造成
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この両者は当然のことながら不断・連続しているため、一体的に検討し整備することが肝要であるが、設計施工の作業においては、ほとんどの場合、骨格となる地形造成を優先させて進める。また地形造成は土木構造体としての基準(工学的基準)を踏まえることが条件となる。造園空間として大切なのは、地形が利用上及び景観・環境(植物の生育等)形成上、極めて重要な役割を果たしているという点があげられる。

利用的側面としては、施設空間によって、それに適合する地形は様々である。テニスコートや広場のように平坦であることが条件となる場合もあれば、自由なバドミントンバレー等、手軽なスポーツや子どもの遊び場のように、緩やかなスロープでも可能な場合もある。また、憩いの広場のように緩やかなスロープの方が快適な施設、さらに散策路のように多少は起伏斜面があった方が良いとされる施設まで様々である。このように、地形は利用目的によって大きく制限される場合もあれば、さほど拘束されない場合もある。

また景観・環境的側面としては、スポーツグラウンドなどを除けば、全く平坦な地形は単調で魅力に欠けることの方が多い。地形に変化を付けることにより、広がった景観、閉ざされた景観を生み出し、大らかな明るい雰囲気あるいは落ち着いた雰囲気など、様々な空間を創出することができる。さらに、見え隠れ、遮り等による景観の変化も生まれるため、人の興味をそそり、散策や休憩など、人の行為を誘発するといった点も重視される。また、急斜面地は植物の生育には適合し難いが、変化に富む緩斜面地では多様な植物の生育も可能となるため、景観上のみならず現境面からも変化のある地形づくりは重視される。

造園における地形デザインの特性及び地形づくりは、広場・グラウンドのように平坦面の確保が条件づけられているケースを除けば、洋の東西を問わず、直線で構成される斜面にはせず、穏やかなカーブを描くことが基本となる。利用的側面、景観・環境的側面に充分に応えつつ、むくりの地形、しゃくりの地形とすることが一般的であり、多くの場合は双方を組み合わせて変化に富む自然風景に相当する地形を創出している。
ツール

造園業者は、まず所望の結果を達成するために、その土地で何ができるかのラフデザインやレイアウトと報告文を作成。様々な鉛筆グラフィックスを作成する必要がある。

造園分野もそれなりのプロジェクトにおいては、自然形成としてよりもブルドーザー芝刈り機、またはチェーンソーといった機械技術的方面の関心に向かっており、これらなしで始まるプロジェクトはほとんどないため、造園は自然より技術的になっている[4][7]。異なる領域は、植物の異なる資質がある。過剰な量の肥料は、自然景観としてみられるよう、その目的のために必要とされている。 造園事業ではいくらかは、大面積への関心をよぶため、砂利と様々なサイズの岩を組み合わせ使用することが好まれている[8]
グレーディング

グレーディングとは、自然地形のような造成を行う造園土工のこと。造園の敷地造成ではその敷地の立地的特性にそった地形造成が、地域の地形の連続を乱すことなく進められるのが通常であり、土地利用や施設の配置にともなう土工も、その吸収にグレーディングの手法による空間の融合化が図られるのが一般である、もちろん、植生や表土の保全と有効利用がはかられるのはいうまでもない。

グレーディングは造園独特の技術である。与えられた地形上に土地利用計画をレイアウトするためには傾斜、排水、基礎構造などが大きく関連するグレーディングの技術では、地表面が意図された目的や利用に適しているように造成されるのはいうまでもないが、新しいレベルは元の土地となるべく異ならぬよう配慮され、生態的均衡や自然の排水システムの保持、土壌断面の保全がはかられるのが特?である。したがって、使用機械の種類は自然のもつ許容限界の範囲で決定される。

グレーディングは、このように生態的均衡を考慮した造園土工であるが、単に地形の改変を最少にとどめる手段ではなく、視覚的な効果を考慮してより良い地形を創造することを目的とした積枢的手段であることにも注目できる。
ラウンディング

欧米では、道路等に関る地形造成においても、前述した日本古来の「むくり」「しゃくり」のように「丸み」をつける地形造成が行われてきた。これをラウンディング (rounding) という。土木景観の項にあるとおり日本にはドイツから導入された技術で近年は日本の道路造成などにおいても切土の法肩を中心に、徐々にラウンディングがみられるようになってきている。
造成土工量の数量算出

土工事での土量計算には築堤などのような線状造成に用いられる「平均断面法」と面的造成土地に用いられる「点高法」(柱状法、メッシュ法)がある。

平均断面法は、縦横断面図に施工前基面及び施工基面を描き、縦横断面図より当該工事の切土及び盛土の断面積をプラニメーター等で計測し、相隣る2測点の断面積の平均断面積に、相隣る2測点の距離を乗じた算出結果の総和土量を計算するといった手法である。

