通関は国内外を行き来する貨物の監視のために重要であり、特に2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以来、武器や大量破壊兵器として使用されたり原材料にされたりされるおそれのある製品の輸出阻止、危険物や大量破壊兵器の輸入阻止など、セキュリティー対策が非常に重要になっている。日本においては、銃器、麻薬、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)などの輸入規制・禁止品、海上コンテナを使った密入国などの対策は進めているものの、監視の目をかいくぐり密輸が行われていることも事実であり、セキュリティの不安も残る。
2010年4月10日、この簡素化が原因で無審査で軍用拳銃約350丁がラベル間違いが原因で誤って日本国内に持ち込まれていたことが判明した[10]。
一方、企業の生産活動における加工用部品や販売用製品の輸出入など、国際物流の重要性は増しており、特に国内輸送・国際輸送のコスト削減、在庫の軽減、リードタイムの軽減など、物流にかかる時間や手間を可能な限り削ることによる物流コストの削減が急務である。日本の通関は、AEO制度の導入、ペーパーレス化、保税地域搬出入や申告制度の簡素化、24時間365日手続の受け付け、通関手続にかかる時間を削減する改革が進められている。 通関においての日本での制度の改革が推進されている。一例としてNACCS(税関官署、運輸業者、通関業者、倉庫業者、金融機関の相互を繋ぐ電子的情報通信システム)が、税関以外の官庁の手続き(例えば植物防疫、検疫)も行えるように改善されており、ベトナム、ミャンマーでは、日本の協力のもとNACCSもモデルとしたシステムの導入が行われている。 また、2005年(平成17年)度より「コンプライアンスと通関手続の迅速化」を旗印に大幅な法令改正がなされた。 一方日本以外では、香港やシンガポールは早くから手続の電子化を進め、アメリカでは輸出は許可制ではなく届出制で格段に簡素になっており、保税制度についてもアメリカでは保税地域への輸出貨物の搬入義務はない。
日本の通関制度改革の動き
輸入について:輸入禁制品を追加し、テロ対策と知的財産権対策が強化された。テロ行為に利用されるおそれの高い爆発物・火薬類、および化学兵器の製造の用に供されるおそれの高い物品が輸入禁制品に追加された。また、知的財産権侵害物品が輸入される以前で対策を打つため、不正競争防止法の規定で輸入が禁止されている物も輸入禁制品に追加した。
輸出について:テロに関わる物品を危険地帯に輸出する恐れのない、コンプライアンスのすぐれた輸出者に対して、コンテナなど封印後は内容物を変更できないような形態の貨物は、保税地域に入れる前に工場や倉庫で輸出申告を受け付け輸出の許可を出し、保税地域を通る必要がなくなった(テロ対策にもなり、通関手続を迅速化し、保税地域のスペース削減にもつながる)。
脚注[脚注の使い方]^ 日本法は、基本行政手続きや法律事務を自ら行うことは制限していない。例えば税務申告における税理士、訴訟における弁護士も依頼する義務はなく、輸出入申告のこれらと同じである。
^ 通関業法第3条第1項
^ 通関業法第15条
^ 平成21年法律第7号
^ 関税定率法等の一部を改正する法律案要綱(2011年2月)
^ a b 関税法第68条、関税法施行令第60条
^ a b 平成22年法律第14号
^ 包括事前審査制度の廃止について(平成19年3月31日財関第419号)には「特定輸出申告制度の普及及び利用拡大」が記載されている。
^ 平成19年法律第20号
^ https://web.archive.org/web/20100412161651/http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2010041102000046.html