超時空要塞マクロス_愛・おぼえていますか
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製作費は約2億円[2]、観客動員数は約85万7600人[2]配給収入は7億円[3]。キャッチコピーは「それは時空を超えたラブソング」「ミンメイ 最大戦速(マクロスピード)!!」[7]
作品解説

『超時空要塞マクロス』の人気を受けて、1982年末にテレビシリーズの放送延長とともに映画化企画が浮上[8]。1983年から1984年にかけて、後番組『超時空世紀オーガス』の制作と並行して準備が進められた。

監督はテレビシリーズのチーフディレクターを務めた石黒昇と、メカニックデザイナー出身の河森正治が共同で担当。河森はテレビシリーズ第17話「ファンタズム」や第27話「愛は流れる」の演出(「黒河影次」名義で絵コンテ担当)を認められて抜擢された[9]。ストーリーは河森の初期構成案をもとに富田祐弘が準備稿を執筆。これと河森が描いたイメージボードを元に、石黒と高山文彦が絵コンテを切り、河森が最後に全体のトーンをまとめるというプロセスで構成された[10]

公開当時はテレビアニメのダイジェスト映像をもって劇場版とする作品が多かったが、本作は全編新作フィルムとして制作された[11]。「アイドル歌手リン・ミンメイの歌によって文化を知らない異星人との星間戦争に決着がつく」というコンセプトを保ちつつ[12]、テレビシリーズ第27話「愛は流れる」までのエピソードを再構成[12]。敵が男のゼントラーディと女のメルトランディという2種族に分かれて争い続けていることや、クライマックスで流れる歌が太古の流行歌であることなど、設定を大きく変更した[12]。河森は作品のテーマについて、「生まれも育ちもちがう複数の人物が、その差を乗り越えてひとつになり得るか[13]」と述べている。

その世界観を視覚化するため、宮武一貴がデザインラインを再編し、現用兵器的な地球系、深海生物的なゼントラーディ系、無機工学的なメルトランディ系に色分けした[14]。また、「デカルチャー」などの異星言語を考案し、画面に翻訳テロップを付けるという手法を用いている。キャラクターデザインにおいても、前述の宮武のデザインラインの系統に沿ってリメイクされ、劇場で視聴する際の角度も考慮した頭身へと変更された(とくに地球側キャラクターが顕著)。

作画では美樹本晴彦(地球側キャラクター)、平野俊弘(異星人キャラクター)、板野一郎(メカアクション)ら作画監督が中心となり、テレビシリーズの代表的な話数よりもさらに絵の密度を上げるとともに、スケジュールなどの問題により維持できなかったクオリティの統一を図ることを目標とした[15]。キャラクターのタッチはじっくりした芝居の「間」にこだわるという演出意図から、テレビシリーズよりも落ち着いたものに変更された[16]。また、空中戦シーンでは大気圏内と宇宙空間での機動の違いや、パイロットごとの操縦の個性の違いを表現している[11]

音楽では作曲家の羽田健太郎が新規にBGMを作曲[注 2]。作中のシーンに合わせて、ミンメイ役の歌手飯島真理が歌う劇中歌を配置している。加藤和彦安井かずみ夫妻が提供した主題歌『愛・おぼえていますか』は、劇中においてもクライマックスの大戦闘を終結に導くキーナンバーとされた。
反響・評価

日本のアニメ界において、1984年は本作や『風の谷のナウシカ』『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』が公開された劇場用アニメの当たり年といわれる。第7回アニメグランプリ(読者投票)[注 3]では、1位ナウシカ、2位マクロス、3位うる星やつら2とグランプリ上位3作品を劇場作が占めた。

劇場公開後、手法の解説を要望された河森は「『マクロス』では、スタッフに恵まれていたから、そういう挑戦が可能だったんですよ。」と時代精神の反映的所産である事を強調している[17][18]。現在のテレビアニメというのは、登場人物があまりに抽象化記号化されていると思います。人物の感情を「説明」はしていても「表現」はしていない。だからこそ、今回はニュアンスまで含めた感情表現をしてみようと思ったともいえます。 ? 「アニメーション映画の地平線」 河森正治インタビュー[19]

本作の版権イラストのような高密度作画[12][注 4]、スピード感溢れるアクションは、後に日本製アニメの特徴となる「ハイクオリティ主義」に影響を与えたと指摘される[12]。また、当時のセル画表現の最高峰という意見もある[21]

音楽面では本作のサウンドトラックがオリコンチャート最高9位、主題歌『愛・おぼえていますか』が同チャート最高7位を獲得。飯島はTBS系『ザ・ベストテン』、日本テレビ系『ザ・トップテン』などの人気歌番組にランクインして出演した。

セルビデオは1984年のオリコンビデオチャートで、マイケル・ジャクソンの『スリラー』(輸入版)や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を抑えて年間1位を記録した[22]

アメリカ合衆国で放送された『ロボテック』は日本製アニメ人気の火付け役となったが、ファンは『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』『機甲創世記モスピーダ』という別々の原作があることを知らなかった[23]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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