国の財政などが悪化し始めると、経済は停滞し、それと平行して通貨価値は下落していく[31]。政治的・社会的・経済的に、ある国の信認が失われたときに通貨が暴落し、国内の信用収縮・銀行危機・所得の低下・輸入インフレが発生し、或いは予想され、更に通貨が暴落するという悪循環が「通貨危機」である[29]。
国は、自国の通貨価値を支えようと外貨準備を投入し、自国の通貨を買い支えようとするが、資金が枯渇すると通貨危機となる[31]。通貨危機に陥った場合、自国の通貨の切り下げなどを行い対応する[31]。
通貨の切り上げ・切り下げが望まれています。
自国の通貨の交換比率を、他国の通貨に対して相対的に上げることを「通貨の切り上げ」という。金融引き締め政策を行うと、自国通貨の増価が発生する[32]。
また、自国の通貨と他国の通貨の交換比率を引き下げる政策を「通貨の切り下げ」という[33]。基本的には、自国の経済の防衛のために、基軸通貨である米ドルとの交換比率を、通貨当局が低く定める[33]。通貨の切り下げは、あくまで緊急措置であり、国際経済では禁じ手とされている[34]。通貨の価値はあくまでマーケットによって決定されるべきという大原則があるからである。「通貨安競争」および「為替操作国」も参照
自国通貨を減価させれば、輸出増加・輸入減少圧力が働く[35]。自国通貨の減価は、早い段階で輸入価格に転換され、輸入価格の上昇を招くという事実は、多くの実証モデルで示されている[36]。
金利の低下は自国通貨の減価を招き、自国通貨の減価は経常赤字の縮小をもたらす[37]。しかし、短期的には自国通貨の減価は経常収支の赤字をもたらさない[37]。実際にJカーブ効果によって経常赤字の拡大を招く[37]。投資家が経常赤字のファイナンスを続けなければ、通貨は際限なく減価する[37]。
通貨の減価自体は資本流入に必要なインセンティブを生み出す[37]。実際の通貨の減価幅は、投資家が要求するインセンティブによって決定される[38]。
日本の通貨詳細は「円切上げ」および「プラザ合意」を参照
日本では、日本の貨幣史に示されるように、江戸幕府が通貨を統一し始めたものの、実際の生活では身分制度とあわせて年貢としての米による租税制度が維持されてきた。現代では、政府が国債を発行しつつ、通貨偽造の罪や利息制限法を設けて、通貨の信用を維持している。
明治時代の地租改正以降、通貨に兌換金券等としての機能はなくなっていった。
1930年1月11日に、日本は金本位制に復帰したが[39]、1931年に金本位制から離脱した[40]。
世界大戦に向かう情勢の中、紙幣においては国民に徴兵制等各種の義務を増やし国債との交換によって価値を維持していた。日本政府が相続税等の指針として使う路線価や厚生労働省が定める最低生活費や最低賃金といった形で数値化していることと表裏一体の関係になる。
1942年に日本は管理通貨制度に切り替わった[10]。 日本銀行が民間銀行を通じて国債を購入している事実と、日本銀行が国債購入によって無から創造して負債に計上している日銀当座預金も日銀券も日本銀行には返済債務が無いので、日本銀行は国債の購入と保有を継続できるという事実と、日本銀行が政府に国庫納付金
国債と通貨発行の関係
政府が国債を発行し、民間銀行が国債を購入するときには、民間銀行が日銀に持っている「日銀当座預金」で国債を買います。[41]
民間銀行が国債を購入すると、その民間銀行の日銀当座預金から政府の日銀当座預金にその分の支払いが振り込まれます。[41]
振込を得た政府は、その分の公共事業を企業に発注して、政府小切手で支払います。[41]
企業は取引銀行に小切手を持ち込んで、代金の取立を依頼します。[41]
民間銀行は小切手相当額を企業の口座に記帳します。ここで新たな預金が生れます。この民間銀行は、同時に、日銀に代金の取立を依頼します。[41]
政府保有の日銀当座預金が、民間銀行の日銀当座預金勘定に振り替えられる。[41] その後、政府が国債を発行したら、また1に戻ります。[41]
日本銀行が買いオペにより、民間銀行の保有する国債を買い入れれば、それだけ民間部門の国債は回収される。[42] 同時に、民間銀行の日銀当座預金が増加する。
日本銀行券は、日本銀行の取引先金融機関が日本銀行に保有している当座預金を引き出し、銀行券を受け取ることによって、世の中に送り出されます。[43]
日銀が保有している国債を政府は実質的には返済しなくても良くなっています。[44] さらに言えば、日本銀行が国債購入によって無から創造して負債に計上している日銀当座預金も日銀券も日本銀行には返済債務が無い[45]ので、日本銀行は国債の購入と保有を継続できます。
政府は国債を税収で全額返済する事は不可能です。なぜならば、税収で国債を全額返済したら民間経済から通貨がほとんどなくなって、経済が崩壊するからです。したがって、国債の償還は借換債で行なっています。[46][47]
国債の償還問題を解決する他の方法には、国債の永久国債化によって国債償還の必要性を無くすというもの[48][49] と、巨額の政府貨幣発行益によって国債償還する[50][51]というものがあります。
1から6の過程では、政府の国債発行残高が増加し、企業などの預金が増加し、民間銀行の日銀当座預金は変化なしとなります。
ここで、7の過程によって日本銀行の保有する国債が増加し、民間銀行の日銀当座預金が増加します。これは、8の過程によって日本銀行券の発行額も増えるとともに、民間銀行はさらに多額の国債を購入できるようになることを意味します。そして、9?11の事実を考慮すると、政府は国債発行をすることで実質的に返済不要で税収では返済不能な日銀当座預金という通貨を発行して財政支出をしていることになります。この状況は、国債本位制ということもできます。
以下の表は、国際銀行間通信協会(SWIFT)による2012年から2015年までの通貨決済で最も用いられた15の通貨の推定値である[52][53][54][55][56]。 国際通貨決済における上位15通貨 (世界総計に対する%)順位通貨1月
世界の主要な決済通貨の一覧
2012通貨1月
2013通貨1月
2014通貨1月
2015通貨11月
2015
世界総計100.00%世界総計100.00%世界総計100.00%世界総計100.00%世界総計100.00%
1 ユーロ44.04% ユーロ40.17% アメリカ合衆国ドル38.75% アメリカ合衆国ドル43.41% アメリカ合衆国ドル42.68%
2 アメリカ合衆国ドル29.73% アメリカ合衆国ドル33.48% ユーロ33.52% ユーロ28.75% ユーロ29.50%