アルコールそのものは可燃性液体であるため、航空保安上、度数の高い酒類の持ち込みが規制される。以下は日本においての規制内容である。[56]
70%超 危険品となり、機内持ち込みも受託もできない。
24%超70%以下 機内持ち込み分・受託分の合計が1人当たり5 Lまで。
24%以下 制限なし。
また、度数が70%超のアルコール飲料は宅配便での配送は不可である[57][58]。 酒の扱いは宗教ごとに異なっている。酒を神聖な場面で扱い、特別視する宗教・宗派がある一方で、飲酒が人や社会に悪影響を及ぼすとし、酒を敬遠・禁止する宗教・宗派もある。酒のもたらす精神変容は宗教体験や呪術と結び付けられ、非日常の宗教儀式用に摂取されるものとされていたと考えられる。今日でも様々な文化の様々な伝統宗教や祭祀習慣において、酒類は欠かせないものとなっている。飲酒にまつわる儀礼にはそうした宗教・祭祀慣習とのかかわりが深い。今日においても、酒類の儀礼性、宗教性は濃密に残っており、日本の屠蘇のように特定の祝い事と結びついた酒がある。
宗教と酒
ユダヤ教では、安息日や祝祭日を聖化して迎えるために、夕食前にワインを専用の杯に注いでキッドゥーシュという祈りの言葉を唱える(ブドウジュースで代用する場合もある)。
中世ドイツのキリスト教世界では泥酔は神に対する罪
カトリックなど大多数のキリスト教会派では、ミサや礼拝の際に執り行われる聖餐式で、赤ワイン(葡萄酒、特に混ぜ物のされていない純粋なもの)がイエスの血の象徴とされている[59]。ただし、プロテスタントの教派の多くは、アルコール分を含まないブドウジュースを用いる。
プロテスタントでは、宗派により容認度は異なり、保守的な宗派ほど厳しい。セブンスデー・アドベンチスト教会は、禁酒を勧めており、救世軍は禁酒が絶対である。
末日聖徒イエス・キリスト教会(通称:モルモン教)は、戒律で飲酒を禁じている。
イスラム教では、飲酒の効用は認めつつも、酒癖や健康上などの弊害が多いことを理由に、飲酒を禁じている。しかしその一方、適度な飲酒なら問題ないと考え、飲酒を行うムスリムも存在する。イスラム世界でもキリスト教徒やユダヤ教徒による醸造は許されたことが多く、飲酒文化が保持された。古来より飲酒をするムスリムは存在し、ルバイヤートなどでは、飲酒の快楽が述べられている。現代でも世俗主義を標榜しているトルコ、エジプトなどでは飲酒が盛んである。詳しくは「イスラム教における飲酒」参照。
ヒンドゥー教では、地域により異なる。一部の地域では飲酒は避けるべき悪徳であるとされ、中でもヴィシュヌ神の敬虔な信者の多くは飲酒をしない。ネパールの祭事インドラ・ジャートラーでは、セート・バイラブ神の像の口から時折チャンと呼ばれる米酒が流れだし、その場に居合わせたものはそれを飲むことができる[60]。また、インドネシアのバリ島で信仰されているバリ・ヒンドゥーでは、飲酒が許容されている。
仏教では、五戒の中で「飲酒は避けるべき悪徳であり、苦しみを生み出す元」と説教し、禁じていた。しかし日本においては末法思想・末法無戒思想が流行し、法然が飲酒を「この世の習」として許可して以来、この戒を守る僧は実際には少数派である[61]。このため「酒を飲んではならない」という戒を公式には掲げながらも、実際には酒を飲むことが当たり前となっており、「不飲酒戒」を堂々と破ることが常態化している。ただし、無戒思想を持つ教団(法然・親鸞・日蓮系)においては教学上問題にならない。
神道では、お神酒(おみき)は神への捧げものであると同時に、身を清め神との一体感を高めるための飲み物とされる。
ラスタファリ運動は飲酒を禁じている。
カンドンブレでは、神への供物とされる。エシュにはカシャッサ、イェマンジャには白ワインなど、神によって酒類の好みがある。
主な酒様々なウィスキー赤ワインビール日本酒
蒸留酒(スピリッツ)
ウイスキー
スコッチ・ウイスキー
アイリッシュ・ウイスキー
バーボン・ウイスキー
テネシー・ウイスキー