超時空要塞マクロス_愛・おぼえていますか
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また、当時のセル画表現の最高峰という意見もある[21]

音楽面では本作のサウンドトラックがオリコンチャート最高9位、主題歌『愛・おぼえていますか』が同チャート最高7位を獲得。飯島はTBS系『ザ・ベストテン』、日本テレビ系『ザ・トップテン』などの人気歌番組にランクインして出演した。

セルビデオは1984年のオリコンビデオチャートで、マイケル・ジャクソンの『スリラー』(輸入版)や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を抑えて年間1位を記録した[22]

アメリカ合衆国で放送された『ロボテック』は日本製アニメ人気の火付け役となったが、ファンは『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』『機甲創世記モスピーダ』という別々の原作があることを知らなかった[23]。日本から輸入された雑誌に出ているミンメイがテレビシリーズとは違う服を着ていることを疑問に思い、それがきっかけで『マクロス』の映画の存在を知ったという[23]

2019年にNHK BSプレミアムで放送された『発表!全マクロス大投票』では、視聴者投票により作品部門第2位に選ばれた[24]。集計データにおいて男女比は男性89%、女性11%。年代別では40歳代が59.8%、50歳代が23.1%を占める結果になった[25]
あらすじ

50万周期にわたり大宇宙で抗争を続ける巨人族の二大勢力、男のゼントラーディと女のメルトランディ。西暦2009年、その戦火は地球にも及び、ゼントラーディ艦隊の奇襲を受けた地球統合軍の巨大宇宙戦艦マクロスフォールド超空間跳躍)による脱出を試みるも、動力不調から太陽系外周部へ飛び出すこととなる。地球を離れる際に避難した5万8千人の民間人は、広大な艦内に市街地を建設して生活を営み始める。地球への自力帰還をめざす航海の5か月目、土星の衛星タイタン宙域から物語は始まる。

マクロス艦内でデビューした人気歌手リン・ミンメイのコンサート当日、ゼントラーディ軍ブリタイ艦隊の追撃部隊が襲来する。可変戦闘機バルキリー隊のパイロット一条輝は市街地に侵入した敵機を追いながら、戦闘に巻き込まれたミンメイを救助する。ふたりは艦内閉鎖区画に閉じこめられ、輝は憧れのアイドルと親しくなるが、芸能マスコミにスクープされ、厳格な上官早瀬未沙から独断行動を咎められる。それでも輝はミンメイのお忍びデートに付き合い、芸能生活に疲れた彼女を元気づけるため、バルキリーの複座練習機に乗せ土星の輪の遊覧飛行に連れ出す。しかし、ゼントラーディ軍の追手に捕まり、連れ戻しに来た未沙らともどもゼントラーディ艦に収容にされる。彼らは捕虜尋問のなかで、ブリタイら巨人が地球人のありふれた生活習慣に驚き、特に男女の愛情表現(キス)に衝撃を受けるということに気付く。

輝と未沙は敵艦からバルキリーで脱出するがフォールドから弾き出され、マクロスより先に地球にたどり着く。マクロスの出航後、ゼントラーディ軍の爆撃で地上は焦土と化し、生命は死に絶えていた。軍人としての使命を失い気落ちする未沙と、彼女の前であえて気丈にふるまう輝。荒廃した地球を1か月間放浪するうちに、ふたりは寂しさを分かち合い、互いに愛しあうようになる。

輝と未沙は海上に出現した巨大宇宙移民船の廃墟を調査し、先史銀河文明プロトカルチャーの情報を得る。太古の時代に単体生殖技術が進んだ結果、男と女のプロトカルチャーが争い始め、ふたつの巨人戦闘種族が生み出されたこと。争いを望まず戦火から逃れた男女のプロトカルチャーが地球に立ち寄り、地球人の祖先に遺伝子操作を施したあと、この移民船を遺してまた去っていったことなど。暮らしの跡が残る居住区で、未沙はプロトカルチャー文字の"詞"が刻まれたメモリープレートを発見する。

