様々なものがある中、特に重要な要素を挙げると、大きな荷重を受ける軸受、漏れを抑える軸封装置、ガイドベーンを動かすリンク機構などがある。 第二次世界大戦中より本格的な開発が始まったターボジェットエンジンに関して、その圧縮機に注目するとイギリスは遠心式[注 6]、ドイツは軸流式が中心であった。その後、遠心式はチタン合金の登場や航空技術の進歩とあいまって大きな圧力比が実現できるようになった。以下、航空用の観点からもう一方の代表的な圧縮方式である軸流式圧縮機との比較で記述する。
機械構造
圧縮機本体
増速歯車装置
流量制御装置
給油装置
冷却器
その他:必要に応じて脱湿装置など
軸流式圧縮機との比較 (航空用)
優位な点
小型化しても効率は軸流式ほど落ちないので補助動力装置(APU)等の小型の用途に用いられる。
部品点数が少ないので軽量化、コストダウンに適している。また回転数が変動しても効率は軸流式ほど変動せず、同じ圧力比なら長さを短くする事ができるため小型機のエンジンとしては適している。
軸流では問題になりやすいサージングが発生しにくい。
異物の吸入による損傷に強く、翼表面の付着物による性能劣化が穏やかである。
所定の回転数で作動可能な流量範囲が広く、タービンとのマッチングがしやすい。
不利な点
同じ正面面積の軸流式圧縮機より流量が少ない。
圧力比を上げるには多段化する必要があるが、構造上、多段化が難しいため、多くは単段である[注 7]。
多段化せずに圧力比や推力を増やす為に圧縮機の直径を大きくすると空気抵抗が問題となり、回転数を高めると、遠心力の増大に対する強度の問題が生じる。
大型化した際には重量の増加も著しく、大出力エンジンにおいては軸流式との大差が無くなるばかりか、軸の一点に荷重が集中してバランスを損ねる。さらに大径化によって空気抵抗も増加する[注 8]。このため、小型、軽量化に適した遠心圧縮式の利点を必要としながら、1段のみで圧力比が不足する場合でも、遠心式を多段化するケースは少なく、最終1段のみを遠心式とし、その前に軸流式を数段配置した併用型が多くを占めている[注 9]。
流入した気体の流れを途中で90度曲げるので気体がスムーズに流れず、流路で損失が生じる。
羽根車の翼(ベーン)は高圧には強いが、その一方で遠心力によるストレス(金属疲労)が圧縮機の安全性と耐用年数の限界となる。
用途
パイプラインにおける天然ガスの圧送
石油化学プラントにおける気体圧送
遠心冷凍機
大型空気圧縮機
空調機器
空気分離装置
ガスタービン
航空機の与圧機、補助動力装置(APU)
レシプロ機関のターボ過給機
ロケットエンジンのターボポンプ
脚注
出典^ JIS B 0132 2005
注釈^ 機械エネルギーの一部を流体のエネルギーに、更に流体のエネルギーの一部を圧力エネルギーに変換している。
^ 羽根車+ディフューザーで、1段と数える。
^ 冷却による全圧損失が生じる。
^ 入り口ガイドベーンで予回転するのもマッハ数を抑えたり流量を調整するためである。
^ NC旋盤やマシニングセンタなどのCNC工作機械による加工
^ 史上初のジェット旅客機による定期便で使用されたコメットのエンジンは遠心式圧縮機を採用している
^ ヴィッカース ヴァイカウント、アームストロング・ホイットワース アーゴシー、ハンドレページ ヘラルド
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