踊る大捜査線
[Wikipedia|▼Menu]
それでいいんだ」と言った[5]。亀山は「警視庁のメンツと所轄のメンツ、それが本作のテーマ。だから私と君塚さん二人の間では『踊る』は半分『仁義なき戦い』なんです。ダメな署長は金子信雄さんです」などと述べている[5]
ストーリー

元敏腕営業マンの青島俊作脱サラして警察官となり、交番勤務を経てようやく念願の刑事課勤務となる。だが、青島の配属された警視庁湾岸署は「空き地署」と陰口される東京の僻地。配属直後に管内で事件が発生し、青島は意気込んで現場に向かうものの、「所轄刑事」として現場検証すらさせて貰えない。青島は強行犯係の大先輩で定年間際のベテラン刑事和久平八郎から所轄刑事の心得を叩き込まれる。それは青島が思い描いていた理想の刑事像と大きくかけ離れた地味で冴えないものだった。

管内で殺人事件が発生した場合には所轄署に「帳場が立ち」(捜査本部設置)、本庁刑事部の腕利きと共に国家公務員一種(キャリア)の管理官が送り込まれる。聞き込みや取り調べ、犯人確保といった事件捜査の主役はあくまで彼らの仕事だった。青島が初めて出会った警察官僚が室井慎次管理官だった。青島は室井の指名で運転手役をやらされ、徹底的に冷たくあしらわれる。室井は被害者の娘で通報者の柏木雪乃にも詰問口調で迫る。雪乃は父親を失ったショックで失語症に陥っていた。青島は室井の乱暴さに反感を覚え、雪乃を優しくフォローする。

一方、湾岸署は個性派揃い。俗物で昼行灯の神田 総一朗署長を筆頭に、署長の腰巾着秋山 春海副署長。そして、事なかれ主義の刑事課長袴田 健吾などなど、良くも悪くも青島にとっては営業マン時代とそう変わらぬ人間関係となる。同じ強行犯係には東大卒のキャリアで年齢は青島より下だが階級は遙かに上、親の七光りまで持つ真下正義が昇進試験の「腰掛け」として在籍中。そして盗犯係には小さい体に似合わず男勝りの迫力を持つ紅一点恩田すみれが居た。熱血が空回りすることの多い青島は和久、真下、すみれら仲間たちに励まされながら奮闘することになる。

やがて、すみれの過去が明らかになる。逮捕した犯人からの逆恨みでストーカー被害に遭い、体にも心にも大きな疵を抱えていた。「正しいことをしたければ偉くなれ」和久のその言葉は重い意味を含んでいた。青島は仲間たちや自分を頼ってくれる人々を守る為、強くなろうと胸に誓う。また、鉄面皮の冷血漢に見えた室井も秋田出身で東北大卒という異色のエリートで、優秀であるが故に身内に敵も多い孤独な男だった。室井は次第に青島を認め、目を掛けるようになるがそれはお互いにとって辛く険しい道程となってゆく。

雪乃は青島やすみれの励ましを受け、父親の事件を乗り越えて、日本で生活していた。ところがそんな彼女に麻薬密輸の重要参考人という嫌疑がかけられる。雪乃を本庁の手に渡してはならない。青島は咄嗟の機転で雪乃を口汚く侮辱し、怒った雪乃から平手打ちを食らう。「公務執行妨害による逮捕」その場合、勾留権は所轄署が優先される。真下やすみれの協力により「取り調べと称する時間稼ぎ」で雪乃を保護する一方、青島は和久と共に真犯人を追う。そこで和久が見せたのはグレーゾーンに生きる人間たちと繋がりを持ち、彼らから巧みに情報を引き出す所轄刑事ならではの裏技だった。青島は和久から継承者に指名される。二人の活躍により被疑者は確保され、本庁刑事に引き渡された。だが、本庁や警察上層部の間で青島は悪名高き存在となる。 雪乃は、この事件をきっかけに警察官を目指すようになる。

管内で発砲事件が発生。職質しようとした真下が銃撃され、重体に陥る。仲間の窮地に湾岸署は結束し全力をもって捜査に尽力する。そして、室井と青島のコンビにより事件は無事解決する。だが、室井は警備部に左遷され、青島は交番勤務に戻される。「市民に信頼されるお巡りさん」という自身の原点に立ち戻った青島はやがて再起することになる。

この物語は、異色の経歴と特技を持つ青島刑事を軸に、彼を取り巻く人々が時代の変化により起きる数々の難事件と対決する、壮大なドラマとなってゆくのだった。
当初の踊る大ラブストーリー計画

初期の構想段階では、すでに引退したベテラン刑事和久の娘をすみれ(監察医)に設定し、和久宅に居候する青島との恋愛も一案にあった[6]。その後は、青島と雪乃、室井とすみれの二本立てでの恋愛路線、青島と雪乃とすみれの三角関係も構想されている。実際、青島・雪乃間での恋愛に発展しそうな伏線や、すみれが青島に惹かれてゆく描写もちりばめられており、室井とすみれの二人きりのシーンも幾度かあった[7]

この恋愛ドラマ路線は、第1話が放映され視聴率が出た時点で取りやめが決定された[8] が、これは亀山プロデューサーの判断であった[注 2] と、脚本家・君塚良一は著書「テレビ大捜査線」にて語っている。このとき第4話までは脱稿していたので第5話からのプロットが恋愛の要素を排したものに変更され、以後は警察ドラマとしての視点に重点を置いていくこととなり、そこで雪乃の設定に大幅な変更が加えられている(血液型まで変更された[注 3])。
登場人物詳細は「踊る大捜査線シリーズの登場人物一覧」を参照
青島俊作
演 - 織田裕二湾岸署刑事課強行犯係係長・警部補(テレビシリーズ時は巡査部長)。
室井慎次
演 - 柳葉敏郎警察庁長官官房審議官・警視監(テレビシリーズ時は警視)。
恩田すみれ
演 - 深津絵里湾岸署刑事課盗犯係主任・巡査部長
真下正義
演 - ユースケ・サンタマリア警視庁湾岸警察署署長・警視正[9](テレビシリーズ開始時は警部補、途中で昇任試験を受け警部に、その後交渉人真下正義で警視に)。テレビシリーズ開始時は研修配置で刑事課強行犯係に、係長や課長代理を経て捜査1課や交渉課(準備室)を経て警察庁長官官房付(『THE MOVIE 3』開始時)その後、湾岸警察署署長となった。
柏木雪乃 → 真下雪乃
演 - 水野美紀湾岸署刑事課強行犯係・巡査部長(テレビシリーズ開始時は一般人)。第1話で父を殺され、湾岸署の人々とかかわるうちに警察官を志し、途中で採用試験を受け、合格する。『容疑者 室井慎次』で真下と結婚して以降は真下姓で、「THE MOVIE 3」から産休中。
和久平八郎
演 - いかりや長介元湾岸署刑事課指導員(現役時は同署同課強行犯係・巡査長)。「THE MOVIE3」時点で故人。
シリーズ


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:195 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef