軍事
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逆に敵の経済力を低下させるための政府や軍隊の経済対策として、経済制裁通商破壊海上封鎖、航空封鎖、市場価格への介入などが実施することが可能である[注釈 35]

経済と軍備の関係について検討した経済学者にイギリスの経済学者アダム・スミスがいる。スミスは『国富論』で市場経済の自由放任が財を適切に配分する原理を論じた。そして経済の自然な成長や植民地の運営のためには軍事力や行政能力が必要であり、またこれらは政府の財政状況に応じた規模に調整することを主張している。軍事力の造成のために必要な産業政策を論じたアメリカの政治家アレクサンダー・ハミルトンは軍務経験に基づいてアメリカの工業の保護を主張する『製造業に関する報告』を著している。この考えた方は後にドイツの経済学者フリードリヒ・リストに受け継がれ、ドイツが自給自足をするために必要な産業を育成しなければ、戦争には対応できない危険性を指摘している。このような戦争に必要な産業を育成する経済政策は世界大戦中に各国で総動員体制の導入に伴って遂行されることになる。
軍事ドクトリン
安全保障政策詳細は「安全保障」を参照

安全保障の概念とは、これはある主体が自らにとってかけがえのない何らかの価値を、何らかの脅威から何らかの手段によって守る、と定義できる[注釈 36]安全保障政策には大別して三つの主要な学派があり、それは軍備の維持増進によって敵対勢力との勢力均衡を維持する重要性を強調する現実主義の学派、経済的な交流を通じて彼我の相互依存を高めることを重要視する自由主義の学派、そして地球全体を統合された国際共同体と見なし、紛争予防と平和維持のシステムを準備し、人間と地球の安全を保障することの意義を主張するグローバリズムの学派の三つがある。つまり安全保障政策は何の価値を重要視するのか、またどの方法が適切であるかに関して論争的でありうる複雑な問題である。したがって、安全保障政策は軍事戦略の政治的コンテクストを形成するものであり、その方針によって兵員や兵器の定数、指揮系統や部隊編制の内容、また戦争における軍事戦略や作戦計画などが決定される。
戦略詳細は「戦略」を参照

戦略とは戦争において目的を達成するためにどのように行動すべきかを指し示した準備、運用、計画であり、またそれを策定するための理論または技術を言う[注釈 37]。しかしながら、戦略の概念は軍事思想史において論争的であったために画一的な定義が定まっているわけではない。その時代や地域の情勢によって戦略の概念はさまざまな文脈で用いられてきており、論者によってその内容は異なっている。しかしながら、戦略に基づいた思考は単に局地的な戦闘に勝利するだけでなく、より幅広い視野から戦争に勝利する意義があることは戦略家によって認められている。戦略という用語が普及する以前からそのような思考法の重要性は指摘されてきた。古代中国の戦略家孫武が著した『孫子』では、戦争がもたらすさまざまな弊害を認識した上で、可能な限り非軍事的手段によって目的を達成することを優先すべきであり、もし開戦したとしても不敗の態勢を確立した後に短期決戦で勝利すべきであると論じた[注釈 38]。このような戦略的思考は現代の研究者によって戦略の原点として参照されている。

軍事思想史において近代の戦略理論を体系化した戦略家として挙げられる人物は『戦争論』を著したクラウゼヴィッツである。クラウゼヴィッツが残した戦略学の業績とは政治に対する戦争の従属的関係を明らかにしたことである。理論的観点から見れば、戦争とは暴力行為であり、敵対関係の結果として戦争の暴力性は無制限に増大し続ける法則がある。つまり戦争の本来の目標とは敵の戦闘力を破壊することに他ならないと考えられる。しかし現実の戦争を観察すれば、戦争には常に政治的目的が与えられており、戦争の暴力性を合理的に調整することができることが分かる。しかも戦争計画を実施に移す際に直面するさまざまな不測事態や不確実性などの摩擦によって戦争行為は妨げられる。このようにクラウゼヴィッツが論じた戦略理論とは戦争の本質に立脚した理論であり、現代においても戦争の本性と政治目的に合致した軍事戦略の在り方を示している。

現代の戦略家として知られているイギリスの戦略家リデル=ハートはそれまでの戦略の概念をより包括的な概念として発展させた。彼の著作『戦略論』では大戦略の概念と間接アプローチ戦略の概念が提唱されている。大戦略とは政治目的を達成するために軍事的手段を適用する技術であり、軍事戦略の上位に立った包括的な戦略の概念として整理される。大戦略の概念によって戦争を軍事作戦の成否だけではなく、より総合的な観点に基づいて戦争を指導することの意義が戦略理論に表現されることになった。さらに間接アプローチ戦略は敵軍に対して直接対決することを回避し、敵の弱点に対して接近する戦略の理念である。ここでの敵軍の弱点とは物理的な戦力が希薄な方面であるだけでなく、心理的な警戒が希薄な方面を指す用語である。リデル=ハートは優勢な戦力を以って正面から敵を圧倒するのではなく、このような戦略的な機動を重要視していた[16]。リデル=ハートの戦略理論には導入された大戦略の概念や間接アプローチの軍事思想は最小限の戦力で戦争に勝利することの可能性を示している。
戦術

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