輩行字
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

いっぽう兄弟が同じ字を使うことは、二文字の名が古くは珍しかったことから偏旁の共有より遅く、東晋孝武帝の子の徳宗(安帝)・徳文(恭帝)に例がみえる[4]南朝宋劉裕の子の名はすべて「義」ではじまる。

古くはあまり厳格なものではなく、たとえばの高祖李淵の子には多くが「元」字がついているが、李建成李世民はそうでない。時代が下がっての王室になるとより規則的に輩行字が使われ、趙匡胤の世代では「匡」字が、その次の世代では「徳」字が共用されている(後に忌諱によって改名したためにわかりにくくなっている)。

朱元璋洪武22年(1389年)に、24人の子のそれぞれと兄の靖江王朱守謙の子に対して20世代までの輩行字を与え、さらに輩行字以外のもう一つの字は五行相生の順に従って木部火部土部金部水部の偏旁をつけなければならないとした[5]朱棣 - 朱高熾 - 朱瞻基 - 朱祁鎮朱祁ト - 朱見深 - 朱祐? - 朱厚?朱厚? - 朱載? - 朱翊鈞 - 朱常洛 - 朱由校朱由検

文化大革命では多くの族譜が焼きすてられ、輩行字に従わない命名がされる傾向が強まったが、それでも輩行字を使用することが多かった[6]
中国以外の輩行字
日本

日本でも平安時代前半に、兄弟で同じ字を使おうとする傾向があった。たとえば嵯峨天皇の子は「良」を、醍醐天皇の子は「明」を、一条天皇の子は「敦」をそれぞれ共有している。しかし、後にはむしろ世代を越えて同一の漢字を共有することが行われた(皇族男子の「仁」、女子の「子」、織田氏男子の「信」、徳川氏男子の「家」)。これを通字(とおりじ)、あるいは「系字(けいじ)」と呼ぶ。
朝鮮

行列字/トルリムチャ
各種表記
ハングル:???/???
漢字:行列字/??字
発音:ハンニョルチャ/トルリムチャ
ローマ字:hangnyeolja/dollimja(2000年式
hangny?lcha/tollimcha(MR式
テンプレートを表示

朝鮮では行列字(ハンニョルチャ、???)またはトルリムチャ(???)と呼ぶ[7]。中国のものと基本的に同じであるが、名の一字目と二字目のどちらを輩行字とするかがあらかじめ決まっている。またどのような法則で字を選ぶかが宗族によって決まっており、たとえば金海金氏では派によって使う字が違うが、いずれも五行相生の順に従って、木部火部土部金部水部の字が順に使われる(柱〈木〉→炳〈火〉→圭〈土〉→錫〈金〉→洙〈水〉→東〈木〉など)[8][9]。また、安東権氏では一から十の漢数字の順で(泰〈三〉→寧〈四〉→五→赫〈六〉→純〈七〉→容〈八〉など)[10]、漢陽趙氏では十干の字が使われる(鍾○〈甲〉→○元〈乙〉→炳○〈丙〉→○行〈丁〉→成○〈戊〉→○熙〈己〉など)[11]

同じ行列字の入った名前は1文字だけが違うため、多く出現すると紛らわしくなることもある。例えば南陽洪氏のある世代は「杓」の行列字を使うが、2018年時点の韓国の政界で「洪◯杓」という名前を持つ政治家洪準杓、洪永杓(朝鮮語版)、洪文杓(朝鮮語版)、洪日杓(朝鮮語版)、洪翼杓、洪長杓(朝鮮語版)の6人がいたため、兄弟だと誤解されたこともある。なお、このうち洪文杓と洪日杓は8親等の親族だが、他の人物は明確な親戚関係を持たない[12][13]
琉球

琉球王国の唐名でも輩行字は使われた。たとえば蔡温の兄は蔡淵で、おなじさんずいを部首として名に使っている。その父は蔡鐸であり、金へんの字を使っているが、これは輩行字が木→火→土→金→水という五行相生の順に従っているためである。
ベトナム

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在のベトナム人男性では姓に続く1文字は親子で共有されるものであり[要出典]、輩行字ではない。ただし、阮朝の皇族は、本来の姓である「阮」のほかに通り字として「福」を加えた「阮福」を姓のように扱い、かつ名の1文字目に輩行字を使っていた(したがって姓名が4文字になっていた)。
脚注^ 田仲(1989) p.30
^ a b 『湖南省志』 26・民俗志、五洲播出版社、2005年、567頁。 
^ a b 『 ⇒解読《韶山毛氏族譜》』湖南図書館、2006年4月5日。 ⇒http://www.library.hn.cn/dfwxct/wz/jdssms.htm


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:17 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef