通商産業省
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また、大分県知事の平松守彦(在任1979年?2003年)以降、都道府県知事にも経産省(通産省)出身の者が次第に増え、旧内務省の流れを汲み、伝統的に多くの知事を輩出してきた総務省自治省)に次ぐ勢力になっており[10][11]、2020年7月には全国の都道府県知事のうち8名が経産省(通産省)出身だった。経産省(通産省)出身の都道府県知事が増えた理由について、経産省は「企業誘致に経産省時代に培った企業人脈が生きている。産業振興による税収増への期待もあるのだろう」と分析しているが、対する総務省からは「経産省は規制緩和で仕事が減り、知事志向が強まっているのでは」と皮肉る声も出ている[10]

近年、経産省の規制権限は縮小傾向にあり、地域経済振興に活躍の場を求めているという事情もある[12]。また、経産省への移行後は、内閣府などとともにマクロ経済政策を担う官庁として重要な役割を果たすようになってきている。
沿革

前身の通商産業省は、1949年5月25日商工省を改組して発足した。その際、旧商工省の外局であった貿易庁及び石炭庁は廃止され、新たに資源庁工業技術庁及び特許庁の3つの外局が設けられた。1948年8月1日に旧商工省の外局として設置された中小企業庁は、引続き、通商産業省の外局となった。貿易庁は本省の内部部局に、石炭庁は資源庁に移行した。

本組織を考えたのは白洲次郎といわれる。発足当初の通商産業省には、吉田茂 - 白洲 - 牛場信彦らの「外交派」・「通商派」ラインとして、時に「永山天皇」と呼ばれた永山時雄初代官房長らがおり、主流である「産業派」・「統制派」には岸信介 - 椎名悦三郎 - 美濃部洋次 - 山本高行ラインとして、玉置敬三平井富三郎佐橋滋今井善衛などが名を連ね、その他「商務派」には豊田雅孝らがいた[13]。その後も、「資源派」・「国際派」と「国内派」との対立軸など、現在に至るまで省内における政策対立ないし派閥争いには事欠かないことでも知られている。

1952年に資源庁と工業技術庁が廃止され、外局は特許庁と中小企業庁の2つになった。

1972年田中角栄が通商産業大臣から内閣総理大臣に就任した時、小長啓一から通商産業省出身者が内閣総理大臣秘書官を担当するようになった。これが前例となり、後の内閣も通商産業省から出向で内閣総理大臣秘書官を担当するようになり、首相への通商産業省の影響度が大きくなった。1973年に新たな外局・資源エネルギー庁を設置。

2001年1月の中央省庁再編に伴い、経済産業省に名称変更された。発足当初、経済産業省は「経済省」という略称を用いていたが[14]、全く定着せず、マスコミなどからは経産省と略される。

2011年3月に福島第一原子力発電所事故が起きると、原子力安全・保安院を所管していたことから、事故の発生とその対応について責任を問われ、事務次官、資源エネルギー庁長官及び原子力安全保安院長に事実上の更迭がなされた。

2012年9月19日、原子力規制委員会設置法の施行により、原子力安全・保安院に関する事務が環境省に移管された。原子力安全・保安院(資源エネルギー庁)は廃止され、組織は原子力規制委員会(環境省)に移行した。また、旧保安院の産業保安系5課(保安課、ガス安全課、液化石油ガス保安課、電力安全課、鉱山保安課)は商務情報政策局の3組織(保安課、電力安全課、鉱山・火薬類監理官付)に、産業保安監督部は本省の地方支分部局に再編された[15]
所掌事務

上記の経済産業省設置法3条に示された任務を達成するため、同法4条は計60号にわたって所掌事務を規定する。具体的には以下などに関することがある[16]

経済構造改革の推進(1号)

経済財政諮問会議による企画及び立案への参画(2号)

産業構造の改善(3号)

企業間関係その他の産業組織の改善(4号)

市場における経済取引に係る準則の整備(5号)

工業所有権の保護及び利用(6号)

民間に技術開発に係る環境整備(7号)

業種に普遍的な産業政策(8号)

産業立地(9号)

工業用水道事業の助成及び監督(9号)

地域における商鉱工業一般の振興(11号)

通商に関する政策及び手続(12号)

通商に関する協定又は取決めの実施(13号)

通商経済上の国際協力(14号)

輸出入の増進(15号)

通商政策上の関税に関する事務(16号)

通商に伴う外国為替の管理(17号)

貿易保険(18号)

条約に基づいて日本国に駐留する外国軍隊、在留外国人に対する物資・役務の供給(19号)

通商一般(20号)

鉱工業の科学技術の進歩及び改良並びにこれらに関する事業(21?24号)

地質の調査(25号)

工業標準の整備及び普及(26号)

計量の標準の整備及び適正な計量の実施の確保(27号)

産業公害の防止(28号)

資源の有効利用(29号)

商鉱工業等(30・31号)

鉄鋼、非鉄金属、化学工業品、機械器具、鋳造品、鍛造品、繊維工業品、雑貨工業品、鉱物等の物資の輸出、輸入、生産、流通(32号)

工業塩の流通及び消費(33号)

化学肥料の輸出、輸入及び生産(34号)

鉄道車両鉄道信号保安装置、自動車用代燃装置、軽車両船舶、船舶用機関及び船舶用品の輸出及び輸入(35号)

化学物質の管理(36号)

自転車競走及び小型自動車競走の施行(37号)

宇宙開発に関する大規模技術開発(38号)

デザインに関する指導及び奨励並びにその盗用の防止(39号)

物資の流通の効率化及び適正化(40号)

商品市場における取引及び商品投資の監督(41号)

通商に関する参考品等の収集及び展示紹介(42号)

一般消費者の利益の保護(43号)

火薬類の取締り、高圧ガスの保安、鉱山における保安(44号)

情報処理の促進(45号)

情報通信の高度化に関する事務のうち情報処理に係るもの(46号)

鉱物資源及びエネルギーに関する総合的な政策(47号)

省エネルギー及び新エネルギーに関する政策(48号)

石油、可燃性天然ガス石炭亜炭その他の鉱物等並びにこれらの製品の安定的かつ効率的な供給の確保(49号)

石油パイプライン事業(50号)

鉱害の賠償(51号)

電気、ガス及び熱の安定的かつ効率的な供給の確保(52号)

電源開発に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進(53号)

エネルギーに関する原子力政策(54号)

エネルギーとしての利用に関する原子力の技術開発(55号)

弁理士(56号)

中小企業の育成及び発展(57号)

所掌事務に係る国際協力に関すること(58号)

文教研修施設において、鉱山における保安に関する技術及び実務の教授並びに所掌事務に関する研修を行うこと(59号)

その他法律[注釈 5]に基づき経済産業省に属させられた事務(60号)

組織

経済産業省の内部組織は一般的には、法律の経済産業省設置法[16]、政令の経済産業省組織令[17]及び省令の経済産業省組織規則が階層的に規定している[18]。なお、他の省の外局の多くや経済産業省でも資源エネルギー庁や特許庁はそれぞれの省の設置法に規定されているが、中小企業庁は中小企業庁設置法[19]という個別の法律に基づいている。
幹部

経済産業大臣国家行政組織法第5条、法律2条2項)

経済産業副大臣(国家行政組織法16条)(2人)

経済産業大臣政務官(国家行政組織法17条)(2人)


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