避妊
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泌乳性無月経法 (6ヶ月の失敗率)0?7.5%[25]<2%[26]

避妊具の使用
コンドーム詳細は「コンドーム」を参照使用前のコンドーム(突起部が精液溜まり)

コンドームはラテックスポリウレタンの薄膜をサック状にした避妊具で、に挿入する前に勃起した状態のペニスに被せて使用する。避妊具の中では最も一般的に使用される(PI:3 - 14%程度)。確実な避妊のためには、勃起直後に装着することが勧められる。また、勃起したペニスの大きさに適応したコンドームを使用しないと行為中に外れる可能性があるため、自身(パートナー)の勃起したペニスの大きさを測定した上で、大きさに応じたコンドームを装着しなければならない。

勃起時のペニスの参考サイズは、コンドームを参照のこと。ペニスの太さにあわせて多様なサイズが用意されており、SSやLLは店頭になくともECサイトで気軽に購入できる。効果を確実にするために、適切なサイズのコンドームを選択することが望まれる。大鵬薬品工業から2004年4月30日まで発売されていた女性用コンドーム「マイフェミィ」

単に「コンドーム」と言うと男性が装着する避妊具を指すが、女性器に装着する女性用コンドームも市販されている。
ペッサリーペッサリーの装着位置詳細は「ペッサリー」を参照

避妊用のペッサリーはより挿入するゴム状の避妊具で、本来は子宮の位置を直すための道具である。子宮口に被せるように指で挿入し、通常は殺精子剤と併用するが現在では殆ど使われていない。膣内に入った精子が子宮に達せず避妊することができる。装着状態が見えないために正しく装着するのが難しい。

装着方法については指導が必要であり、避妊の確率もあまり高くなく(PI:6 - 20%程度)単独ではあまり使用されない。また、人によって適したサイズ・形状などが異なるために薬局では販売されておらず、入手するためには産婦人科医の診察を受ける必要がある。ペッサリーは避妊の目的以外にも、膀胱脱や子宮下垂、子宮脱の矯正にも使用される。
子宮内避妊用具(IUD)銅付加IUD「パラガード(英語版)」T 380A詳細は「子宮内避妊器具」を参照

子宮内避妊用具にはリング状・ループ状・コイル状など様々な形がある。これを病院において子宮内に挿入しておくと体機能としての異物排除機能が働き、受精卵の着床を妨げることで妊娠を防ぐ。避妊の確率はあまり高くなかったが、近年の改良により徐々に確率は高くなっているとされる。日本では単純タイプに加え、銅付加タイプ(PI:0.6 - 0.8%程度)が認められている。Intra-uterine (Contraceptive) Deviceの頭文字をとってIUD(あるいはIUCD)とも呼ばれる。日本ではリング状のものが早くから普及したため「避妊リング」と呼ばれることも多い。

月経が終了してから、 4 - 5日の間に装着する。副作用として月経の出血量増加や期間延長、下腹痛、不正性器出血が起きる場合がある。ある製品では総症例1,047例中602例(57.5%)に使用に関係する副作用が認められ、主な副作用としては月経異常269件)(25.7%)、過多月経136件(13.0%)、月経中間期出血120件(11.5%)、腹痛116件(11.1%)、疼痛111件(10.6%)、白帯下108件(10.3%)等であった[27]。また、IUDが子宮から飛び出してくる滑脱子宮の壁を突き破る穿孔、骨盤内炎症性疾患(PID)、挿入後の子宮や卵管感染などの有害事象がある。誰でも使用できるわけではなく、先天性心疾患又は心臓弁膜症の患者には慎重な使用が求められる。また使用ができないケースとしては通常、出血性素因のある女性や診断の確定していない異常性器出血のある人、妊娠のしたことのない人や子宮外妊娠をしたことがある人、貧血を伴う過多月経のある人、性感染症や性器感染症のある人、頸管炎又は腟炎の患者や産婦人科領域外であっても重篤な疾患のある患者、先天性・後天性の子宮形体異常のある女性などがある。また普通の妊娠は防げても、子宮外妊娠は防げない。また、定期検診と数年に一度の取替えが必要である。
ミレーナ子宮内避妊システム「ミレーナ」詳細は「ミレーナ (子宮内避妊システム)」を参照

挿入方法、形状はIUDと同じだが、中央の部分から黄体ホルモン女性ホルモンの一種)が持続的に子宮内に放出されるのが特徴であることから、「レボノルゲストレル放出子宮内避妊システム」と呼ばれることとなった。黄体ホルモンは子宮頸管(子宮の入り口)の粘膜を変化させ精子の侵入を防ぎ、また子宮内膜の増殖を抑制し、受精卵着床を防ぐ作用がある。それに伴う倫理的問題は子宮内避妊用具(IUD)と同じである。ミレーナは1970年代に開発が始まり1990年にフィンランドで初めて承認・発売された。月経が終了してから4、5日の間に装着する。ただし使い続けていると無月経になる可能性もあるが、除去すれば直ぐに月経が戻り妊娠可能となる。過多月経の女性には推奨できないIUDと異なり、ミレーナでは月経時の出血量が軽減される。また、IUDと同様に子宮から飛び出してくる滑脱、子宮の壁を突き破る穿孔のリスクがある。