平均断面法では、切土量及び盛土量を把握したい場合に特別なソフトウェアは必要なく簡単な作図で行うことができる。

相隣る2測点の横断断面積をそれぞれA1、A2・・・・Am、Anとし、その断面間の距離をそれぞれ?1、?2・・・・?nとすれば、体積Vは次式で求められる。

V = A 1 + A 2 2 {\displaystyle V={A1+A2 \over 2}} × ?1 + ・・・・+ A m + A n 2 {\displaystyle {Am+An \over 2}} × ?n

造成工事においても、従来は平均断面法が使われていたが、近年ではコンピューター・表計算ソフト等を利用して正確で早く、経済的に計算できる点高法により行われるようになっている。

点高法による土量計算は盛土または切土しうる敷地を正方形や長方形または三角形に分割し、その交点の高さを計測し、計画高との高低差を算出し計算によって必要な土量をもとめる手法である。比較的広い区域における掘削土量(切土量)や盛土量を算定する場合に用いられる。長方形公式は通常20メートル以下の一定間隔の長方形に区分して、各隅の高さを測定し、区分された四角柱の体積を四隅が一平面上にあるようにして底面積に中心軸の高さ、つまり四隅の高さ平均値を乗じて求めて、全体の体積を求める。

各隅の高さの測定は、水準測量により各隅の標高(地盤高)を観測して、その値から切り取り面(施工計画高)の標高を差し引く方法によって得られる。

長方形の角柱が1辺の長さをそれぞれa、bとし、1個、2個、3個、4個の共有する隅の高さをそれぞれh1、h2、h3、h4とすれば、全体の体積Vは次式で表される。

V = a b 4 {\displaystyle V={ab \over 4}} (Σh1 + 2Σh2 + 3Σh3 + 4Σh4)

すなわち、abが1つの角柱の底面積であり、Σ1からΣ4はそれぞれ各隅の共通する数値の総和を示している。[9][10]

このほか、等高線があって高さがわかる場合は、これを利用して土量をもとめることができる。この等高線法は、切り取りまたは掘削の計画面から上の土量を求める場合、まず各等高線に囲まれた面積をプラニメータなどで測定し、平均断面法などの手法で計算する。等高線に囲まれた面積毎が断面積になり、等高毎の高さが相隣る2測点の距離となる。

こうした土量の計算は、測量の分野としては応用測量に当たる。
脚注[脚注の使い方]^ a b Frederick S. Merritt, M. Kent Loftin, Jonathan T. Ricketts, Standard Handbook for Civil Engineers, Fourth Edition, McGraw-Hill Book Company, 1995.
^ “ ⇒Earthworks cost optimization through mass haul planning”. www.topconplanning.com. 2015年6月7日閲覧。
^ 木村
^ a b Natural Landscaping: Designing With Native Plant Communities - John Diekelmann, Robert M. Schuster - Google Books. Books.google.co.uk. Retrieved 2013-04-10
^ Landscaping Principles and Practices - Jack Ingels - Google Books. Books.google.co.uk. 2009-01-15. Retrieved 2013-04-10
^ Landscaping - William Slack - Google Books. Books.google.co.uk. Retrieved 2013-04-10. , Taylor's Master Guide to Landscaping - Rita Buchanan - Google Books. Books.google.co.uk. Retrieved 2013-04-10
^ 能力開発研究センター(1998)
^ Sharon Cohoon and Jim McCausland. "How to Landscape Gravel - Page 2". Sunset.com. Archived from the original on March 19, 2012. Retrieved 2013-04-10.
^ 村山(1986)環境省(2005)
^[1] (PDF) ・ ⇒[2] (PDF)

参考文献

有賀貴志, 矢吹信喜, 城古雅典、「ブロックモデルを用いた土工計画および積算シミュレーション
」 『土木学会論文集F』 2010年 66巻 3号 p.432-446, doi:10.2208/jscejf.66.432

木村了 わかりやすい造園実務ポケットブック

造園手工具・機械及び作業法 [3](1998年版)[4](2011年版)雇用能力開発機構職業能力開発総合大学校能力開発研究センター

環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課・産業廃棄物課(2005) 環境省_最終処分場残余容量算定マニュアル (PDF)

村山忠一、「メッシュ法による土量計算の問題点とその適正化」 『農業土木学会誌』 1986年 54巻 2号 p. 119-125,a1, doi:10.11408/jjsidre1965.54.2_119

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。造成

土工 (工種)

外部リンク

Posted on Earthwork Volume Using Simpson’s Rule(シンプソンの法則を使った土工量の発見) 英文

土量配分計画 (PDF) [リンク切れ]

典拠管理データベース: 国立図書館


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