超時空要塞マクロス_愛・おぼえていますか
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河森監督は両作品の特徴について、テレビ版は「ドキュメンタリースタイルなのでわりと日常的に作られていて、史実にやや近いという想定」、劇場版は「2時間でコンパクトにまとめなくちゃいけないのでドラマ的な編集がなされているという設定」と答えている[26]。また、劇場版の「劇場」には映画館での公開だけでなく、「舞台劇」という意味も込められているという[27]。「巨大異星人同士の抗争に巻き込まれた人類(マクロス)」という骨格はテレビ版と変わらないが、2時間の映画にまとめあげる上で設定の大部分にアレンジが施されている。
相違点

巨大異星人とその抗争図

テレビ版 -
ゼントラーディ軍監察軍の争い。ゼントラーディ軍は男女混合軍だが、規律上部隊は別編成となっており、ラプラミズはボドルザー直衛部隊の指揮官で、クァドラン・ローはゼントラーディ軍女性兵用の機動兵器。

劇場版 - ゼントラーディ(男性種族)対メルトランディ(女性種族)の争い。クァドラン・ローはメルトランディの機動兵器。ゼントラーディ、メルトランディともキャラクター名がコードネーム(製造番号)付きになった(例:ミリア・ファリーナ→ミリア639)。この設定変更に伴い、ゼントラーディは有機的な曲面主体のグリーン系に、メルトランディは無機的な直線主体のパープル系にまとめられている。ボドルザーとラプラミズは独立した肉体を持たず、テレビ版とは形状が異なる要塞サイズの旗艦中枢部として固定され、巨人兵よりさらに巨大である。

『マクロス7』制作時の年表では前者の設定だが、『マクロス7』では@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}劇中劇としての本作の影響で[要出典]ゼントラーディ女性を「メルトラン」と呼称するようになったとしている。



第一次星間大戦

テレビ版 - 期間は2009年2月から2010年3月までの約1年間。マクロスとゼントラーディ軍が戦い、監察軍は地球に落下した砲艦(後に地球人によりマクロスへ改修)以外は登場しない。地球はマクロス帰還後のゼントラーディ基幹艦隊による総攻撃でほぼ全滅する。ボドルザーは要塞内部に突入したマクロスによる反応弾頭ミサイルの一斉発射により、要塞ごと爆散させられる。

劇場版 - 期間は2009年2月から9月までの約7か月。マクロス、ゼントラーディ、メルトランディの三つ巴の戦い。地球はマクロス発進後間もなく全滅させられた設定となっている。ボドルザーは要塞内部に突入してきたマクロスから離脱した輝操縦のバルキリーによりミサイルと集中射撃を受けて破壊され、フォールドシステムの暴走で各所が消滅し、機能を喪失する。


マクロス

テレビ版 - 前身は地球に墜落した監察軍の落伍艦。両腕部に攻撃空母プロメテウス強襲揚陸艦ダイダロスを接続する。

劇場版 - 前身は地球に墜落したメルトランディの落伍艦。両腕部に宇宙空母アームド-01、02を接続する。プロメテウスは地球上の干上がった海底に横たわる残骸として登場する。

落伍艦を追いゼントラーディ軍が襲来する点は共通だが、地球人(マイクローン)が修復・運用していると気づくのは、テレビ版が開戦時なのに対し、劇場版は開戦5か月後(映画冒頭)と遅い。



三角関係の構図

テレビ版 - 一条輝とリン・ミンメイは最初は民間人。軍人とアイドル歌手という進路の違いで輝の片想いが消えていく一方、輝は同じ境遇の未沙と近しくなる。またミンメイの従兄カイフンの登場が彼らの関係に大きく影響している。

劇場版 - 輝とミンメイは最初から軍人とアイドル歌手の関係で出会う。ミンメイの方から積極的にアプローチする形で惹かれ合うが、その後ミンメイが生死不明の間に地球で孤立した輝と未沙が愛し合うようになり、ミンメイの生還により明確に三角関係の構図が出来上がる。またカイフンはミンメイの実兄となり、恋愛関係には直接関わることはない。


一条輝の軍人としての経緯

テレビ版 - 輝は最初は民間人(エアスタントレーサー)だったが、マクロス乗艦後にスタントの先輩だったフォッカーの誘いで入隊、彼の部下としてスカル大隊に配属される。その後、戦績によりバーミリオン小隊長に昇格、新人のマックスと柿崎を部下とする。後にフォッカーと柿崎が戦死、輝とマックスがそれぞれ中隊長・小隊長に昇格する。

