NHKドラマ番組部の遠藤理史部長によれば、ヒロイン像は大きく3つに分けられるという[17]。『おはなはん』から『おしん』までは「縛られた場所から出るヒロインの時代」、『はね駒』『ひらり』『ひまわり』『天うらら』など「女性が進出しきっていない職種で頑張るヒロインの時代」、『ちゅらさん』以降は「女性の自己実現」がテーマになっている。
朝ドラのプロデューサー歴もある小林由紀子は2009年の時点で、14作目『鳩子の海』まで、15作目『水色の時』以降、42作目『青春家族』以降、62作目『私の青空』 以降と、4区分している[18]。
ほとんどの作品がハッピーエンドであり、ヒロインや主人公の死を描いたものは『うず潮』『すずらん』『カーネーション』『マッサン』『らんまん』があるが、いずれも「大往生」に近いものが多い。逆に、主人公の父親は物語の序盤・中盤で亡くなり[注 21]、「その悲しみを乗り越え、成長する」、「その死をきっかけに、残された家族が和解する」といった展開がほとんどになっている(1本の作品で両方を取り入れたものに『舞いあがれ!』がある)。
また一部作品では、過去の朝ドラとのクロスオーバー(小道具を含む[19])や、放送している作品自体を登場人物が観るメタフィクション的な展開も見られる。
例えば『おはなはん』では主人公がドラマの第1回放送を観るシーンが、『カーネーション』ではテレビ局から主人公の生涯をドラマ化する依頼が舞い込むことでこの作品の実現をほのめかし、実現された第1回放送を主人公の友人が観るシーンが、それぞれ最終回にあった。
また『エール』は第119話でドラマ本編は終了し、120話(最終回)は特別編として現代のNHKホールで登場人物達(劇中で亡くなった人物も含む)が歌を披露するコンサートが行われた[20][21]。
『おはなはん』以降、「ん」がタイトルに含まれる作品は文字通り「運」がついて高視聴率になるとされる[22][23]ことから、「ん」がタイトルに含まれる作品は5割を超えている[24]。また同様に、この作品からタイトルが主人公の名前・呼び名そのもの、またはそれらがタイトルに入ることが多くなった[注 22]。
ほぼ全作品がフィクションであるが、民放ドラマのような「このドラマはフィクションであり、登場人物、団体名等は全て架空のものです」「――実在のものとは関係ありません」表示はほとんど出ない[注 23]。下記の場合でも、あくまで実在の人物は「モデル」や「モチーフ」として[25]作品内では名前を変更したり[注 24]、自由に脚色・創作エピソードが加えられてきた。