郵便貯金
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これにより、130年あまりにわたって運営されてきた郵便貯金の歴史に幕が下ろされた。ただし、ゆうちょ銀行に引き継がれたのは、2007年9月30日の終わり時点での流動性の貯金であった通常郵便貯金などであり、定期性貯金等、それ以外の貯金は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(郵政管理・支援機構)に引き継がれている(定期性貯金として引き継がれた貯金が、民営化後に満期が到来し、通常郵便貯金扱いとなったものは、流動性貯金であっても、機構扱いの貯金とされ、払戻のみの扱いとされる)。また、ゆうちょ銀行が行っている預金サービスは「貯金」であり、郵便貯金ではない。
沿革

1875年明治8年)5月2日 - 郵便貯金事業創業

1885年(明治18年)12月22日 - 逓信省発足

1908年(明治41年)2月 - 郵便貯金現在高1億円達成

1941年昭和16年)

10月 - 定額郵便貯金の創設

12月 - 2年積立郵便貯金の創設


1942年(昭和17年)5月 - 郵便貯金現在高100億円達成

1943年(昭和18年)11月1日 - 逓信省廃止、通信院発足

1945年(昭和20年)5月19日 - 通信院廃止、逓信院発足

1946年(昭和21年)7月1日 - 逓信院廃止、逓信省再発足

1949年(昭和24年)

6月1日 - 逓信省廃止、郵政省発足

9月 - 郵便貯金現在高1,000億円達成


1960年(昭和35年)6月 - 郵便貯金現在高1兆円達成

1961年(昭和36年)10月 - 1年定期郵便貯金の創設

1972年(昭和47年)

1月 - 住宅積立郵便貯金の創設

6月 - 郵便貯金現在高10兆円達成


1973年(昭和48年)1月 - 預金者貸付制度の創設

1976年(昭和51年)1月 - 財形定額郵便貯金の創設

1978年(昭和53年)

4月 - 6ヶ月定期郵便貯金の創設

7月17日 - 進学積立郵便貯金の創設

8月1日 - 郵便貯金オンラインシステム稼働


1979年(昭和54年)12月 - 郵便貯金現在高50兆円の達成

1980年(昭和55年)

2月 - 郵便貯金自動支払機(CD)設置開始

3月 - 通常貯金への給与預入制度開始


1981年(昭和56年)

3月23日 - 郵便貯金自動預払機(ATM)設置開始

6月 - 担保定額郵便貯金の創設による総合通帳サービス開始


1982年(昭和57年)

4月 - 愛育定額郵便貯金の創設

6月 - 通常貯金からの自動払込み制度創設

10月 - 財形年金定額郵便貯金の創設


1983年(昭和58年)7月1日 - 通常貯金への自動払出預入(自動受取り)制度創設

1984年(昭和59年)

3月 - 郵便貯金オンラインシステムの全国ネットワーク完成

7月 - 郵便貯金共用カードの創設

10月 - オート定額郵便貯金(自動積立定額郵便貯金)の創設


1985年(昭和60年)12月28日 - 郵便貯金現在高100兆円達成

1987年(昭和62年)

3月 - 1年・3年積立郵便貯金の創設

6月 - 郵便貯金資金の自主運用開始


1988年(昭和63年)

4月 - 財形住宅定額郵便貯金の創設

11月 - 国債定額郵便貯金の創設


1989年平成元年)

6月 - 市場金利連動型定期郵便貯金(MMC)の創設

8月 - 通常貯金に同一記号番号の振替口座を付随させる(送金機能付)新総合通帳サービス開始。


1991年(平成3年)

1月 - 国際ボランティア貯金の創設

9月 - 進学積立郵便貯金を教育積立郵便貯金へ制度改組

11月 - 自由金利型定期郵便貯金(ニュー定期郵便貯金)の創設


1992年(平成4年)6月 - 通常貯蓄郵便貯金の創設

1993年(平成5年)

4月 - オート定期郵便貯金(自動積立定期郵便貯金)の創設

5月 - 国債定期郵便貯金の創設、通常貯金への国家公務員給与預入制度創設

6月 - 1ヶ月定期郵便貯金の創設、市場金利連動型定期郵便貯金(MMC)の廃止

10月 - 通常郵便貯金と通常貯蓄郵便貯金のスウィングサービス創設


1994年(平成6年)10月 - 4年定期郵便貯金の創設

1996年(平成8年)9月 - 介護郵便貯金の創設

1997年(平成9年)5月 - 定期受取型定額郵便貯金の創設、愛育定額郵便貯金の廃止

1998年(平成10年)5月 - 満期一括受取型定期郵便貯金の創設

2001年(平成13年)

