超時空要塞マクロス_愛・おぼえていますか
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本作は当初1984年8月25日公開予定[28]だったが、先行上映が7月上旬に繰り上がったため制作スケジュールが短縮された(制作期間は実質半年間[29])。また、上映時間の問題もあり、脚本や絵コンテでは予定されていたもののカットされたシーンがいくつかある。

絵コンテでは、本編終了後にエンディングテーマ『天使の絵の具』に乗って終戦後のリン・ミンメイのコンサートシーンが映し出され、主人公たち3人の未来が明示されて終わるはずだったが、作画が見送られ、公開版では暗転した画面にスタッフロールが流れる形式であった。監督の河森は、後になって考えると、このエピローグがあると観客の想像の余地がなくなるとして、カットされて良かった面もあるとしながらも、制作したいという願望を述べていた[30]

公開3年後の1987年、このコンサートシーンを映像化したOVA超時空要塞マクロス Flash Back 2012』が発売された。以後販売されたビデオ、LDDVDソフトはエンディングの前半部分をOVAのコンサートシーン(「天使の絵の具 part1」)に差し替え、タイトルも『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 完全版』に変更している。2007年発売のHDリマスターDVDメモリアルボックスは「劇場公開版」と「完全版」のエンディング違いの2種類のディスクを収納している(劇場公開版は上映時のオリジナル音声を収録)。

他の幻のシーンとしては、最終決戦前のマクシミリアン・ジーナスミリア639の結婚式がある(絵コンテ改稿段階でカット[31])。このシーンは『マクロス7』作中の回想シーンで新たに作画され、原画を美樹本晴彦が担当した。公開当時の雑誌・ムック本にはこれらの絵コンテやコスチュームデザインが掲載されているが、ミンメイのステージ衣装はOVA版よりもシンプルなデザインであった。
劇場版ストーリー

本作のオープニングではSDF-1 マクロスが地球に向けて宇宙航行を続けている理由や、同艦内の市街地で大勢の市民が生活している理由などが説明されていない。河森は、状況説明を省いた理由について「最も見て欲しいところに注目してもらうために、不必要なところを切り捨てた[32]」「意地でも説明ゼリフは入れまい!と思っていた[33]」と述べたが、スタジオぬえの先輩である高千穂遙は「河森がテレビ版『マクロス』を見ていない一般観客を相手にした以上、その賭けは敗れたと見るほかはない[34]」と批評した。

1997年発売のSSPS用ゲーム『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』のオープニングムービーでは、河森による監修のもとでテレビシリーズ第1話から第3話までのエピソードに相当する開戦時の状況が描かれている。この映像は、DVD『マクロス20周年プレミアムコレクション』(2002年)や『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか HDリマスター メモリアルボックス』に収録されている。

2009年2月、SDF-1マクロスの進宙式典が催されていた南アタリア島に、突如ゼントラーディ軍上陸部隊が奇襲を仕掛け、島民はマクロス艦内に避難する。支援のため洋上の空母プロメテウスからバルキリー隊が発進するが、直後に衛星軌道上からのビーム攻撃でプロメテウスが撃沈。母艦を失ったロイ・フォッカー指揮下の一条輝、マクシミリアン・ジーナス柿崎速雄スカル小隊は南アタリア島へ急行する。バルキリー隊と敵機動兵器の交戦中、マクロスは地上付近で緊急フォールドを敢行(テレビ版と異なり南アタリア島は巻きぞえで空間転移しない)。脱出直後、間一髪で島にビーム爆撃の集中砲火が降り注ぐ。

マクロスは大爆撃から逃げ延びるが、フォールドシステムの誤作動で太陽系外周の冥王星付近まで飛ばされ、地球の安否も分からぬまま7か月の帰還航海の途に就く。艦内には長距離航海用の仮設居住空間があり、南アタリア島市民は市街地を建設して生活を始める。その街でリン・ミンメイはアイドル歌手としてデビューし、映画冒頭の5か月目にファーストコンサートを迎える。

