軌道法
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?国家行政組織法第12条第3項

第28条から第30条は罰則規定である。

第31条は軌道法を適用する軌道に準ずるものを規定しており、国土交通省令(軌道法第三十一条の一般交通の用に供する軌道に準ずべきものを定める省令(昭和22年運輸・内務省令第2号))で無軌条電車が該当するものとして定められている。
「鉄道」との違い

行政管轄として軌道は土木行政に属する道路行政で、鉄道は鉄道行政となる。これは軌道が道路交通の補助として位置づけられていたことに起因している。大東亜戦争太平洋戦争第二次世界大戦)以前は土木行政が内務省土木局、鉄道行政は鉄道省監督局の担当で、終結も長きに渡って土木行政は建設省都市局および道路局、鉄道行政は運輸省鉄道監督局と所轄省庁が異なっていたため、軌道法制と鉄道法制を分けていることに大義があったが、現在に至っては鉄道・道路ともに国土交通省管轄になっており、両法制の一元化の動きもみられていた。現在多く見られるようになった専用(新設)軌道を持つ軌道については、戦前期の人口爆発によって輸送力強化を図るために併用軌道から新設軌道に改良された背景から、普通鉄道との相違がほとんど無い場合が多い。

具体的には以下のような違いがある。
許認可

現在の鉄道事業は、敷設に対し許可であり、廃止は届出であるが[注釈 3]、軌道事業は、敷設に対し特許であり、廃止は許可である。
敷設

軌道法が「軌道ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ他之ヲ道路ニ敷設スヘシ」(第2条)と規定し、鉄道事業法が鉄道の道路への敷設を原則禁止している(同法第61条)。

ただし、軌道法第2条但書、鉄道事業法第61条但書により、国土交通大臣の許可を受ければ軌道は道路以外に、鉄道は道路に敷設が可能である。そのため、軌道では大部分が新設軌道である都電荒川線京福電鉄嵐山本線、全線新設軌道である大阪市高速電気軌道 (Osaka Metro) や東急世田谷線が存在している。一方、鉄道では一部に道路併用区間を有する江ノ島電鉄線[注釈 4]が存在している。
運行

軌道運輸規程では速度計の設置が義務ではない。
動力車操縦者運転免許

動力車操縦者運転免許に関する省令第4条により、軌道運転規則第3条第1項の規定の適用を受ける軌道(「新設軌道」(道路外に敷設する軌道)および「道路の路面以外に敷設する併用軌道」(道路上の高架空間等に敷設する軌道))での運転には鉄道(新幹線を除く)と同様に「甲種」免許が必要となるが、道路の路面に敷設する併用軌道での運転には「乙種」免許が必要となる[注釈 5]。ただし軌道運転規則第3条第2項により新設軌道と併用軌道が混在する線区については第1項の規定の適用を受けないことができ、その場合は当該線区での運転には「乙種」免許が必要となる[注釈 6]
沿革

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2018年4月)

日本において鉄道と軌道が法的に別個に扱われるようになった歴史は古く、軌道法の前身法である軌道条例の発布よりも早く、1874年明治7年)まで遡ることができる。1873年(明治6年)東京の芝金杉橋-上野間に馬車鉄道の計画が提出された。この馬車鉄道は開業することはなかったが、この計画に対し1874年(明治7年)に「馬車轍路規則」が定められ、これが@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}日本における最古の軌道に関する適用規則である[要出典]。この後、軌道の出願は1880年(明治13年)東京市街馬車鉄道(東京馬車鉄道)の出願に至るまでなく、法整備は行われない状態であった。本出願に対し、政府ならびに東京府は個別に対応することとし、東京府は「馬車鉄路築造并営業ヲ認許スルニ付命令書」で軌道の監督を実施する。

