本作で継母のリンが非常に強いのは、同時期に制作されたジェット・リーの『格闘飛龍 方世玉』の影響が大きいと言われている。
ジャッキーは、泡を吹くラストシーンの撮影のために使用した薬品の影響で、翌日喉をやられてしまった[2]。 列強進出が著しい清朝末期の広東。酔八仙(酔拳)を会得したものの、酒の勢いで暴走してしまうフェイフォン(ジャッキー・チェン)は、父ケイイン(ティ・ロン)から酔拳の使用を禁じられていた。 一方、イギリスが領事館を通じて中国の国宝を国外へ密輸していた事実を察知した武術家マンケイ(ラウ・カーリョン)は阻止に動く。 ひょんなことからマンケイと知り合い事情を知ったフェイフォンだったが、やがて英国の魔手が彼とその仲間に及ぼうとしていた。 役名俳優日本語吹替
ストーリー
登場人物・キャスト
ウォン・フェイフォン:ジャッキー・チェン
本作の主人公。ハチャメチャだった前作と違いやや控えめな性格となっている。列車内の立ち入り禁止のところに鶏やアヒルをばらけさせて突破したり、帰宅後、買ってなくした人参をごまかすために父・ケイインの鉢の根をつくろうなど、ずる賢さは共通している。人参を購入するために母のリンがネックレスを売ろうとした際に、列車から盗まれた国宝と勘違いした領事館のスタッフに奪われ、格闘したさいに継母にけしかけられて酒を服用し酔拳を使ってしまい、それが父親ケイインにばれ、勘当をくらってしまう。その後、英国領事から報復を受け、街の見世物にされる。帰宅後ケイインから、酔拳禁止の理由が自分の身体を案じたためと聞き、反省して禁酒を誓った。その後、フク・マンケイと知り合い、彼の意思を継ぎ英国の悪事の阻止を約束する。最終決戦では酒の代わりに工業用アルコールを飲んで酔拳を使い、敵を倒す。その後の顛末は、日本版と海外版では異なっている(後述)。
リン:アニタ・ムイ
フェイフォンの継母で、ケイインの後妻[※ 1]。コメディリリーフ的な役割も担っている。人参をなくしたフェイフォンのために、首飾りを売り人参を買いなおさせるなど、こよなくフェイフォンを贔屓するが、彼が酒に酔った勢いでケイインを殴ったさいには叱咤を放つなどし、また領事館に監禁されていたフェイフォンが釈放された時には、ケイインと立場を逆転させ、フェイフォンよりも彼の釈放のため英国に売り渡した土地を心配するなどしていた。趣味は麻雀であるが、表向きはケイインには内緒である。ケイインの前ではおしとやかであるが、興奮すると言葉遣いが下品になる。嫁いだ割にはウォン家の御先祖様に縋る傾向がある。
ウォン・ケイイン:ティ・ロン
フェイフォンの父親で、宝芝林の主人にして、ウォン家の大黒柱。拳法の達人であるが本業は医者である。それだけに威厳があり、普段から息子フェイフォンに対しても厳しい典型的な昔の封建制度的な父親。しかし家事に異変が生じると真っ先に家族を疑うなど猜疑心を持つ単純な面や、フェイフォンを勢いで勘当したさいに跡をつけようとするツォウにさりげなく方角を示したり、大使館不法侵入で英国から制裁を受けたフェイフォンが釈放された時は、妻リンと立場を逆転させ彼を心配するなど、優しい面を持つ。フェイフォンの酔拳を禁じるのには訳があり(感覚が麻痺し痛みを感じなくなったり、正気を保てなくなるなど)禁酒を厳守させていたが、その理由を家族に説明しておらず悲劇を生むことになる。
フク・マンケイ:ラウ・カーリョン
中国の武術家で旧国家の軍人。中国の国宝を根こそぎ国外へ持ち出そうとする英国の陰謀を阻止しようとする。最初の列車のシーンから登場、フェイフォンとも格闘し、彼を盗賊と勘違いした上、彼の酔拳を未熟だと言っていた。後にフェイフォンと再会したときはウマが合っていた。街の飲食店で英国率いる集団からの襲撃を受けるが、フェイフォンと見事なチームプレイをとった。その後英国から発砲を受け非業の死を遂げる。
ジョン:ロウ・ホイクォン
中国人でありながらイギリスに与する売国奴。国宝の横流しや、鉄工所の従業員のリストラの強行、ウォン家の先祖代々の土地の強奪など多数の悪事を働く。本作の最終的な敵役で柔軟な体を駆使した足技が得意。酔拳を解禁したフェイフォンですら、工業用アルコールを摂取する前までは圧倒されるなどかなり高い実力を持つ。顎が長いのが特徴。
ツァン:フェリックス・ウォン