また、一条輝らが行方不明になっていた1か月間にマクロスは土星から地球まで航海しているが、ゲーム内では木星付近でのゼントラーディ軍放棄戦艦の調査(敵の正体の判明)、火星サラ基地での物資補給、テレビシリーズのダイダロス・アタックに代わるアームド・アタックなどのイベントが設けられている。

2012年発売のBD版ソフトに収録された「Ver.2012」では、オープニングに状況説明のテロップが追加された。

初期シナリオでは、輝と未沙がデフォールドしたのは地球ではなく、すでに滅んだプロトカルチャーの移民星であり、マクロスもそこに逃れてくる展開だった。このシナリオをもとにした富田祐弘によるノベライズが秋田書店の『マクロス・ポストカードブック』に所載されている。
その他
ゲスト出演
アフレコに外国人エキストラが参加し、ブリッジオペレーターの交信[注 6]、艦内アナウンス、繁華街のモブシーンで英語スペイン語などの音声を担当した。また、プロモーションの一環として、当時テレビ番組『世界まるごとHOWマッチ!!』の回答者として人気者だった弁護士ケント・ギルバートコンダ88333役に起用された。ワレラ25258役のジェフリー・スミスはギルバートの同業者である。
プロモーション
劇場公開時、ファミリーレストランチェーンすかいらーくグループが抽選でバッジやパズルが当たるタイアップ企画「マクロスフェア」を催した。マクロスグッズの詰め合わせ袋も販売したが、店内のグッズにはすかいらーくマークが入っているのに対し、一般販売のグッズには「マクロス(MACROSS)1984-SUMMER」と入っている。また、テレビCMでは映画の場面と『愛・おぼえていますか』の曲に乗せて、リン・ミンメイ(飯島真理)の「味・おぼえていますか」なる台詞が付けられた。なお、同社はかなり後年のCMでも同曲を使用している。
パロディ
作画スタッフのお遊びとして、ボドルザー艦内で輝のバルキリーから一斉発射されるミサイルの中にサントリータコハイバドワイザービールの缶が混じって飛んでいる(通称「タコハイミサイル」「バドワイザーミサイル」)。このカットの担当者は作画監督補の飯田史雄(漫画家SUEZEN[36]。後にやまとから発売された1/48バルキリー玩具のスーパーパックセットには、これを再現した缶ラベルのシールが付属していた。
リメイク企画
1990年代初めにアメリカで本作の実写特撮リメイク企画が立ち上がり、河森は渡米してハリウッドの製作スタッフと準備にとりかかった(マクロスシリーズ#幻の企画を参照)。これを契機に国内外で「マクロス4大プロジェクト」が発表され[37]、このうち『マクロスプラス』(OVA・劇場版)と『マクロス7』は実現したが、ハリウッド実写版だけは実現しなかった。
他作品における引用
アニメ


ケロロ軍曹 - 第146話のサブタイトルが「冥 おぼえていますか? であります」。なお、本編はパロディではない。

バンブーブレード - 第7話に劇中アニメ『マグロス 鯵・おぼえていますか』のポスターが登場する(劇中アニメのタイトルロゴもポスター自体のデザインも、本作品のパロディ)。

ヴァンドレッド - 男女種族の抗争という企画原案に本作品が影響している。

アベノ橋魔法☆商店街 - 第3話にロイ・フォッカーのミサイル乱射シーンへのオマージュがある[38]

涼宮ハルヒの憂鬱 - 第12話「エンドレスエイト」で主人公のキョンが自転車を運転しながらロケット花火を乱射し、柿崎の名を叫ぶ(板野一郎#板野サーカスを参照)。

ゲーム


ギャラクシーエンジェル - ゲーム版最終話は本作品をモチーフとし、第1作においては歌も飯島真理が担当した。

タイムトラベラーズ - 『愛・おぼえていますか』を歌うリン・ミンメイを彷彿とさせるシーンが存在する。


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