軍隊
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食料:戦闘糧食II型野外炊具1号(改)

入浴:野外入浴セット2型

医療:野外手術システム野外病院

等がある。有事における最前線はともかく、師団段列などではできるだけ平時に近い生活環境を用意することが士気の維持に不可欠であることを米軍の戦訓などから学んだためであるが、近年では災害派遣で民間人を優先して利用することが多い。
用兵能力

用兵とは作戦戦闘を遂行するために戦力を運用することであり、軍隊の最も根本的な能力である。軍隊の持つ多様な能力も原則的にこの機能に寄与するためにある。戦力の運用は、個々の兵員の練成された体力と共に武器爆発物、通信機器、戦術行動、緊急医療築城などの戦闘技術が求められ、また部隊レベルでは作戦行動の連携を維持するための指揮統率、後方支援などを担当する基本的な能力が求められる。これらの総力が戦闘力となり、司令部情報活動戦略・戦術、意思決定が軍隊の作戦行動を実施させて作戦用兵の機能を果たす。この活動は陸海空で細部が異なっており、別個に高度な専門技能と知識が求められるために陸軍、海軍、空軍と並立している。
練兵能力

練兵とは、軍隊の構成員である兵員の育成であり、軍隊の重要な能力の一つである。軍隊の構成員も礼式など基本的な事項を別として、階級や部署によって役割が異なるために、別の教育訓練を受ける必要がある。例えば部隊の作戦に携わる士官には精神教育、戦術学教育、一般教養などが教育訓練される。軍隊の中でも現場に携わる下士官は、軍隊の骨格であり、精神教育、身体訓練、装備の取扱い、サバイバル技術などのより発展的な戦闘技術などが教育訓練される。また士官と下士官は共に兵とは異なって部下を統率するためにリーダーシップも教育される。兵卒はその精神教育、身体訓練、基本教練、装備の取扱い、射撃術、築城技術などの教育訓練を受ける。教育訓練は兵科によっても大きく異なる。
造兵能力

造兵とは、武器・兵器の研究・開発・生産であり、軍隊の主要な能力の一つである。この造兵の機能は一般的な科学技術と関連して軍事技術の水準を向上させ、兵員により優れた装備を提供する上で非常に重要である。特に海軍空軍では戦力の兵器性能への依存度がより高く、兵器開発が戦力の質に決定的に影響しうる。その内容はさまざまであるが、例えば軍用車両に用いられる装甲技術は兵士の生存性に直結し、航空機に用いられる航空工学材料工学などの研究、ミサイル技術や通信技術などは戦闘の行方そのものを左右しえる重大な要因である。特に近代以降は他国との技術開発の競争があり、軍事技術が陳腐化しないためにも継続的な研究開発が進められている。
類型

国家の軍隊を一般的類型化したものとして以下のようなものが考えられている[4]

