通貨
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たとえば交通事故では、加害者が無保険であった場合の被害者(遺族)への救済方法が行政施策として検討されたりする[16]

また「貴重な情報」や「秘密の情報」がお金としての価値を生み出す場合もある。日本の不正競争防止法において「営業秘密」に係る不正開示行為は損害賠償や処罰の対象となり、警視庁捜査特別報奨金制度は事件の検挙に結び付く有力な情報を提供した者に対して報奨金を支払う制度であるが、それらの金額にも差が生じている。
金融商品としての通貨1米ドル紙幣

通貨は長らく資産クラスとして認識されていなかった。その背景には債券株式という古典的な資産クラスが、有価証券としての資金調達手段であるのに対し、通貨は投資家への収益が明確でなかったことがある。しかしながら、異なる通貨間市場(いわゆる外国為替市場)における金利差(キャリー)、購買力平価(バリュエーション)、基軸通貨ドルに対する直物市場モメンタムの三要素を均等配分する形で通貨市場のβが創設されつつある。

為替は、その通貨に対する需要供給価格為替レート)が決まる[17]。為替レートが変化するのは、通貨を商品のように扱い、需要と供給の市場原理が働いているからである[18]。為替レートは一刻一刻と変動し、通貨の価値が上下する[19]

マネー経済では、マネー自身が株などの有価証券として市場に流通し、その過程で利益をもたらす[20]。つまり、モノ・サービスを介在せず、マネーが単独で市場を動いていく[20]ドルを売買するように、通貨そのものは商品になる[20]変動相場制の下では商品を売買するのと同じように、自国通貨を売り(買い)、外国通貨を買う(売る)ことが行われる[21]

各国の通貨は、輸出入の代金の決済に使用されるが、資産としての性質も持っており、外国の通貨も資産となりうる[22]。外国に投資するということは、その国の通貨建ての資産を持つということである[17]

2009年現在、ドイツ銀行の公表するDBCRとシティーバンクの公表する指数とでβ指数を争っている。両者の違いは新興国通貨[23]を組み入れているか否かと、キャリー部分の配分が等配分か半分を占めるかというところにある。
国際通貨「国際通貨」、「通貨の一覧」、および「現行通貨の一覧」も参照

外国為替市場における取引高の通貨分布[24][25]順位通貨ISO 4217 コード
(通貨記号)一日当たりシェア(%)
(2019年4月)
01?アメリカ合衆国ドルUSD ($)68.5%.
02?ユーロEUR (?)31.5%.
03?イギリス・ポンドGBP (£)18.9%
04?オーストラリア・ドルAUD ($)10.1%.
05?日本円JPY (\)10.1%.
06?スイス・フランCHF (Fr)10.0%.
07?カナダ・ドルCAD ($)5.5%.
08?中国人民元CNY (\)5.1%.
09?香港ドルHKD ($)3.5%.
10?シンガポール・ドルSGD ($)2.0%.
11 韓国ウォンKRW (?)2.0%.
12?ニュージーランド・ドルNZD ($)1.8%.
13?メキシコ・ペソMXN ($)1.5%.
14?ロシア・ルーブルRUB (?)1.1%.
15 マレーシア・リンギットMYR (RM)1.1%.
16 モロッコ・ディルハムMAD (DH)1.3%
17?トルコ・リラTRY (?)1.1%.
18 インド・ルピーINR (?)5.1%.
19 ブラジル・レアルBRL (R$)1.9%.
20?サウジアラビア・リヤルSAR (?)1.6%.
21?UAEディルハムAED (DH)1.5%.
その他通貨12.0%.?
総計200%..?

国の経済力は、自国通貨ではなく外貨保有量ではかることができる[26]。自国通貨を大量に所有していても、そのままでは他国で使えないただの紙切れだからである[26]。経済活動がグローバル化してくると、輸出入・国際投資には他国の通貨が必要になってくる[27]

普通、通貨はその価値を保証するの中だけで利用されるが、ユーロや米ドルのような国を超えて利用されている通貨を国際通貨という。

世界の金融取引・貿易取引で中心的に使用されている通貨を基軸通貨といい、2019年現在では米ドルがユーロや円などをはるかに超えて使用されている[28]。19世紀頃は、英国ポンドが基軸通貨の地位を占めていたが、第二次大戦後は米ドルが基軸通貨となった[28]
地域通貨詳細は「地域通貨」を参照

地域通貨とは、法定通貨のように政府によって発行されている通貨ではないが、あるコミュニティにおいて通貨のような性質を認められたものである。
通貨危機「金融危機」も参照

通貨危機とは、為替レートが、均衡為替レートの度合いをはるかに超えて下落することである[29]

通貨危機はある国の通貨価値が対外的な信用を失うことによって起きる[30]。通貨が信用を喪失する原因は、累積債務の増大や固定相場制下での通貨の過大評価にある[30]

国の財政などが悪化し始めると、経済は停滞し、それと平行して通貨価値は下落していく[31]。政治的・社会的・経済的に、ある国の信認が失われたときに通貨が暴落し、国内の信用収縮・銀行危機・所得の低下・輸入インフレが発生し、或いは予想され、更に通貨が暴落するという悪循環が「通貨危機」である[29]

国は、自国の通貨価値を支えようと外貨準備を投入し、自国の通貨を買い支えようとするが、資金が枯渇すると通貨危機となる[31]。通貨危機に陥った場合、自国の通貨の切り下げなどを行い対応する[31]
通貨の切り上げ・切り下げ

この節の加筆が望まれています。

自国の通貨の交換比率を、他国の通貨に対して相対的に上げることを「通貨の切り上げ」という。金融引き締め政策を行うと、自国通貨の増価が発生する[32]

また、自国の通貨と他国の通貨の交換比率を引き下げる政策を「通貨の切り下げ」という[33]。基本的には、自国の経済の防衛のために、基軸通貨である米ドルとの交換比率を、通貨当局が低く定める[33]。通貨の切り下げは、あくまで緊急措置であり、国際経済では禁じ手とされている[34]。通貨の価値はあくまでマーケットによって決定されるべきという大原則があるからである。「通貨安競争」および「為替操作国」も参照

自国通貨を減価させれば、輸出増加・輸入減少圧力が働く[35]。自国通貨の減価は、早い段階で輸入価格に転換され、輸入価格の上昇を招くという事実は、多くの実証モデルで示されている[36]

金利の低下は自国通貨の減価を招き、自国通貨の減価は経常赤字の縮小をもたらす[37]。しかし、短期的には自国通貨の減価は経常収支の赤字をもたらさない[37]


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