連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する(442条
1項)。求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する(442条2項)。 債権者への弁済など自己の財産をもって共同の免責を得る場合、他に連帯債務者があることを知っているときは、その弁済などの前後での他の連帯債務者への通知を怠ると求償に制限を受ける(443条 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する(444条 連帯債務者の一人に債務の免除や時効が完成があった場合においても、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し求償権を行使することができる(445条)。 連帯の免除(れんたいのめんじょ)とは、債権者が連帯債務者の連帯債務を負担部分までの分割債務とすることをいい、連帯債務者の一部を対象として行う相対的連帯免除と連帯債務者全員を対象として行う絶対的連帯免除がある。 2017年の改正前の旧445条は連帯の免除(相対的連帯免除)について定め、債権者が連帯債務者の一人の連帯を免除した場面で、他の一人の連帯債務者が無資力だった場合には債権者自らが分担するとしていた。しかし、連帯債務者の一人の連帯を免除したからといって他の連帯債務者が無資力の場合の負担を債権者が分担する意思を表示したとは認めがたく、債権者の意思に反するという批判があり2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で削除された(旧445条と新445条は無関係)[3]。 各債務者が全額についての義務を負うが、債務者間に緊密な関係がなく、弁済及びこれと同視し得る事由を除いて、一債務者に生じた事由が他の債務者に影響しないものを、不真正連帯債務(ふしんせいれんたいさいむ)という[3]。不真正連帯債務には負担部分がなく求償関係が当然には生じない性質のものとして連帯債務と区別されてきた[3]。
通知義務
他の連帯債務者があることを知りながら、連帯債務者の一人が共同の免責を得ることを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる(443条1項前段)。
事前の通知義務を定めたもので、他の連帯債務者による二重払いを防ぎ、相殺権などの行使の機会を保証する規定で、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)でも基本的に維持された[3]。ただし通知の内容は「債権者から履行の請求を受けたこと」 から「弁済その他自己の財産をもって共同の免責を得ること」に変更された[3]。
相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、その連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる(443条1項後段)。
弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者が、他の連帯債務者があることを知りながらその免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得るための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を得るための行為を有効であったものとみなすことができる(443条2項)。
事後の通知義務を定めたもので、通知を受けなかったために債権者に善意で二重払いしてしまった連帯債務者を保護する規定で、2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)でも基本的に維持された[3]。
償還をする資力のない者の負担部分の分担
連帯債務者の一人との間の免除・時効完成
連帯の免除
不真正連帯債務
法人の不法行為法人が損害賠償債務(旧民法44条
使用者責任被用者の不法行為による使用者の賠償債務(715条