他の副作用としては、総症例482例中428例(88.8%)に副作用が認められ、主な副作用は月経異常(過長月経,月経周期異常等)379例 (78.6%)、卵巣嚢胞61例(12.7%)、除去後の消退出血57例 (11.8%)、月経中間期出血48例(10.0%)、腹痛38例(7.9%) 等[28]。誰でも使用できるわけではなく、性器癌及びその疑いのある人、黄体ホルモン依存性腫瘍及びその疑いのある人、診断の確定していない異常性器出血のある人、先天性・後天性の子宮の形態異常(子宮腔の変形を来しているような子宮筋腫を含む)、性感染症になったことがある又は性器感染症のある人、頸管炎又は腟炎の患者、再発性又は現在PIDの患者、子宮外妊娠や分娩後子宮内膜炎又は感染性流産になったことのある人、重篤な肝障害又は肝腫瘍の患者、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には使用できない。また、先天性心疾患又は心臓弁膜症の患者、糖尿病患者、肝障害のある患者には副作用があるため、慎重な使用が求められる。使い始めてから数ヶ月の間は子宮内膜への刺激などで月経時以外にも少量の出血が続く場合もあり、出産経験の無い人は子宮口が開いていないため挿入時に痛むこともある。IUDと同様、定期的な検診と数年に一度の取替えが必要である。
薬品の使用
ピル(避妊用ピル)詳細は「経口避妊薬」を参照

内服用の避妊用女性ホルモン剤のこと。経口避妊薬(OC)とも呼ばれる。

ピルを女性が服用することにより、人工的に排卵終了後の黄体期と同様な内分泌状態を持続させることで排卵を停止させる。正しく服用した場合の避妊の確率はそれなりにある(PI:0.1-5程度)。避妊以外にも生理時期の調整や月経困難症(生理に伴う重い症状)の緩和、子宮内膜症の治療などに使われる。一方で人により血栓症、肥満などの副作用が出る場合もあるので入手には医療機関の受診が必要である。

副作用としては、体重の増加(肥満)、偏頭痛吐き気嘔吐、イライラ、性欲減退、むくみ膣炎肝機能障害、長期服用による発癌性などの可能性が指摘されている。子宮筋腫糖尿病を悪化させる可能性もある。ピルの主要な副作用としては血栓症があげられる。

ピルは、血栓が起こるリスクを3 - 5倍引き上げるとされ、イギリスでは10年間に104人が血栓症で死亡した。日本でも、医薬品の安全を管理する独立行政法人医薬品医療機器総合機構の集計によると、2008年 - 2013年上半期に、日本で使用されたピルに関して、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例361件が副作用として報告されていた。その中で死亡例は11件あり10代1人、20代2人、30代4人、40代1人、50代2人、不明1人だった[29]

発癌性に関しては、国際がん研究機関によるIARC発がん性リスク一覧で、「経口避妊薬の常用」に関して「Group1 ヒトに対する発癌性が認められる」と評価されている。また、喫煙を伴うと心臓・循環器系への副作用が高まるため、ピルを服用するなら喫煙をしないことが望ましい。

ピルを服用できない場合としては、乳がん子宮体がん子宮頸がん子宮筋腫の患者及び疑いのある人、原因不明の出血や血栓症を起こしたことがあるがある人及び肺塞栓症冠動脈疾患・血栓症静脈炎・脳血管障害の患者やこれらの病気にこれまでにかかったことがある、その疑いのある人、片頭痛の患者、糖尿病患者、高血圧の人、35歳以上で1日15本以上のタバコを吸う人、コレステロール値や中性脂肪の高い人、腎臓肝臓に病気のある人、以前妊娠した時に持続的なかゆみまたは黄疸や妊娠ヘルペスの症状が出たことのある人。

また肥満や40歳以上の人、子宮筋腫のある人などには慎重な投与が求められる。かつては中用量ピルが用いられていたが、副作用のリスクの低減を目的として低用量ピル、超低用量ピルが開発された。

日本でのピルの承認は、他先進国と比較して酷く遅れ、ピルの発見から40年間の年月を必要とした(アメリカ合衆国では1960年代に認可されている)。日本では、まず最初に治療目的の中用量ピルが最初に認可されたが、避妊を目的としたものではなく、副作用も強かった。1998年やっと避妊目的の低用量ピルが認可された。2010年に超低用量ピルが月経困難症の治療薬として認可されたが、避妊用としては低用量ピルが主流になっている。
インプラント

プロゲステロンを含有した徐放性のスティックを女性の上腕の皮下に埋没させ、長期間にわたって避妊効果を発揮させるもの[30]


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