市場で数名の従業員と共に働く魚屋。フェイフォンと同じぐらいの若者でケイインの拳法の弟子でもある。夜にはケイインの敷地で拳法の訓練に励んでいる。ファンに好意を持っているが故に、酔拳を習いたがるファンがフェイフォンにベッタリであることに嫉妬し、フェイフォンと一戦交える。実際の二人の仲は険悪というわけではなく、酔いつぶれてリンチにあっている彼を救出しようとしたり(数に圧倒されて返り討ちにあってしまうが)、落ち込んでいる彼の事を気に掛けるような描写もある。フクの死を切っ掛けにイギリス大使館の悪行を知り協力するなど、友情関係は深い。
ファン:ホー・ヨンファン
市場で食用・漢方薬用のヘビを売る若い女性。フェイフォンの酔拳に憧れを抱きつつ、フェイフォン自身にも好意を持っている。イギリス大使館の悪行を知り、フェイフォンに協力する。
ツォウ:チャン・チーコン
ウォン家の使用人。小心者でケイインに対しては何時もびくびくしている。フェイフォンやリンの愚行の巻添えを食うことが多い。
実力や権力は不明だが、フェイフォンが英国領事から報復を受けた直後、「私がいれば奴らにあんなことはさせなかった」と豪語している。
日本語吹替
ソフト版フジテレビ版
ウォン・フェイフォンジャッキー・チェン石丸博也
リン(継母)アニタ・ムイ戸田恵子雨蘭咲木子
ウォン・ケイイン(父)ティ・ロン堀勝之祐青野武
フク・マンケイ(老武道家)ラウ・カーリョン宝亀克寿緒方賢一
ジョン(敵の武術家)ロウ・ホイクォン
ツァン(魚屋)フェリックス・ウォン星野充昭小杉十郎太
フォウ(製鉄工場に勤める男)チン・カーロウ平田広明田原アルノ
ヘンリーホスン・パク中田和宏谷口節
ファン(蛇売りの女性)ホー・ヨンファン沢海陽子坂本千夏
ツォウ(ウォン家の家臣)チャン・チーコン桜井敏治竹村拓
イギリス(領事)ルイス・ロス小島敏彦小川真司
諜報員(特別出演)アンディ・ラウ平田広明藤原啓治
将軍トン・ピョウ(日本版には未出演)
※ブルーレイ版コレクターズ・エディションには、ソフト版・フジテレビ版両方の日本語吹替が収録。 主人公ウォン・フェイフォン(黄飛鴻)は当時実在した中国武術の大家であり、彼を主人公にした映画は数知れず制作されている[※ 2]。なお本作の監督であるラウ・カーリョンは、実在のフェイフォンの弟子の孫であり、数多くの映画などで過大に装飾されていったフェイフォンについて、実在の当人の伝承を最も正確に伝える人物の一人である。 「力なき市民を虐待する権力の横暴に立ち向かうヒーロー」を描いた正統派カンフー映画を志向するラウ・カーリョンが監督になったことで、列強進出が激しくなった物語の時代背景を反映したレジスタンス活劇映画として作られ、英国人とその配下の粗暴な武芸者たちによる市民虐待描写を過酷に描くなど、明るく楽しい活劇に仕上がった前作とは異なりコメディ要素が薄まり、かなり重々しいアクション映画となった。 敵の足技使い役のロウ・ホイクォン 本作のオリジナル版(香港公開版)は、 フェイフォンが国宝密輸を阻止するために、工業用アルコールを飲み、酔拳を使い見事密輸阻止に成功する。その後フェイフォンを表彰するために新しい警察署長トン・ピョウ(董驃)が、彼の家に表敬の額を持参して訪問し、両親らと記念撮影をするが、肝心のフェイフォンがいない。署長は両親から「フェイフォンは、酔拳を使うために工業用アルコールを飲んでしまったため、副作用で目が見えなくなってしまった」との説明を受け、家の庭まで案内される。そこではフェイフォンが下男に珍妙な稽古を付けていた。署長は両親から「盲人拳の練習だ」と説明を受けるが、下男は「フェイフォンは、目だけでなく頭もおかしくなってしまっている」と説明する。
スタッフ
監督:ラウ・カーリョン
脚本:エドワード・タン/トン・マンミン/ユエン・カイチー
美術:エディー・マー/ホー・キムシン
音楽:ウー・ワイラップ
武術指導:ラウ・カーリョン/ジャッキー・チェンスタントチーム
製作総指揮:レナード・ホー
製作:エリック・ツァン/エドワード・タン/バービー・トン
日本語版スタッフ
ソフト版フジテレビ版
演出蕨南勝之田島荘三
翻訳和島陽子
効果南部満治
調整金谷和美遠西勝三
担当吉富孝明
制作ニュージャパンフィルム
初回放送1996年10月26日
『ゴールデン洋画劇場』
作品解説
黄飛鴻
配役
ラストシーンについて