生まれ変わりには、ヒンドゥー教や仏教の輪廻のように人間は動物を含めた広い範囲で転生すると主張する説と、近代神智学のように人間は人間にしか転生しないという説がある。現代の欧米のニューエイジ系の思想・新宗教や南米の新宗教、日本の新宗教やスピリチュアル、漫画・アニメで見られる生まれ変わり思想「リインカーネーション」は、西洋近代に由来するもので、インドに由来する輪廻とは異なる概念である。現代では、多くの言語がリインカーネーションおよびこの直訳語で「生まれ変わり」の観念を表している[11]。生まれ変わりの信仰・信念は一部の人から見れば荒唐無稽なものであるが、近年アメリカでは宗教的観念への信仰率が減少する中で、転生を信じる率は増加しており、日本でも2008年(平成20年)時点の調査で42.6%が「輪廻転生はあると思う」と回答しているなど、世界中で支持を集めている[12]。
生まれ変わりの概念は、哲学、歴史学、人類学、宗教学、仏教学などで研究されてきた。米国ヴァージニア大学医学部のThe Division of Perceptual Studies(DOPS)では、前世の記憶を持つ子供たちの事例が研究されている。近年では、アメリカの『精神障害の診断と統計マニュアル 第4版』(DSM-IV、1994年)に「宗教的またはスピリチュアル的の問題」という項目が加えられたことを契機に、宗教的な観念が文化資源として注目され、生まれ変わりの概念を「医療資源」と見なしスピリチュアルケアに生かす動きも見られる[13]。 世界の生まれ変わりの思想は、多様であるため、本記事でまとめて論じるために、竹倉史人の分類を援用する。竹倉は生まれ変わりの理念型を次のように分類している。 部族や親族などの同族内で転生する循環型の生まれ変わりの思想。時には動物転生や植物転生も見られる。比較的プリミティブなもので、世界中の小規模社会にみられる[14]。 サンサーラとされ、インドで生まれた転生観であり、生まれ変わりを流転として捉える。生物は永遠にそのカルマ(業)の応報によって、車輪がぐるぐると回転し続けるように繰り返し生まれ変わるいう考えを意味する[15][16]。ヒンドゥー教(バラモン教)や仏教、ジャイナ教にみられ、流転として転生を繰り返すことを苦と捉える。 19世紀中頃にフランスで生まれた思想で[14]、人間は生まれ変わりを通して成長すると考える。人類の直線的な進歩の観念に基づいている[17]。人間には魂や霊といった不死なる根源があると考え、転生を繰り返すことで、(霊的に)進歩または(進化論登場後は)進化し、最終的に神に近い完全な存在になる、または完全な存在による完全な社会が実現されると考える。生まれ変わることは、輪廻とは異なり肯定的に捉えられる。竹倉史人によると、リインカーネーションという言葉が一般的に使われるようになったのは19世紀後半になってからで[11]、今日の用法に連なる意味での初出はフランス語の Reincarnation(レアンカルナシォン)であり、フランスの霊媒・教育者のアラン・カルデック(1804年 - 1869年、本名:ドゥニザール=イポリット=レオン・リヴァイユ)が1857年に『霊の書』で用いたことで広まった[18]。カルデックの教義は、古代ギリシアのピタゴラスやプラトンの生まれ変わり観も参考に編纂された[19]。神秘思想やオカルティズム、心霊論、南米の宗教、アメリカのニューエイジ、日本の新宗教や新新宗教[* 1]、精神世界やスピリチュアル、漫画・アニメなどの創作物の世界観などに広く取り入れられている。「カルマ」という言葉が用いられることもあるが、インド本来のカルマの概念とは別物である。
生まれ変わりの理念型
再生型 = 循環
輪廻型 = 流転
リインカーネーション型 = 成長
転生型
輪廻型
リインカーネーション型詳細は「転生#西洋近代に由来するリインカーネーションの思想」を参照
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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