農村歌舞伎舞台
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天彦根神社境内の下谷上農村歌舞伎舞台天保11年、1840年建立)や北僧尾農村歌舞伎舞台は特に保存状態がよく当時の面影を伝えている。江戸時代には農民による芝居の鑑賞や上演は原則禁止されていたが、実際には各地にこうした歌舞伎舞台が造られ農民らは歌舞伎を楽しんでいた[1]

下谷上農村歌舞伎舞台では、天保12年(1841年)から始まった天保の改革水野忠邦による)の風俗粛清の影響で閉鎖された大坂の芝居小屋の浄瑠璃太夫や人形遣いらがこの地に流れ込み、特に水野忠邦の失脚後には盛況を極めたという。規模は間口12m、奥行8mと壮大である。また舞台には、皿回し型の廻り舞台が設置され、花道には一部が反転すると反り橋が現れる「裏返し機構」まで備わっている。これは全国的に見ても珍しく、ここ以外では見られない装置である。本来は神社境内の付属建造物である長床を舞台に利用したり、その他、太夫座、二重台、廻り舞台、大迫(おおせり)、ぶどう棚など多彩な機能を有している[1]

天満神社(神戸市北区山田町上谷上)境内には文久3年(1863年)建立の、割拝殿形式の歌舞伎舞台があり、床几回しという装置を備えていた。また山田村周辺で催された人形浄瑠璃は山田文楽と呼ばれ、淡路島の三原地区と並び称されるほど有名であったが、その後芸能が継承されずに現在では上演不能となっている[1]
現存する主な農村歌舞伎舞台

※常設・組み立て式を問わず、歌舞伎に用いられている、又は過去に用いられていた舞台が現存する例を挙げる。ただし、国又は自治体によって舞台建築自体もしくは舞台で演じられる歌舞伎が、文化財指定を受けているものに限定した。特定の舞台を持たない農村歌舞伎については「素人歌舞伎」を参照

地方都道府県名称所在地建築年代文化財指定
東北岩手県倉沢人形歌舞伎伝承館花巻市東和町倉沢4-81明治時代岩手県指定無形民俗文化財「倉沢人形歌舞伎」[9]
東北山形県黒森歌舞伎演舞場酒田市黒森字村中47 黒森日枝神社昭和時代山形県指定無形民俗文化財「黒森歌舞伎」[10]
東北福島県檜枝岐の舞台南会津郡檜枝岐村字下ノ原880ほか1897年(明治30年)ごろ重要有形民俗文化財[11]
東北福島県大桃の舞台南会津郡南会津町大桃字居平164・2491895年(明治28年)重要有形民俗文化財[12]
東北福島県湯ノ花の舞台南会津郡南会津町湯ノ花 二荒山神社1889年(明治22年)南会津町指定有形文化財[13]
東北福島県青柳の舞台南会津郡南会津町青柳(組立式)南会津町指定重要有形民俗文化財[13]
関東茨城県西塩子の回り舞台常陸大宮市西塩子150-3(組立式)江戸時代後期茨城県指定有形民俗文化財[14]
関東群馬県上三原田の歌舞伎舞台渋川市赤城町上三原田269ー11819年(文政2年)、1882年(明治15年)移築重要有形民俗文化財[15]
関東群馬県津久田の人形舞台[16]渋川市赤城町津久田甲2348 津久田八幡宮1811年(文化8年)群馬県指定重要有形民俗文化財「津久田の人形舞台附人形」[17]
関東群馬県津久田鏡の森歌舞伎舞台渋川市赤城町津久田363 赤城神社1869年(明治2年)渋川市指定重要有形民俗文化財[17]
関東群馬県柏倉諏訪神社の歌舞伎舞台前橋市柏倉町1023-11869年(明治2年)前橋市指定重要有形民俗文化財[18]
関東群馬県上発知町歌舞伎舞台沼田市上発知町1891諏訪神社・武尊神社 江戸時代、明治32年(1899年)改装沼田市指定重要文化財[19]


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