足利義量
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江戸時代後期に編纂された『大日本野史』では、「性酒を好み劇飲度なかりしといふ」としている[5]。またこの見方は田中義成永原慶二といった歴史家も「酒のために早世したり」「酒色に溺れた」と踏襲している[6]

花営三代記』応永28年6月25日条・6月29日条には、15歳の義量が父の義持に大酒を戒められ、近臣は義量に酒を勧めないよう起請文をとられたという話なども伝えられている[7]。ただし清水克行は、起請文の一件は義持本人が度々「禁酒令」を出していたことによるもので、これを除くと義量と酒に関係する同時代史料は見い出せず、義量が大酒飲みであったとする事実は認められないと指摘している[6]

幕政においても隠居していた義持や有力管領らの存在もあって実権は無いに等しかった[3]。死の2、3年ほど前から病を得て様々な治療や祈祷を受けていたが(『看聞日記』)、応永32年(1425年)2月27日に父に先立って急死した。享年19[8](満17歳没)。

義量には嗣子が無く、兄弟もいなかった。室町殿である義持は後継将軍や嗣子を定めることもせず、正長元年(1428年)に死去するまで政務を執ることになった。

栃木県足利市鑁阿寺が義量の木像を所蔵している[3][注釈 1]
人物

義量は病弱であったが、義持の実子の中で元服まで存命しているのは彼だけだったため、義持の寵愛はかなりのものだったと伝わる。酒飲みに関して起請文を取ったのも、我が子を心配する(義持には義量しか子供がいないため)父親の愛情だったという[7]

義量にとっては大叔父である足利満詮が亡くなる際、娘を義量に嫁がせることを条件に所領を譲ったが、程なくして義持が満詮の娘を無理矢理出家させて義量と離別させたという(『看聞日記』応永25年5月16日条)[9]

また、義量の死は突然だったため、義持が殺害した義量の叔父にあたる義嗣の怨霊のため、あるいは義持が義量に将軍職を譲ってから寺社統制のために石清水八幡宮の神人を数十人殺害しており、その神罰であるとする噂もあった(『薩戒記』)[8]
経歴

※日付=旧暦

応永24年(1418年)12月1日、元服し、義量と名乗る。同日、正五位下に叙し、右近衛中将に任官。12月13日、昇殿を許される。

応永30年(1423年)3月18日、征夷大将軍宣下。

応永31年(1424年)1月12日、従四位下に昇叙。右近衛中将如元。10月13日、参議に補任。右近衛中将美作権守兼任如元。 (美作権守兼任日付不詳)

応永32年(1425年)1月12日、正四位下に昇叙。2月27日、卒去。

康正3年(1457年) 2月27日、贈従一位左大臣

脚注
注釈^ なお、室町幕府歴代将軍の木造を安置している等持院には義量と14代将軍義栄の木像はない。

出典^ 『足利義量』 - コトバンク
^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 32頁。
^ a b c d e 伊藤 2008, p. 155.
^ 伊藤 2008, p. 154.
^ 「足利義量」『國史大辞典』 第一巻(大増訂版)、吉川弘文館、1925年、44頁。 
^ a b 清水克行「足利義持の禁酒令について」『日本歴史』619号、1999年。 /所収:清水克行『室町社会の騒擾と秩序』吉川弘文館、2004年、106-119頁。 
^ a b 伊藤 2008, p. 156.
^ a b 伊藤 2008, p. 158.
^ 高鳥廉「室町前期における足利満詮流の政治的地位」(初出:『日本歴史』827号、2017年)/所収:高鳥『足利将軍家の政治秩序と寺院』(吉川弘文館、2022年) ISBN 978-4-642-02976-6)2022年、P97.

参考文献

伊藤喜良『足利義持』吉川弘文館〈人物叢書〉、2008年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-642-05246-7


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