道_(1954年の映画)
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芸達者な彼は綱渡りの綱の上にテーブルとイスをセットしてスパゲッティを食べる。ローマのある公演では空中ブランコの曲芸を披露。このほか、小型バイオリンを弾きこなし悲しいメロディ(映画『道』テーマ曲)を奏でながら、自分の尻に向けてジェルソミーナにラッパを「ブー」と吹かせるシーンがある。イル・マットはジェルソミーナに、ザンパノという男は犬と同じで、ジェルソミーナを好きで話をしたいのに吠えるしかないのだと説く。彼はザンパノをとことんからかい、ザンパノは大爆発する。ザンパノは喜劇でライフル銃を持ち、ライフル銃の意の単語「fucile」(フチーレ)をきちんと言わず、「ciufile」(チゥフィーレ)という馬鹿っぽく人畜無害な印象を与える言い方をして、そのせいでジェルソミーナはザンパノを怖がらない[7]。それにより人々らを面白がらせるのだが、「鋼鉄の肺を持つ男」であるザンパノは、いちいちイル・マットから可愛らしく「チゥフィーレ」呼ばわりされて相当頭に来ていた[* 4]。ある日、彼はザンパノの3発(後にザンパノは2発と言っている[* 5])で打ちどころを悪くして死んでしまう。イル・マットを殴り倒した時、彼は「チゥフィーレ」のお礼だと捨て台詞を吐く。映画評論家・淀川長治の解説では、このイル・マットは神である[8]

音声

当時のイタリア映画の慣習から、撮影は音声の録音が行われず、会話と音楽と音響効果は後で追加された[9]。ゆえに、キャストたちはそれぞれの日常の使用言語を撮影中に話し、クインとベイスハートは英語、マシーナその他の面々はイタリア語であった[10]

クインはメキシコ・チワワ生まれのアメリカ育ち、ベイスハートはアメリカ・オハイオ生まれのアメリカ育ちで、この2人はイタリア語を話さず、イタリア語のオリジナル版における2人は吹き替えであった[11]。最初にザンパノの吹き替えをした声優に難色を示したフェリーニは、黒澤明羅生門』イタリア語吹き替え版において三船敏郎の声を担当したアルノルド・フォア(en:Arnoldo Foa)の仕事に感銘を受けたことを思い出し、瀬戸際になってフォアを起用することができた[12]

英語吹き替え版において、クインとベイスハートは自分の役の吹き替えをしたが、マシーナは別の声優が吹き替えをした[9]

日本では、NHK教育テレビ1971年11月23日の10:30?12:19に日本語吹き替え版での放送が行われた[4]。その日本語吹き替え音源は、紀伊国屋書店シネフィルブルーレイ化の際に収録するため捜索したものの、権利元が音源を紛失しており、視聴者の録画もネット上で公募したが[13]見つからなかったため、ソフト収録や放映が出来ない状態となっている。
主題曲

音楽・音声外部リンク
La Strada (Original Soundtrack - 1954)
- YouTube

主題曲(Tema Della Strada)を始めとする本作の音楽は、フェデリコ・フェリーニ監督作品を数多く手掛けたニーノ・ロータが作曲した。

主題曲は、後に歌詞が付けられ歌手たちにカバーされた。イタリア語ではミケーレ・ガルディエーリ(Michele Galdieri)が作詞した歌をニラ・ピッツィ(Nilla Pizzi)らが歌っている。

本作が日本で公開された1957年第8回NHK紅白歌合戦で、「ジェルソミーナ」として中原美紗緒が日本語歌詞で歌っている(訳詞:音羽たかし)。ザ・ピーナッツあらかはひろしの訳詞、宮城まり子佐伯孝夫の訳詞、カルメン・マキ島田祐子は訳者不詳の日本語詞で同様に「ジェルソミナ」という曲名の歌を歌っている。

リュシエンヌ・ドリール(Lucienne Delyle)は、ホセ・しばさき(Jose Shibasaki)の日本語詞で「ジェルソミナ」、ロベール・シャブリエ(Robert Chabrier)作詞のフランス語詞で「Gelsomina」を歌っている。

自ら作詞して歌っている歌手に、沢田研二(曲名「ジェルソミーナ」)、美輪明宏(曲名「ジェルソミーナ」)がいる。

2010年バンクーバー冬季オリンピックフィギュアスケート男子シングル橋大輔がこの曲を採用、同種目において日本人選手初のメダリスト(銅メダル)になった。
受賞とノミネート

年賞部門候補結果
1954
ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞フェデリコ・フェリーニ受賞
金獅子賞フェデリコ・フェリーニノミネート
1955ナストロ・ダルジェント賞最優秀作品監督賞フェデリコ・フェリーニ受賞
最優秀プロデューサー賞ディノ・デ・ラウレンティス、カルロ・ポンティ受賞
1956ニューヨーク映画批評家協会賞外国語映画賞フェデリコ・フェリーニ受賞
1956ボディル賞非アメリカ映画賞フェデリコ・フェリーニ受賞
1956ナショナル・ボード・オブ・レビュー外国語映画賞フェデリコ・フェリーニノミネート
1956英国アカデミー賞作品賞フェデリコ・フェリーニノミネート


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