軍事
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

ハウスホーファーは第一次世界大戦で敗北したドイツが自給自足するために必要な生存圏をユーラシアからアフリカに至る地域と定め、アメリカ、日本、ロシアとともに世界を分割する統合地域理論を主張した[13]

陸上戦力の具体的な組成について観察すれば、その最小単位の部隊である分隊から出発し、小隊、中隊、大隊、連隊そして師団という部隊編制が採用されている。これは師団制度と呼ばれる部隊編制であり、この師団制度に基づいて歩兵、砲兵、機構などの戦闘兵科を担う各部隊が師団の中で組織されている。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}近代的な師団制度は歴史的にはスウェーデンの国王グスタフ・アドルフによって確立されたものであり[独自研究?]、今日の陸軍の部隊編制でも広く採用されている[注釈 29]。また近代以後では火器の破壊力が向上したために要塞を使用する効率性が失われ、機動力を活用することが重視されるようになっている。ドイツの軍人ハインツ・グデーリアンによって実践された電撃戦は近代陸上作戦において戦車の最大限に活用した戦闘教義であり[注釈 30]、現在でも陸上戦力にとって機甲部隊の重要性は変わっていない。
海上戦力詳細は「海軍力」を参照

海上戦力とは海洋において戦闘力を発揮する戦力の形態であり、海軍によって海上戦力は造成、運用されている。しかし海軍だけでなく沿岸警備隊も海上戦力として把握することは可能である。人間の生活にとって海洋という地理的環境は陸地の住民にとっては障害となるが、船舶港湾などの交通手段が確立されれば広大な交通路となるものである。海上交通によって大量の物資の輸送やその輸送を通じた沿岸地域または海外地域との交易で得られる経済的便益がもたらされる。海上戦力とはこの海上交通路を保持して管制する意義があり、さらに敵の海上交通を防止する意味もある。海洋の環境は気象や海象によって変化するが、それを戦力として活用することは困難であり、戦力の優劣がそのまま戦闘結果に反映されやすい[注釈 31]

海上戦力の戦略家として代表的な人物にアメリカの戦略家アルフレッド・セイヤー・マハンがいる。マハンは『海上権力史論』や『海軍戦略』などの著作があり、海洋が巨大な公道であり、海上交通の防衛が海軍の最重要目的であると指摘した。そして生産、海運植民地を連環として繋ぐ能力としてシーパワーの概念を提起する。シーパワーは海上戦力だけでなく、地理的位置や自然的形態、領土範囲、人口、国民性、政府の性格など海洋に関する総合能力である[注釈 32]。マハンと同じく海上戦力の戦略的意義を論じたイギリスの戦略家にジュリアン・コーベットがいる。コーベットは『海洋戦略の諸原則』で海軍だけでなく陸軍との連携を位置づける制限戦争の戦略を研究しており、僅かな陸上戦力でも戦争目的を制限し、敵を海上戦力で孤立化できる地域に派遣するならば、勝利することが可能であると論じた[注釈 33]

海上戦力は基本的に洋上展開能力を持つ艦艇、航空機を単位として組織される戦力である。艦艇は船舶工学の発達にともなってさまざまな艦種が開発されてきたが、現代においては潜水艦航空母艦巡洋艦駆逐艦フリゲート掃海艇給油艦などの艦種がある。これらの艦種は排水量が異なるだけでなく、それに応じて火砲ミサイルなどの兵装も異なる。しかも航空母艦の航空戦力を運用する能力や潜水艦の潜水能力は他の水上艦艇とは異なる能力として特別に設計されている。これら艦艇は艦隊として編制され、艦隊は各艦艇が保有する水上戦闘、対戦戦闘、対空戦闘などの戦闘機能を組み合わせて総合的戦闘力を発揮できなければならない。海軍の航空機は哨戒機が哨戒任務に就き、機動力を駆使して広大な海域のパトロールを行なう。海軍はその水域の制海権を確保するために艦隊決戦や航空打撃戦、海上封鎖などによって敵の艦隊を妨げ、自国のシーレーンを保護し、敵のシーレーンを封殺する。
航空戦力詳細は「空軍力」を参照

航空戦力は空中で戦闘力を発揮することが可能な戦力であり、空軍がこの航空戦力を組織している。航空戦力が経由する空中には陸地や海洋とは異なる地理的特性があり、地球上あらゆる地点に直接的に接触することが可能な唯一の空間である。また航空機は陸上や海上の交通手段と比較して短時間で広範囲に及ぶ移動・輸送能力を発揮することが可能である。さらに現代社会において飛行場と航空機などによって形成されている航空路は海上交通路と並ぶ重要な交通手段である。ただし航空戦力は迅速に機動することが可能であるものの、その戦闘力は他の戦力と比べて短時間で消耗してしまう。なぜならば、航空戦力の本質的要素は航空機であるために、滞空するだけでも燃料を消費し、また搭載可能な兵装も制約されている。したがって地上また空中での燃料や弾薬の補給、航空要員の交替を行う必要が出てくるのである[注釈 34]

航空戦力の戦略的効果について論じたイタリアの軍人ジュリオ・ドゥーエは第一次世界大戦で航空機の軍事的な可能性を発見し、『制空』において独立空軍の効率性を主張した。その理由として航空機が持つ飛距離が拡大したことで敵の前線を超えて後方地域に戦略爆撃を行うことが可能になったためであり、そのため制空権の争奪がこれからの戦争の主要な基軸となるためであった[14]。同様にアメリカの軍人ウィリアム・ミッチェルも『空軍による防衛』においてこれからの戦争の主力は航空戦力であり、独立空軍の創設を主張している。彼らの主張は当初は支持されなかったが、第二次世界大戦で航空戦力の有効性は認識されるようになる[15]。イギリスの軍人ウィリアム・テッダーは第二次世界大戦での航空戦力の働きを踏まえて、『戦争における空軍力』で航空優勢が陸海空いずれの作戦にとっても不可欠であると述べて航空戦力の普遍的な重要性を論じた。

航空戦力の本質にあるものは航空機であるが、この航空機もその偵察、戦闘、爆撃などの目的からさまざまな設計が施される。軍用機の種類としては偵察機戦闘機攻撃機爆撃機電子戦機空中給油機などの種類がある。しかし航空機の航空能力を継続的に発揮するために必要な航空基地も不可欠な要素である。航空基地での航空管制や後方支援の機能により航空機は航行が可能となる。航空機は戦術的機能を統合した航空団などに編制され、航空偵察、対航空作戦、航空阻止、近接航空支援、戦略爆撃などの航空作戦で運用される。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:104 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef