酸素吸入
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液体酸素容器
一般的には液体酸素が充填されている容器を「液体酸素容器」「液酸容器」という。これは凍傷など各種の危険性が伴うため、家庭に設置する場合は許可や使用訓練が必要である。近年より簡便に使用出来るようになりライフラインに左右される事の無い事から使用例が増えつつある。自宅には液酸容器、外出時は携帯用液体酸容器に自分で充填して使用するか、携帯用酸素ボトルを使用する。電気代は電池代だけである。
携帯用酸素ボトル(酸素瓶)
外出時に使用する、気体の酸素を充填している高圧ガス容器である。空になったら専門の充填業者にて再充填して使用する。日本では酸素ボトルのことを酸素ボンベと呼ぶ場合もある。医療用のものはアルミ容器にグラスファイバー炭素繊維等を巻きつけたもので軽く航空機への持ち込みも許可されるものが多い(届け出は必要)。なお携帯用酸素ボトルは、家庭で充填できる機器も存在する(日本では高圧ガス保安法の規定により使用出来ない)。呼吸に合わせて酸素を出したり止めたりする呼吸同調器(デマンドバルブ、サンソセーバーとも)という機器を使って使用するのが一般的である。尚、酸素を含む医療用ガスは医薬品に該当する為、医療機関を経ずに供給することは薬事法により禁止されている。アルミ製缶に酸素を充填した使い捨ての小型酸素ボンベも市販されていて、酸素バルブを接続し流量を調整して使用するが、きわめて短時間の使用しか出来ない(およそ9分)。
携帯用液体酸素容器
外出時に液体酸素を常圧で保冷して携帯するための容器である。携帯用酸素ボンベの大きさに比べて、小型かつ軽量な機種がほとんどで、携帯用酸素ボンベに比べて長時間の外出が可能である。近年その携帯性と長時間利用可能なメリットとより簡便な利用が可能になり使用する例が増えて来つつある(航空機への持ち込みは出来ない)。デメリットは、酸素を低温で液体状態にして魔法瓶のような構造の容器で保存する関係上、利用しなくても徐々に蒸発していく事で、保存しておける時間は、ヘリオスリザーバーで約57日、ヘリオスポータブルで約18時間である。
酸素発生器・酸素缶(酸素スプレー)
酸素発生器は水の中にタブレットを投入し水との化学反応で酸素が発生する機器だが一度反応を始めたら止める事は出来ない上、使用可能時間も少ない、また、酸素缶は一般的に用いられているスプレー缶に酸素を詰めたもので、口を覆うマスク付きの場合が多く、連続使用には不向きである。それぞれ一時的に気分が悪くなった場合などに使用するのが一般的。

いずれの容器、装置を使用する場合でも、火気厳禁(最低2 m、できれば5 m範囲)である。しかし、煙草や蚊取り線香、石油ストーブや電気ストーブ等による火災事故が後を絶たない。
副作用

酸素吸入に関して警戒すべき副作用としては、未熟児においては未熟児網膜症による失明、慢性呼吸不全患者においては炭酸ガスナルコーシスによる自発呼吸の停止および意識障害がある。また、高濃度酸素の長時間吸入による酸素中毒症や吸収性無気肺なども発生しうるほか、活性酸素を増やすため、場合によっては弊害もあるとの説もある。そのため医療機関では厳密な酸素濃度管理を行い過度の血中酸素ガス濃度にならないよう管理している。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ オキシジェン・ウィンドウとは、組織での酸素消費によって肺胞気、動・静脈血の全圧の間に較差が生じることをさしたもので、これは呼吸する酸素分圧に比例して増大することから、酸素吸入によって肺・組織間のオキシジェン・ウィンドウが増大すると、気泡と組織の間の圧勾配が大きくなり、気体の拡散が促進されて気泡は縮小することになる。

出典^ “酸素療法の目的は? どういう患者が適応なの?”. 看護roo! (2016年12月27日). 2020年3月25日閲覧。
^ Kallstrom TJ (2002 ). “AARC Clinical Practice Guideline: Oxygen thrapy for adults in the acute care facility-2002 revision & update.”. Respir Care 47 (6): 717-720. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}PMID 12078655. 
^ a b c “酸素療法のデバイス(マスクやカニューラ など)は、どう選ぶの?”. 看護roo! (2017年1月17日). 2020年3月25日閲覧。
^ 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会『がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン(2016年版)』p.37 2016年6月20日発行、金原出版株式会社
^[1][リンク切れ]
^ “在宅酸素療法用の携帯型液体酸素装置「ほたる」レンタル開始”. ガスペディア (2016年2月1日). 2020年3月25日閲覧。

参考文献

大岩弘典『新しい潜水医学』水中造形センター, 2003年

関連項目

酸素

酸素濃縮器

酸素バー

酸素カプセル

高気圧酸素治療

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

人工呼吸

高流量鼻カニュラ酸素療法










呼吸器関連の検査と手技
手術

上気道

鼻形成術(英語版)鼻中隔矯正術(英語版)鼻翼縮小術(英語版)鼻切除術(英語版)鼻腔通気度検査(英語版)音響鼻腔計測法(英語版)
副鼻腔
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喉頭
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下気道
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縦隔
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PSI(英語版)

CURB-65(英語版)

呼吸機能検査

体プレチスモグラフィ(英語版)

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気管支チャレンジテスト(英語版)

カプノグラフィ

肺拡散能(英語版)

細胞診

気管支肺胞洗浄液検査

鼻咽頭スワブ(英語版)

喀痰培養(英語版)

その他

血液ガス分析


手技(その他)

酸素吸入

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人工呼吸

心肺蘇生法

高気圧酸素治療

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