一つの通信でも、役割の異なる複数のプロトコルから成り立っていることも多く、それらをまとめたものは「プロトコルスタック」、「プロトコル・ファミリー」、「プロトコル・スイート」などと呼ぶ。これは、ネットワーク・プロトコルが階層的に定義されているのに対応して、それを実装するソフトウェアも階層的に構築されるためである。また、このことからプロトコルや、プロトコル・スタックは、しばしばそれらのソフトウェアでの実装を指すこともある。
現在広く普及しているプロトコル・スイートとしては、インターネット・プロトコル・スイート(TCP/IP)が挙げられる。インターネットの通信に関するプロトコルは、コンピュータ上で動くソフトウェアに関する取り決めを中心に、伝送路などのハードウェアについての取り決めも含まれ、そのほとんどは、IETFによって定められ、その他のものについてはIEEEやISOなどの組織によって定められている。ITU-Tは電気通信に関するプロトコルの策定を行う。 通信プロトコルは、伝送路の物理条件、伝達、相手の特定、情報表現の4つの基本要素より成り立っている。
構成要素
伝送路の物理条件
有線通信の場合は、ケーブルとコネクタの形状と電気特性や光学波長、変調方式を規定する。無線通信の場合は、周波数帯や変調方式を規定する。例えば、IEEE 802.11, Bluetooth, ZigBeeなどがある。
伝達
伝達に関する要素として、通信プロトコルの中核をなす多くの決まりごとが規定されている。この中には信号にどのように「1」と「0」を割り当てるのかといった「符号化コード」から始まって、「同期」、「アクセス制御」、「誤り制御」、「フロー制御」などの各方式の規定が含まれている。
相手の特定
1対1の通信路に関するプロトコルでは例外的に規定の必要がないが、複数の端末が接続されるネットワーク上では送信先を特定する必要がある場合が多い。個別の「アドレス」によって特定できるが、1つの端末には、MACアドレスやIPアドレスのように用途によって複数種類のアドレスが割り振られることが多く、それらの間での変換ルールに関しての複雑な取り決めが規定されている。
情報表現
ビットの羅列を有効な情報として通信するために、情報の表現ルールを相互に取り決める必要がある。ビットの区切り単位として古くは6ビットや7ビットで1つの文字を表現していたが、今では多くが8ビットで区切られたASCIIコードを文字コードとして使っていることが多く、日本ではシフトJIS等も使用される。また、いくつかの文字の組み合わせでコマンドとする取り決めや、送信する内容、つまりデータそのものの表現方法も取り決めておかなくてはならない。こういった情報の配置と構成に関する表現ルールがパケット・フォーマットやフレーム・フォーマットといった形で、詳細な取り決めが規定される[3]。
各種プロトコル
表
話
編
歴