著わして精錬や冶金などの技術を記録した[6]

18世紀に入ると、イギリスで徐々に製鉄法の改善が始まった。まず1709年エイブラハム・ダービー1世がコークス製鉄法を開発し、1740年代にはベンジャミン・ハンツマンによって少量だが良質の鋼鉄が作られるようになり、1784年にはヘンリー・コートが攪拌精錬法を発明して良質の錬鉄が大量に生産できるようになった。1855年にはヘンリー・ベッセマー転炉法を発明し、鋼鉄の大量生産が可能となった[7]。19世紀中盤にはアルミニウムなど新しい金属の利用が始まったほか、1882年のマンガンを皮切りにさまざまな金属を鋼鉄と混合させる特殊鋼の開発が始まった[8]
脚注[脚注の使い方]^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p41-42 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p42 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p41 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
^ 「文明の誕生」p128-129 小林登志子 中公新書 2015年6月25日発行
^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p46-47 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年5月30日初版第1刷
^ 「現代化学史 原子・分子の化学の発展」p15 廣田襄 京都大学学術出版会 2013年10月5日初版第1刷
^ 「現代化学史 原子・分子の化学の発展」p148 廣田襄 京都大学学術出版会 2013年10月5日初版第1刷
^ 「現代化学史 原子・分子の化学の発展」p368-369 廣田襄 京都大学学術出版会 2013年10月5日初版第1刷

関連項目

日本金属学会

本多光太郎

外部リンク

日本金属学会

日本鉄鋼協会

軽金属学会

日本セラミックス協会

日本熱処理技術協会

『金属工学』 - コトバンク










工学エンジニアリング分野


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:44 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef