都筑道夫
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2001年、『推理作家の出来るまで』で第54回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)受賞。2002年には第6回日本ミステリー文学大賞を受賞した。

講師を務めた「都筑道夫の創作講座」から深堀骨畠中恵らがデビューしている。

フリーライター・斎藤勲、漫画家・高信太郎は、戯れで「都筑に師事」したとして、都筑を酒席などで「師匠」と呼んでいたという[13]

2003年11月27日、動脈硬化症による心臓発作のためハワイ州ホノルルの病院で死去。74歳没。長年東京で暮らしていたが、2002年に妻を亡くし、長女がいるホノルルに移住していた[14]
作風

好きな作家としてチェスタトンレイモンド・チャンドラーグレアム・グリーン久生十蘭、最も影響を受けた作家として岡本綺堂大佛次郎大坪砂男の名を挙げている[15]

初期のミステリーでは、主人公を「きみ」という二人称で扱い、自分が自分として扱われなくなった男の焦燥を描く『やぶにらみの時計』、記述者が探偵・犯人・被害者という一人三役に挑戦し、束見本に書かれた手記という形態をとる『猫の舌に釘を打て』、正体を隠した執筆者二人が一章ごとに分担して執筆するという形式をとった「誘拐作戦」、作中作として翻訳風ストーリーが並行して語られる『三重露出』など、工夫を凝らした奇抜な設定が顕著であった。

その後は独創的な「名探偵」の創出にも意欲を燃やし、それが個性的なシリーズものとなって結実している。例えば『なめくじ長屋捕物さわぎ』の砂絵描きの「センセー」、幽霊専門の探偵「物部太郎」、日本にやってきて居候をしているものぐさ詩人「キリオン・スレイ」、安楽椅子探偵の「退職刑事」[注 6]などである。官憲嫌いで、現職刑事など体制側の所属者を探偵役に据えることは滅多にない。「なめくじ長屋」シリーズでも、レギュラー協力者役の目明し・下駄常はあまり好意的な描きかたをされておらず、同心連中はさらに辛らつな扱いである。

推理小説を「謎と論理のエンタテイメント」であるとし、犯人が仕掛けるトリックよりは、ロジックの方が重要であるとの考え方を示した[16]。極端に言えば、魅力的な謎と、なぜそのような状況が生じたのかという必然性が論理的に語られるならば、トリックなどなくても推理小説は成り立つ、というのが都筑の立場である[16]。また、「泣く蝉よりもなかなかに泣かぬ蛍が身を焦がす」という浄瑠璃の一節[注 7]をハードボイルドの精神としてしばしば引用し、たとえばヒロインの全裸死体をクールに客観描写しながら「夏をたのしんだ水着のあと」という一語を添えて哀れさを暗示するなどのスタイルで実践している。

小説全般に関しては、「軽くても、うまい小説が書きたかった」との言葉を残している[要出典]。
見解・発言

長谷川五郎によるオセロの発売直後(1973年)に、「子供の頃に同じ遊びをした記憶がある」と疑問を持ち、『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』の創刊に携わった田中潤司に尋ねたところ、「欧米にはリバーシというゲームがあり、昔から日本でも源平碁として親しまれている。1968年のハナヤマの商品カタログにも掲載されている」との回答を得た。さらに独自の調査を行い、娯楽研究家である矢野目源一の著書『娯楽大百科』[17]を参照し、「オセロはリバーシと同一のゲームである」と判断、発売元が海外輸出を目指していることを批判している[18]
作品リスト
小説(シリーズ)
「近藤&土方」

『紙の罠』(
桃源社) 1962、のち角川文庫(映画『危いことなら銭になる』原作)、のちちくま文庫(日下三蔵編集)

『悪意銀行』(桃源社) 1963、のち角川文庫、光文社文庫、のちちくま文庫(日下三蔵編集)

『紙の罠・悪意銀行』(三一書房) 1968

『NG作戦』

『ギャング予備校』

「なめくじ長屋捕物さわぎ」

(推理界・問題小説ミステリマガジン・別冊小説現代・別冊週刊大衆小説推理・小説クラブ増刊・幻影城→野性時代)

『血みどろ砂絵』(桃源社) 1969、のち角川文庫、光文社文庫

『くらやみ砂絵』(桃源社) 1970、のち角川文庫、光文社文庫

『からくり砂絵』(桃源社) 1974、のち角川文庫、光文社文庫

『あやかし砂絵』(桃源社) 1976、のち角川文庫、光文社文庫

『「砂絵くずし」なめくじ長屋捕物さわぎ傑作選』(中公文庫) 1979

『なめくじ長屋捕物落語 きまぐれ砂絵』(角川書店) 1980、のち文庫、光文社文庫

『かげろう砂絵』(桃源社) 1981、のち角川文庫、光文社文庫

『まぼろし砂絵』(光風社出版) 1983、のち角川文庫、光文社文庫

『おもしろ砂絵』(光風社出版) 1984、のち角川文庫、光文社文庫

『ときめき砂絵』(光風社出版) 1986、のち光文社文庫

『いなずま砂絵』(光風社出版) 1987、のち光文社文庫

『さかしま砂絵』(光文社) 1997、のち文庫

「キリオン・スレイ」

(推理界、時(旺文社)、別冊週刊大衆→小説推理→野性時代)


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