連邦倒産法第11章
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返済順位の優劣等を考慮しながら、実質的に同等な(substantially similar)債権を有する債権者は同一のクラスに属することとなる(1122条(a)項)。

次にクラスごとに債権の取扱いを定める。たとえば、あるクラスは債権40パーセント減額かつ3年の月賦返済、それより優先する別のクラスは20パーセント減額の即時支払いといった具合である。同一クラスの債権者は同一に取扱わなければならない(1123(a)条(4)項)。たとえば、ある債権を分割払いにしたときに、同一クラスの他の債権を一括払いとすることは許されないし、同一クラスにおける債権の減額率は同一でなければならない。
再建計画の承認と認可

提出された再建計画はまず、各クラスにおいて、債権者数にして過半数かつ債権額にして3分の2以上の賛成により承認(acceptance)されなければならない(1126条)。

再建計画は原則として全てのクラスで承認される必要がある。ただし、次の例外がある。

再建計画によって権利の内容が変更されないクラスや、債権全額が即時に支払われるクラスは、利益を害されていない(not impaired)のでその承認を得る必要はない(1126条(f)項、1124条)。

利益を害されるクラスのひとつが承認に反対している場合であっても、利益を害される他のクラスのうち少なくともひとつのクラスが承認しており、かつ、再建計画が公平(fair and equitable)で反対クラスを不公平に差別(discriminate unfairly)していなければ、不承認のクラスがあっても裁判所は再建計画を認可できる(1129条(a)項(10)号、1129条(b)項)。このように、あるクラスの反対を押し切って再建計画の認可を得ることを、クラムダウン(cramdown, cram down)と呼ぶ。

必要なクラスの承認が得られれば、裁判所は、債権計画が第11章の所定の諸要件(共益費用の全額支払や債権計画の実現可能性等)を満たしているかを審査した上で、これを認可(confirmation)する(1129条)。債権計画が認可されると、再建計画に反対した債権者もこれに拘束され、債務者の負う債務は再建計画のもとの債務に変更される。認可以前に生じた債務は免責(discharge)となる(1141条)。
再建計画の実行と手続の完了

債務者は再建計画と破産裁判所の命令に従って債務を返済し、事業を継続する義務を負う(1142条)。再建計画に基づく義務を果たした場合には、債務者は「倒産状態から脱却(emerge from bankruptcy)」したものとされ、通常の企業として事業を継続することとなる。
利害関係者との事前調整を経た第11章手続

上記のとおり、第11章手続においては、債務者その他の利害関係者から再建計画が提出され、それが承認・認可され、実行されるわけであるが、実際には、承認される計画が策定されるまでには関係当事者間の交渉が必要であり、倒産手続完了までにかかる時間と費用が肥大化することがある。これを回避するために、手続開始前に債権者等の利害関係者との事前調整を経た第11章手続が利用されることがある。

例えば、債務者が、債権者その他の利害関係者との間で再建計画の大要に関して合意(plan support agreementやlock-up agreement等と呼ばれる。)に達した上で手続開始を申し立てる場合がある。その後比較的短い期間内に合意内容に基づいた再建計画を提出し、債権者は事前の合意に基づいてこれを承認する。これを、pre-negotiated Chapter 11またはpre-arranged Chapter 11[注 2]という。全ての利害関係者の合意を得ておく必要はなく、それぞれのクラスにおいて計画を承認するのに必要な頭数と金額の債権者の合意を得ておけば足りる。また、クラムダウンを前提に一定のクラスについてはその合意を取らずに申し立てるケースもある。

さらに、予め再建計画を策定し、この承認に必要な債権者の承認を得てしまってから手続開始を申し立てる場合もある。これはpre-packaged Chapter 11[注 2]と呼ばれる。
関連項目

連邦倒産法第7章 - 日本の破産法に相当する清算型倒産処理

連邦倒産法第13章

連邦倒産法 - 連邦倒産法全般と通則的規定の解説

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日本の新聞・テレビ等で「11章」ではなく「連邦破産法11条」と訳されることがあるが、「Chapter(通常は章)」という言葉の意味としても、5万数千語という実際の条文の長さや構造に照らしても、"条"は適切ではない。
^ a b これらの用語の定訳はない。例えば、pre-negotiated Chapter 11を「事前交渉済チャプター・イレブン」、pre-packaged Chapter 11を「事前準備済チャプター・イレブン」と訳した ⇒がある一方、原語のまま使用する例もある。

出典^ 11 U.S. Code CHAPTER 11?REORGANIZATION Legal Information Institute, Cornell Law School
^ Current Release Point Office of the Law Revision Counsel
^ 11 U.S. Code §?1112.Conversion or dismissal Legal Information Institute, Cornell Law School

外部リンク

USC CHAPTER 11 - REORGANIZATION


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