通信プロトコル
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通信を行うためには、通信に参加するもの同士の間で、あらかじめ通信に関する規格を定めなければならない。を振ってコメの相場情報を伝える人(大阪

たとえば、江戸時代においては、旗振り通信により、米相場を各地に伝達していたが、旗を振る向きや回数の意味について、事前に打ち合わせて決めておかなければ意味を成さない(上げ相場は左横上で二振、下げ相場は右横下で二振、など)。

プロトコルを定め、それに従うことは、通信を成立させるための基本原理と言える。プロトコルが異なる機器同士で通信を行いたい場合は、プロトコルコンバータ(英語: Protocol converter)のような機器を使用する。
情報工学におけるプロトコル

一つの通信でも、役割の異なる複数のプロトコルから成り立っていることも多く、それらをまとめたものは「プロトコルスタック」、「プロトコル・ファミリー」、「プロトコル・スイート」などと呼ぶ。これは、ネットワーク・プロトコルが階層的に定義されているのに対応して、それを実装するソフトウェアも階層的に構築されるためである。また、このことからプロトコルや、プロトコル・スタックは、しばしばそれらのソフトウェアでの実装を指すこともある。

現在広く普及しているプロトコル・スイートとしては、インターネット・プロトコル・スイート(TCP/IP)が挙げられる。インターネットの通信に関するプロトコルは、コンピュータ上で動くソフトウェアに関する取り決めを中心に、伝送路などのハードウェアについての取り決めも含まれ、そのほとんどは、IETFによって定められ、その他のものについてはIEEEISOなどの組織によって定められている。ITU-Tは電気通信に関するプロトコルの策定を行う。
構成要素

通信プロトコルは、伝送路の物理条件、伝達、相手の特定、情報表現の4つの基本要素より成り立っている。
伝送路の物理条件
有線通信の場合は、ケーブルとコネクタの形状と電気特性や光学波長、変調方式を規定する。無線通信の場合は、周波数帯や変調方式を規定する。例えば、
IEEE 802.11, Bluetooth, ZigBeeなどがある。
伝達
伝達に関する要素として、通信プロトコルの中核をなす多くの決まりごとが規定されている。この中には信号にどのように「1」と「0」を割り当てるのかといった「符号化コード」から始まって、「同期」、「アクセス制御」、「誤り制御」、「フロー制御」などの各方式の規定が含まれている。
相手の特定
1対1の通信路に関するプロトコルでは例外的に規定の必要がないが、複数の端末が接続されるネットワーク上では送信先を特定する必要がある場合が多い。個別の「アドレス」によって特定できるが、1つの端末には、MACアドレスやIPアドレスのように用途によって複数種類のアドレスが割り振られることが多く、それらの間での変換ルールに関しての複雑な取り決めが規定されている。
情報表現
ビットの羅列を有効な情報として通信するために、情報の表現ルールを相互に取り決める必要がある。ビットの区切り単位として古くは6ビットや7ビットで1つの文字を表現していたが、今では多くが8ビットで区切られたASCIIコードを文字コードとして使っていることが多く、日本ではシフトJIS等も使用される。また、いくつかの文字の組み合わせでコマンドとする取り決めや、送信する内容、つまりデータそのものの表現方法も取り決めておかなくてはならない。こういった情報の配置と構成に関する表現ルールがパケット・フォーマットやフレーム・フォーマットといった形で、詳細な取り決めが規定される[3]
各種プロトコル










OSI参照モデル
7. アプリケーション層

HTTP

DHCP

SMTP

SNMP

SMB

FTP

Telnet

AFP

X.500

6. プレゼンテーション層

SMTP

SNMP

FTP

Telnet

AFP

5. セッション層

TLS

NetBIOS

NWLink

DSI

ADSP

ZIP

ASP

PAP

名前付きパイプ

4. トランスポート層

TCP

UDP

SCTP

DCCP

SPX

NBF

RTMP

AURP

NBP

ATP

AEP

QUIC

3. ネットワーク層

IP

ARP

RARP

ICMP

IPX

NetBEUI

DDP

AARP

2. データリンク層

イーサネット

トークンリング

アークネット

PPP

フレームリレー

1. 物理層

RS-232

RS-422 (EIA-422、TIA-422)

電話線・UTP

ハブ

リピータ

無線

光ケーブル

カテゴリ

以下は各種の通信プロトコルについて、OSI参照モデルの7層のうち最も近い層に分類したものになっている。
第1層(物理{フィジカル}層)のプロトコル

ISDN Integrated Services Digital Network

RCR STD-28 (PHS)


10Base-T100BASE-TX1000BASE-T(イーサネットで使用される物理層の仕様)

PDH Plesiochronous Digital Hierarchy、SDH統一前の地域別同期網

T-carrier (T1, T3 など)、ISDNの多重化


RS-232CEIA-574シリアル・インタフェースで、当初はモデムやコンピュータ端末の接続のために開発された

SDH Synchronous Digital Hierarchy、PDH後続の国際統一同期網

SONET Synchronous Optical NETworking、SDHへと標準化前の規格

第2層(データリンク層)のプロトコル

ARP Address Resolution Protocol

イーサネット

FDDI Fiber Distributed Data Interface

LAP (Link Access Procedure) 、X.25用

HDLC High Level Data Link Control

LAPB (Link Access Procedure, Balanced) 、LAPのHDLC互換版

LAPD (Link Access Procedure on the D-channel) 、LAPBのISDN Dチャネル版

LAPDC (Link Access Procedure for Digital Cordress) 、RCR STD-28 (PHS) 用

LAPM (Link Access Procedure for Modem) 、アナログモデム用

LAPF (Link Access procedure for Frame-Relay) 、フレームリレー用


PPP Point-to-point protocol

トークンリング

第2+3層のプロトコル

X.25

フレームリレー X.25を単純化したもの


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