日本では、日本の実情の被選挙権についての解説にもあるように、日本国民が選挙に立候補して公職に就任することについて、公職選挙法上外国国籍を有することによる制限はない。ただし外務公務員に関しては、外務公務員法第7条第1項の規定により、「外国の国籍を有する」ことは欠格事由となる。 国の代表選手であるオリンピック選手が二重国籍だった場合、国によって対応が異なる。アメリカでは二重国籍者でも代表選手になることが可能であり、カリコー・カタリンの娘であるフランツィア・ジュジャンナは2歳の時にハンガリーから移住しハンガリーとアメリカのの二重国籍となったが、2008年北京オリンピックと2012年ロンドンオリンピックでボート競技(エイト)のアメリカ代表選手として金メダルを獲得した。 ヨーロッパのサッカー1部リーグで活躍する選手の中には、外国人枠の問題でヨーロッパの国籍を取得し二重国籍となる選手もいる[63]。EU域内のいずれかの国籍を有していれば、規定によりEU域内のどの国のクラブでも外国人とはみなされない。 年代別代表選出経験があっても、フル代表出場経験(親善試合は対象外)がなければ、他の国のフル代表としてプレーすることは可能である。例としてティアゴ・モッタはU-23ブラジル代表でプレーしたが、フル代表はイタリアを選択している。この場合、モッタがブラジルのフル代表としてプレーするのは不可能となる。また、ジエゴ・コスタは2013年にブラジル代表として親善試合にも出場したが、2014年のワールドカップ直前に突然スペイン代表を選択して、母国で開催国であるブラジルの国民を驚かせた[64]。 韓国では、科学・経済・文化・体育など特定分野で非常に優秀な能力を保有する者で、韓国の国益に寄与すると認められる者に限り認められる「特別帰化制度」がある。「特別帰化」で韓国籍を取得した外国人は、成人後も多重国籍であることが特例として認められる[65]。
ペルーの大統領であったアルベルト・フジモリは、自国で日本国籍を持っていないと言ったものの、日本に亡命した後で実際は大統領時代も日本国籍を有していたことが明らかになり、日本国内においても2007年の参議院議員選挙に立候補している。なお、1984年の国籍法改正以前に既に多重国籍であった日本人に相当するので、それ以降に多重国籍となった日本人とは法律上の扱いが異なる。
蓮舫参議院議員が、2016年9月時点で日本と中華民国(台湾)との二重国籍の可能性があると判明した[58]。これは、1984年改正前の国籍法が父系主義であったために、出生時には母親の国籍国である日本の国籍は取得できず、父親の国籍国である中華民国籍のみを有していたところ、同改正により日本が父母両系主義を採用し、その改正に伴う経過措置により、日本国籍を取得したことが原因である。国籍法上、日本国籍選択の届け出は22歳の誕生日を迎える1989年11月までに行うべきものであった。蓮舫は、2016年10月に国籍法による日本国籍選択の届け出を行い、中華民国籍を離脱する手続きを取った旨を公表している。なお、2016年9月には中華民国の「国籍喪失許可証」と外国国籍喪失届を目黒区役所に提出しているが、こちらは日本国政府が中華民国を国家の承認をしていないことなどを理由に却下されている[10][59]。日本弁護士連合会は、2021年に「日台複数籍者の国籍選択に関する人権救済申立事件(勧告)」[60]を公表し、「日台複数籍者は国籍法14条に基づく選択義務を負わないと解すべきである」との判断を示したうえで、内閣総理大臣および法務大臣宛てに「日台複数籍者に国籍法14条が規定する国籍選択を求めてはならない。」「日台複数籍者に対して,日本国籍の選択宣言を行わなかったとしても,国籍法上の義務違反に当たらないことを周知徹底するべき。」との勧告を行っている。
小野田紀美参議院議員が2016年10月時点で、アメリカ当局に対しては米国籍放棄の手続きを取っていなかった二重国籍だと判明し離脱手続きを始めた[61]。小野田は参議院に立候補する前の2015年10月には終えていた「日本国籍選択とアメリカ国籍放棄手続き」と、2016年10月に始めた努力義務である「外国の法においての国籍離脱」の手続きが済んで、2017年5月2日付で「アメリカ国籍喪失証明書」が届いたためアメリカ合衆国籍を正式に離脱し、二重国籍状態を解消した[62]。
スポーツ選手における多重国籍
脚注[脚注の使い方]
注釈^ アルゼンチン、ボリビア、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、アンドラ、ポルトガル、フィリピン、赤道ギニア
^ 男女の兵役義務は2008年に廃止された。
^ イギリス、イタリア、フランス、ベルギー、アイスランド、オーストラリア、ニュージランド、スウェーデン、アメリカ合衆国、アイルランド、オランダ、スイス、カナダ、エジプト、ヨルダン、シリア