1月6日 - 郵政省廃止、総務省郵政事業庁発足

4月1日 - 郵便貯金資金の全額自主運用開始


2002年(平成14年)3月1日 - ニュー福祉定期郵便貯金の創設

2003年(平成15年)4月1日 - 郵政事業庁廃止、日本郵政公社発足

2005年(平成17年)4月3日 - 定期受取型定額郵便貯金・国債定額郵便貯金・国債定期郵便貯金の廃止

2007年(平成19年)10月1日 - 郵政民営化、郵便貯金法・日本郵政公社廃止。郵便貯金として預けられた定期性の貯金については、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に移管。流動性の貯金については、株式会社ゆうちょ銀行に移管(同日以降に、郵便貯金時代の定期性貯金の満期が到来した場合に発生する通常郵便貯金は、払戻のみ受付の機構扱いとされ、ゆうちょ銀行への移管対象外とされる)。

2017年(平成29年)9月30日 - 郵便貯金・簡易生命保険管理機構に移管されていた郵便貯金すべての満期が到来(民営化以降に満期到来する貯金は、機構扱いの通常郵便貯金への預け入れと見なされる)。以降は、郵便貯金については、時効までの払戻のみの対応となった。

2037年令和19年)11月30日 - この日までに、満期到来後の払戻を行っていない郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(郵便貯金・簡易生命保険管理機構より改称)に移管されていた郵便貯金すべての時効(時効停止とされている貯金を除く)が到来予定。

サービス内容
「郵便貯金」という名称

郵便貯金創業当初、貯金を取り扱う機関が他に存在しないため、単に「貯金」といえば、現在の「郵便貯金」を指していた。しかし、民間金融機関の出現により、1880年3月に「駅逓局貯金」という名称が導入された。駅逓局は、当時の郵便局の名称である。その後、1887年4月に「郵便貯金預所貯金」と改称し、1890年8月13日に翌1891年1月から施行される「郵便貯金条例」が制定され、以後、「郵便貯金」という名称が使われることとなった。
取扱郵便局

郵便貯金は、郵便貯金法第1条により、「簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させること」と規定されていたことから、公社が「貯金非取扱い郵便局」として定めた郵便局を除き、日本全国全ての郵便局の貯金窓口において取扱いが行われた。非取扱局して指定された郵便局では「郵便貯金業務を取り扱わない」旨の掲示が行われた。

簡易郵便局では農協(JA)の店舗に併設されている簡易局などで郵便貯金業務の全部又は一部(郵便為替業務のみを取り扱う場合を含む)を受託しておらず、取り扱わない簡易局が存在した。
預入限度額

郵便貯金法第10条により、郵便貯金のうち通常郵便貯金、通常貯蓄郵便貯金、積立郵便貯金、教育積立郵便貯金、定額郵便貯金、定期郵便貯金については合算して1預金者につき1000万円の預入限度額が存在した。このうち、教育積立郵便貯金については1000万円の限度額内で200万円という制限があった。

住宅積立郵便貯金、財形定額郵便貯金、財形住宅定額郵便貯金、財形年金定額郵便貯金については、1000万円の限度額とは別枠で預入することができ、住宅積立については50万円、財形・財形住宅は550万円、財形年金は財形の550万円の限度額内で385万円の限度額がそれぞれ設けられていた。

例えば、預金者Aが1000万円の定額郵便貯金を預入した場合、積立・教育積立・定期郵便貯金は一切預入することができないが、住宅積立・財形(一般・住宅・年金)をすることは可能であった。通常郵便貯金については、通常郵便貯金と同一記号番号である郵便振替口座を開設(新総合通帳サービスを利用)し、かつ「移替基準額」を0円とすれば利用することは可能である。これは移替基準額0円の通常郵便貯金は、全額郵便振替の預り金として制度上は管理されるため、郵便貯金の預入限度額に関係しないためである(郵便振替の預り金には限度額がない)。

なお、預金者Aの定額郵便貯金1000万円が預入日から10年経ち満期を迎えた場合、利息が付いた上で全額が通常郵便貯金となるが、この利息分全額が1000万円を超えるため「限度額超過」となり(仮に元金1000万円の定額郵便貯金に10万円の利息が付いた場合、郵便貯金の預入が1010万円となり、利息分10万円が限度額を超えている)、速やかに預金者Aは減額(払戻)をしなければならなかった。

そもそも、預入限度額は郵便貯金創設当初より存在しており、当初は「年間総額元利合わせて500円」であった。1881年から預入限度額という制度が撤廃されたが、1891年1月に復活し、郵政民営化(2007年10月1日)以降も、郵便貯金とその後身の株式会社ゆうちょ銀行には預入限度額が存在している。


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