重国籍
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同年には、フィンランドの防諜機関は二重国籍保持者がロシアのスパイとして勧誘されていると警告した[31]

きわめて特殊な例ではあるが、バチカンでは国籍に相当する「居住権」はバチカンで居住権を必要とする職務についている期間に限って必要に応じて与えられる特殊な地位であり、バチカンの居住権を持つ者は全員が従来の国籍を合わせて保持している二重国籍者である。
ロシアの実情

ロシアでは二重国籍は公職者以外は認められているが、国籍や保有する他国の市民権の秘匿が犯罪である。2014年2月以降、アメリカの市民権取得者のように厳密な忠誠宣言と、他国の市民権・国籍を取得した場合には2か月以内にロシア連邦移民局に届け出をしなければならず、違反した場合は500 - 1000ルーブル(約1500 - 3000円)の罰金が課され、意図的に隠した場合は20万ルーブル(約60万円)の罰金か400時間の労働刑がある[21]
中東の事情

イスラエルでは多重国籍は認められており、兵役義務もある[32]

バーレーンオマーンカタールサウジアラビアクウェートアラブ首長国連邦イエメンなどでは二重国籍は認められていない[25]
アフリカの実情

アフリカ諸国のうち南アフリカ共和国エジプトエリトリアでは他国の国籍を取得する場合、自国の国籍を維持するためには許可を必要とする[33]ボツワナコンゴ民主共和国エチオピアジブチモザンビークジンバブエエスワティニなどでは原則として認められていない[25]
南米・中米の実情

アルゼンチンは自国民の国籍離脱を認めていないため、他国の国籍を取得すると必然的に二重国籍となる[34]ブラジルは憲法第12条第4項の規定により国籍離脱を認めているが、複雑な手続きを必要とするため、非常に難しい[35]。1991年以降、コロンビアドミニカ共和国エクアドルコスタリカ、ブラジル、メキシコの順に、国籍を有しながら外国に移住した国民の二重国籍を認める法改正を行っている[7]ハイチでは二重国籍が2012年に合法化された[36][37]ほか、キューバスリナムバハマベネズエラなどでは二重国籍が禁止または制限されている[25][36][38][39]
アジア・オセアニアの実情

太平洋地域や日本、中国(香港マカオを含む)、インドインドネシアタイ王国ベトナムマレーシアなどアジアの多くの国は、国籍選択年齢に達していない者以外の二重国籍を制限または禁止している[25]パキスタンでは特定の国家[注釈 3]の二重国籍のみ認めている[40]

イラン北朝鮮では他国の国籍を取得しても、自国の国籍を放棄することは困難・不可能となっている。オーストラリアフィジーニュージーランドフィリピンサモアバヌアツでは、二重国籍が認められている[25]フィリピン、オーストラリア、フィジー[注釈 4][41]では二重国籍が認められているが、公職者になることは禁止している[42][3]。ニュージーランドでは国益に反したり、他国を重視しているなど市民権の付与が不適切と判断された場合は剥奪できる[25]

オーストラリア憲法44条a項は多重国籍者が選挙で公職に就くことを禁止している[43]。オーストラリアでは二重国籍をめぐる問題によって2017年に上下両院で10人が辞任に追い込まれたうえ、2018年にも裁判で5人の議員資格が無効とされて与党の下院での過半数に影響が出かねない事態となり、政界を不安定化させるまでに至った[43]
政治家の二重国籍事情
二重国籍者の被選挙権を全面的、または部分的に認めている国

アメリカ合衆国イギリスフランスデンマークなどの国々では法律上、大統領など一部の公職位以外の政治家の二重国籍を容認している。二重国籍者に被選挙権を認めていても、在住期間に規制が設けられている国もある。

アーノルド・シュワルツネッガーは、取得したアメリカ国籍と生国のオーストリア国籍を保持したまま、2003年から2011年の間にアメリカ・カリフォルニア州知事を務めていた。

2008年5月から2016年5月まで英国ロンドン市長を務め、2016年7月からテリーザ・メイ内閣外務・英連邦大臣 として入閣したボリス・ジョンソンはアメリカ国籍も保持していたが、2017年2月に離脱したことが明らかになった。

2016年アメリカ合衆国大統領共和党予備選挙に出馬した共和党のテッド・クルーズ上院議員は、2013年から2014年に放棄するまでカナダ国籍を保持していた。

2014年にフランスパリ市長に就任したアンヌ・イダルゴは、フランスと出身国であるスペインの二重国籍であり、フランス国籍取得時に失ったスペイン国籍を、後のスペインの法改正により改めて取得し直していた[44]

2010年7月より2013年2月までにドイツニーダーザクセン州の首相を務めたデイヴィッド・マカリスターは父の出身国であるイギリスの国籍も持っている。

政治家に多重国籍を認めていない国

政治家に多重国籍を認めていない国では、就任後に辞任や解任の例がある。
オーストラリア詳細は「オーストラリア政治家二重国籍問題」を参照

移民の国であり、国民の多重国籍は問題のないオーストラリアでは、外国の国籍を有する者は連邦議員には就任できない旨が、憲法44条で規定されている。


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