劇場版 - 輝は物語冒頭より軍人であり、フォッカーとの関係はほぼ同じだが、マックスと柿崎とは同期であり、全員スカル小隊に所属している。小隊長(スカルワン)フォッカーが輝とともにゼントラーディに捕虜とされ行方不明となったため、マックスが小隊長に昇格。マックスの未帰還(メルトランディへの帰化)と柿崎の戦死により、最終決戦では輝がスカルワンとして出撃する(マクロス護衛およびボトルザー打倒任務のための単機出撃であり僚機はいない)。


人類の起源

テレビ版 - 50万年前、地球に立ち寄ったプロトカルチャーの調査船が人類の祖先に遺伝子操作を行った(『マクロス7』制作当時の年表における設定)。

劇場版 - プロトカルチャーが男と女に分かれて戦争となり、都市宇宙船アルティラで地球に逃げ延びた人々が人類の祖先に遺伝子操作を行った。2万年前、この人々はアルティラを海底に隠して地球を離れた。

2003年発売のPS2用ゲーム『超時空要塞マクロス』ではプレイヤーの配属先として空母プロメテウスか宇宙空母アームド-01を選ぶことで、設定の異なるテレビ版と劇場版の2つのコースを体験できる。
幻のシーン

本作は当初1984年8月25日公開予定[28]だったが、先行上映が7月上旬に繰り上がったため制作スケジュールが短縮された(制作期間は実質半年間[29])。また、上映時間の問題もあり、脚本や絵コンテでは予定されていたもののカットされたシーンがいくつかある。

絵コンテでは、本編終了後にエンディングテーマ『天使の絵の具』に乗って終戦後のリン・ミンメイのコンサートシーンが映し出され、主人公たち3人の未来が明示されて終わるはずだったが、作画が見送られ、公開版では暗転した画面にスタッフロールが流れる形式であった。監督の河森は、後になって考えると、このエピローグがあると観客の想像の余地がなくなるとして、カットされて良かった面もあるとしながらも、制作したいという願望を述べていた[30]

公開3年後の1987年、このコンサートシーンを映像化したOVA超時空要塞マクロス Flash Back 2012』が発売された。以後販売されたビデオ、LDDVDソフトはエンディングの前半部分をOVAのコンサートシーン(「天使の絵の具 part1」)に差し替え、タイトルも『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 完全版』に変更している。2007年発売のHDリマスターDVDメモリアルボックスは「劇場公開版」と「完全版」のエンディング違いの2種類のディスクを収納している(劇場公開版は上映時のオリジナル音声を収録)。

他の幻のシーンとしては、最終決戦前のマクシミリアン・ジーナスミリア639の結婚式がある(絵コンテ改稿段階でカット[31])。このシーンは『マクロス7』作中の回想シーンで新たに作画され、原画を美樹本晴彦が担当した。公開当時の雑誌・ムック本にはこれらの絵コンテやコスチュームデザインが掲載されているが、ミンメイのステージ衣装はOVA版よりもシンプルなデザインであった。
劇場版ストーリー

本作のオープニングではSDF-1 マクロスが地球に向けて宇宙航行を続けている理由や、同艦内の市街地で大勢の市民が生活している理由などが説明されていない。河森は、状況説明を省いた理由について「最も見て欲しいところに注目してもらうために、不必要なところを切り捨てた[32]」「意地でも説明ゼリフは入れまい!と思っていた[33]」と述べたが、スタジオぬえの先輩である高千穂遙は「河森がテレビ版『マクロス』を見ていない一般観客を相手にした以上、その賭けは敗れたと見るほかはない[34]」と批評した。

1997年発売のSSPS用ゲーム『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』のオープニングムービーでは、河森による監修のもとでテレビシリーズ第1話から第3話までのエピソードに相当する開戦時の状況が描かれている。この映像は、DVD『マクロス20周年プレミアムコレクション』(2002年)や『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか HDリマスター メモリアルボックス』に収録されている。

2009年2月、SDF-1マクロスの進宙式典が催されていた南アタリア島に、突如ゼントラーディ軍上陸部隊が奇襲を仕掛け、島民はマクロス艦内に避難する。支援のため洋上の空母プロメテウスからバルキリー隊が発進するが、直後に衛星軌道上からのビーム攻撃でプロメテウスが撃沈。母艦を失ったロイ・フォッカー指揮下の一条輝、マクシミリアン・ジーナス柿崎速雄スカル小隊は南アタリア島へ急行する。


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