類型方式類
政治制度による類型

君主制軍隊:君主制の国家における軍隊。

民主制軍隊:民主主義の国家における軍隊。

社会主義制軍隊:社会主義の国家における軍隊。

総司令官による類型

国王軍:国王皇帝の指揮統率の下にある軍隊。

政府軍政府議会の指揮統率の下にある軍隊。

政党軍:政党の指揮統率の下にある軍隊。

構成員の社会的階級による類型

貴族軍:貴族階級が、特に幹部層を構成している軍隊。

ブルジョワ軍:資本家に属する人々が、特に総司令部や幹部層を構成し、統制している軍隊。

国民軍:ブルジョワ軍に比べて市民に属する人々によって構成、統制している軍隊。

人民軍:ブルジョワ軍に対して人民(プロレタリアート)に属する人々によって構成・統制された軍隊。

部隊編制による類型

傭兵軍:傭兵によって構成された軍隊。

義勇軍:義勇兵によって構成された軍隊。

徴兵軍:徴兵された人員によって構成された軍隊。

構成員の国籍による類型

外人軍:外国人によって構成された軍隊。21世紀初頭においてはフランス外人部隊およびスペイン外人部隊の外人部隊が有名である。傭兵軍と同義語であることが多い。

国民軍:自国民によって構成された軍隊。

編制時期による類型

常備軍:国家によって平時より、現役兵によって編制・維持されている軍隊。

予備軍:戦時になってから、予備兵によって編制される軍隊。

法的な正規性による類型

正規軍:国家政府によって法的な正統性に基づいて編制・管理された軍隊。

不正規軍:国家政府の統制下になく、私人や私的な集団によって編制・管理された軍隊。軍閥・私設軍隊。

専門性による類型

専門的職業軍:非常に高度な軍事的専門性を習得した職業軍人によって構成された軍隊。

一般的職業軍:一般的な軍事的専門性のみを取得した職業軍人によって構成された軍隊。

アマチュア軍:軍事的な専門性を持たない非軍人によって構成された軍隊。

軍事戦略の目的による類型

防衛軍(国防軍):防勢的な軍事戦略を採っている国家の軍隊。

侵攻軍(政策軍):攻勢的な軍事戦略をとっている国家の軍隊(公言はされない。世界一攻撃的と評されるイスラエル軍も、正式名は「国防軍」である)。

戦闘力の程度による類型

軍隊(純軍隊)

準軍隊(準軍事組織を参照)


組織形態
軍政軍令

軍隊は、複数の部隊から成る組織体である。まず、その機能から軍政機関と軍令機関に大別できる。軍政機関とは軍事行政を管轄する機関であり、軍事力の維持に関する予算編成、軍需品の調達、部隊の編制等の業務を担当する。軍令機関とは軍事命令を管轄する機関であり、軍事力の運用に関する作戦指揮を行う。
文民統制詳細は「文民統制」を参照

現代の軍隊は、しばしばその高度な専門性から政治とは切り離され、プロフェッショナルである職業軍人により組織されているが、軍事的行動は文民政治家によって統制されるという文民統制の体制に置かれていることが多い。本来その目的は近世まで続いてきた政治家(貴族)による軍隊の直接統制を廃止し、軍人と政治家を切り離すことで政治が軍事に過剰に干渉せず、軍人がより専門化を推し進める体制を整えることにあった。また、議会制民主主義の浸透により、軍隊が政治の動向とは無関係に行動することを監督する機能もでてきた。そのため今日、軍隊の指揮系統の最上部にあたる最高指揮官は、プロフェッショナルの政治家である国家元首や国防大臣・国防長官である場合が多い。
幕僚機関

幕僚機関とは、指揮官の指揮を専門的な立場から補佐する幕僚により構成される機関である。参謀機関は、最高指揮官から軍団、師団、連隊等の高級部隊の指揮官の下にも設置されており、幕僚長を中心に作戦幕僚、情報幕僚、兵站幕僚、人事幕僚、計画幕僚等の一般幕僚を中心として複数の幕僚から構成される合議制の組織である。作戦部隊 (Line) とは別の機関であり、指揮官の指揮下にのみ入っていて部隊の指揮権を持たない。ただし指揮官の決心を実行するために指揮官の代理者として部隊に命令を下す権限を持っている。参謀機関は戦時においては情報活動、戦術研究、作戦計画び立案などの活動を行い、指揮官の意思決定を補助する。19世紀に生まれたこの幕僚の制度は現代の軍隊では広く採用されている。
陸海空軍
陸軍詳細は「陸軍」を参照

陸軍は陸地を主要な活動領域とし、陸戦を遂行する。作戦を遂行する歩兵、砲兵、戦車、航空部隊や、戦闘支援・後方支援を行う通信、需品、衛生、化学、会計、音楽部隊などから構成され、部隊が配備される駐屯地[注釈 4]を持つ。
海軍詳細は「海軍」を参照

海軍は海洋を主要な活動領域とし、海戦を遂行する。巡洋艦駆逐艦フリゲート潜水艦掃海艇補給艦などの艦船から構成される艦隊を持ち、それらが配備される港湾や基地を持つ。

空軍とは別に哨戒機や掃海ヘリコプターなど海洋作戦に投入される海軍航空隊を編成している国もあり、多くは艦隊隷下にある。さらに航空母艦による艦載航空隊を編成している国もある。

領土内に川や湖を有する内陸国の中には、河川軍と呼ばれる小規模な船舶部隊を組織していることもある。

領海が狭い国では沿岸警備隊のみを編成することもある。
空軍詳細は「空軍」を参照

空軍は空域を主要な活動領域とし、航空作戦を遂行する。戦闘機爆撃機輸送機などから構成される航空部隊を持ち、それらが配備される基地を持つ。防空のための地対空ミサイルを運用する部隊は空軍が運用する国が多い。

陸海の航空部隊を空軍が担当する国と、各軍が独自の航空部隊を編成している国がある。

小国では独立せず陸軍の航空部隊となっていることもある。逆にソビエトなどでは空軍の他に防空任務に特化した「防空軍」が存在した。


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