1887年(明治20年)頃には馬車鉄道の出願が増えてきたこと、また、軌道に関する命令書の作成は各地方庁(府県庁)で行われていたため、地域毎に取り扱い等に差が出ることなどから法整備を実施することとし、1890年(明治23年)軌道条例を発布する。経緯から分かるように、軌道条例は馬車鉄道への適用を主眼として制定されており、かつ、命令書により実質的な軌道監督をするという形式で、軌道条例自体はわずか3条からなる法律であった。黎明期の電気鉄道は、当時の鉄道部局が電気に対する知識もノウハウももっていなかったため、軌道条例で特許、敷設されている。軌道条例はこれらの実態に合わせ二度改正されているが、最終状態でも5条からなるものでしかなかった。

軌道法への改正は、軌道条例では付帯訓令により定められていた事項を法律へ反映したものである。よって、軌道法の内容は本質的には従前の軌道条例で行われていた監督内容と変わりがない。なお、軌道の監督については1908年(明治41年)度より鉄道院との共轄となっており、この体制は監督官庁の変遷にもかかわらず、国土交通省として合併するまで続けられた。国土交通省の誕生後、ライトレールが大変な脚光を浴びていることもあり、時代に即した内容への改正論議が高まっている。

黎明期の電気鉄道は軌道条例で特許され[注釈 7]、併用軌道上では低速走行のみが許可されていた。アメリカで普及した、新設軌道による高速鉄道インターアーバンの概念を日本に持ちこもうとした摂津電気鉄道(後の阪神電気鉄道)は特許を得て、当初は一部のみを併用軌道として敷設したことが知られている。京浜急行電鉄京成電鉄京王電鉄京阪電気鉄道などの私鉄も軌道法制で特許され、後に併用軌道区間を廃止し、戦後に鉄道へと変更した路線である。

軌道から鉄道に変更した具体例としては、近鉄奈良線京浜急行電鉄京王線京成電鉄西鉄天神大牟田線は軌道法準拠で開業しており、1930年代から1940年代半ばまで軌道線とされていた。また、阪神電気鉄道阪急電鉄神戸・宝塚線京阪電気鉄道、それに能勢電鉄も軌道法準拠で開業しており、1970年代後半まで軌道線とされていた。京阪本線の一部区間は、2013年に至るまで軌道線扱いであった。名鉄豊川線のように、現在の実態としては完全に鉄道と同規格であるが、建設の歴史的経緯から今でも軌道法準拠である路線も存在する。

1972年都市モノレールの整備の促進に関する法律が施行されて以降は、新交通システム(神戸新交通ゆりかもめニュートラムなど)や都市モノレール(北九州高速鉄道大阪モノレールなど)を道路法に規定された道路に沿って整備する場合、軌道法に基づいて軌道や高架橋などのインフラ部を道路管理者(都道府県や市町村などの自治体)が「道路交通の円滑化」名目で整備すれば、国の補助金である「社会資本整備総合交付金」(都市・地域交通戦略推進事業)の適用を受けることができることから、軌道法に基づいて特許申請し整備される事例が多い。

一方で、道路法に規定された道路ではない臨港道路[注釈 8]上に整備される新交通システムの路線については、軌道法の適用対象とはならず、鉄道事業法が適用された鉄道路線となっている。このため、港湾地域に路線を有する神戸新交通、ゆりかもめ、およびニュートラムでは、軌道法による軌道区間と鉄道事業法による鉄道区間が同じ路線の中で区間ごとに混在している。

道路法規定の道路に沿って道路と一体的に整備された具体例としては、阪神高速13号東大阪線の高架橋と一体整備された近鉄けいはんな線大阪府東大阪市国道308号上を走る区間は軌道法が適用されているほか、北大阪急行電鉄南北線延伸線の整備(千里中央駅 - 箕面萱野駅(新箕面駅))にあたっては、地下に整備される千里中央駅 - 箕面船場阪大前駅(箕面船場駅)間は鉄道事業法に基づいて、国道423号新御堂筋)に並行する箕面船場阪大前駅(箕面船場駅) - 箕面萱野駅(新箕面駅)間は軌道法に基づいて整備された[5]
軌道法に基づく軌道経営者および軌道路線

併用軌道を持つ路面電車路線が軌道法の本来の適用対象であるが、先述の通り、一部のモノレールや新交通システム、地下鉄の路線にも適用路線が存在している。


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