重装歩兵
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足軽は平安時代当初は部隊に先行して敵集落を放火してまわったり夜間にゲリラ活動を行うような雑兵のことをさし、装備もせいぜい戦闘員であることが分かる程度の竹や木で作られた形ばかりの防具をそなえた軽歩兵集団にすぎなかったが、戦国末期ともなると勢力同士の決戦に動員される足軽歩兵には鉄製の具足が支給されるようになり、長柄槍、鉄砲などの両手で扱う武器を使用して戦った。盾は具足の中に組み込まれ、本格的な矢除けや弾除けには設置式の置盾や竹束などが使われた。文献には備と呼ばれる諸兵科200 - 500人程度の規模で構成された部隊が見える、また朝鮮戦役の記録には、数人または15 - 30人を単位として分散突撃を敢行した様子が書かれている。
欧州での変遷テルシオロクロワの戦い(1643年)

古代の戦闘形態は不明な点がおおく、古代の文献をもとに、発掘された遺物や壁画、武器や壺の絵などから想像されたものが中心となる。戦闘形態は歩兵中心から騎兵中心へと「進化」したと捉えられがちであるがこれは史学的根拠のある推測ではなく、アリストテレス「政治学」には、当初は騎兵が軍事力において卓越していたので国制は貴族制であったが、その後重装歩兵が国家の戦力の中心になると民主政となったとする。考古学の観点ではそれ以前にヒッタイトやエジプトではチャリオット(戦闘馬車)が使用されていたことが知られており、戦闘馬車は騎兵戦力に駆逐され、やがて騎兵が重装歩兵に駆逐され古代民主政国家が成立したと見られている[7]

古代末期には、戦いの形態は勢力同士による会戦から、北東方面の民族からの寇略とそれに対する迎撃追撃に焦点が移り、機動力を重視した騎馬による軍事編成が重視され、またの伝来により重騎兵の重要性が高まったため、重装歩兵は戦場の主役の座を退いた。近世に入り火器が発明されると重騎兵の強みは失われ歩兵が再び主役となったが、その多くは火器を装備した軽装の散兵であって、スペインで発達した密集陣テルシオにしても長槍(パイク)を装備した槍兵の防具は比較的軽装であった。

装甲兵は要塞防衛など戦局の往々においてその強みを発揮する事があった(ロドス島攻防戦)が、火器の発達や大砲の破壊力の増大により装甲そのものが役に立たなくなり、また歩兵が陣形を組んで戦う戦術的な意義も低下し、傭兵の逃走を防止するなど運用面での要請以外に密集陣形が採用されることはなくなり、射線形成のために縦隊・横隊列を形成することはあっても、もはや重装歩兵と軽装歩兵による戦列は消滅した。
出典^ “重装歩兵・密集部隊”. www.y-history.net. 2023年11月14日閲覧。
^ 桜井万里子『ソクラテスの隣人たち』山川出版社、1997年
^ 『ビザンティン帝国の軍隊 886-1118 ローマ帝国の継承者』 pp.41-42
^ 『ビザンティン帝国の軍隊 886-1118 ローマ帝国の継承者』 pp.8-9・p.41
^ 『ビザンティン帝国の軍隊 886-1118 ローマ帝国の継承者』 p.8
^ 『ビザンティン帝国の軍隊 886-1118 ローマ帝国の継承者』 p.42
^ 「重装歩兵戦術の問題(1)」中井義明(同志社大学オープンコースプロジェクト文学部・西洋文化史概説(1)-51,2007年度春,第7回) ⇒[1]

参考文献

「重装歩兵戦術の問題(1)」中井義明(同志社大学オープンコースプロジェクト文学部・西洋文化史概説(1)-51,2007年度春,第7回) ⇒
[2]

「中国古代兵器図冊」書目文献出版社

イアン・ヒース著 柊史織訳 『ビザンティン帝国の軍隊 886-1118 ローマ帝国の継承者』 新紀元社、2001年

関連項目

軍事史

古代ギリシアの戦術(英語版)

陣形

斜線陣

古代ギリシアの兵装(英語版)










ローマ軍団/レギオン
役職

指導者

ドゥクス
指揮官

レガトゥス/レガトゥス・レギオニス - トリブヌス/トリブヌス・ミリトゥム
隊長格

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歩兵

ウェリテス - ホプロマクス

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