一方、ミンメイはゼントラーディ基幹艦隊司令ゴル・ボドルザーのもとへ連行される。ミンメイの歌声を聴いたボドルザーは巨人たちが失った「文化」を地球人が持っていることを悟り、一時的にマクロスと休戦。保存していたプロトカルチャーのメモリープレートに刻まれていた"曲"をミンメイに歌わせ、カルチャーショックでメルトランディを屈服させようと企む。

地球に帰還したマクロス艦内で、輝と未沙はミンメイと再会を果たす。輝への愛を自覚していたミンメイは、生き別れになっていた間に結ばれた輝と未沙にショックを受け、ふたりの前から行方をくらます。おりしも、メルトランディのモルク・ラプラミズ司令もプロトカルチャーの文化を得んと、大艦隊を率いて地球周辺宙域に出現。ボドルザーは歌が未完成なことを知ると、休戦協定を破り、マクロスとメルトランディへの総攻撃を指示する。ゼントラーディ対メルトランディの艦隊決戦の火ぶたが切られ、ボドルザー旗艦から放たれた主砲の直撃でラプラミズは消滅する。

輝はミンメイを見つけ出し、未沙がメモリープレートから解読した歌詞を歌ってほしいと頼む。ミンメイは失恋に傷つきながらも、歌手としての誇りを胸に歌詞を受けとり、マクロス艦橋に用意されたステージに立つ。ミンメイが歌う『愛・おぼえていますか』が戦場に響き渡ると、男と女の巨人たちは秘めたるカールチューン(文化因子)を呼び起こされ、混乱に陥る。そして「ボドルザーを倒し、再び文化を取り戻すのだ」というブリタイの呼びかけに団結する。マクロスは両軍の援護を受けながらボドルザー旗艦内部へ侵入。輝はバルキリーを駆って旗艦中枢へ単機突入し、ボドルザーにとどめを刺す。「大昔に流行した当たり前のラブソング」が時空を超えて平和をもたらし、ミンメイと未沙は互いに顔を見合わせ笑顔を交わす。
補足
「マクロスシリーズ」中の位置付け

映画予告編のナレーションでは「主演、リン・ミンメイ」「早瀬未沙、ゆれる女心を演じます」などアニメ世界内の映画(劇中劇)を思わせる演出がなされている。1990年代以降に製作された『マクロス7』などの続編作品内では、『愛・おぼえていますか』は「ゼントラーディ軍との第一次星間大戦(2009年 - 2010年)の戦勝20周年を記念して、2031年に公開された歴史映画」と位置付けられるようになった。これとは別に『超時空要塞マクロス』はシリーズドラマとしてテレビ放送されたもの[注 5]で、演出により描き方は異なるものの、両作品とも史実を題材にした物語であると説明されている。

『愛・おぼえていますか』が映画化された2031年当時は、宇宙移民により人類の生活圏が銀河系全域に拡大した反面、植民惑星間の紛争やゼントラーディ人の武装蜂起が深刻化しつつあった。そのため撮影に全面協力した統合政府の意向で、先人が果たした「異星間交流」の意義を広く再認識させたいというプロパガンダの意味合いも含まれている。公開後大ヒットした本作のメッセージは、14年後の2045年代を舞台とする『マクロス7』の登場人物の生き方にも影響を与え、ロックバンドFire Bomberの活動に関係することになる。
テレビ版と劇場版の違い

河森監督は両作品の特徴について、テレビ版は「ドキュメンタリースタイルなのでわりと日常的に作られていて、史実にやや近いという想定」、劇場版は「2時間でコンパクトにまとめなくちゃいけないのでドラマ的な編集がなされているという設定」と答えている[26]。また、劇場版の「劇場」には映画館での公開だけでなく、「舞台劇」という意味も込められているという[27]。「巨大異星人同士の抗争に巻き込まれた人類(マクロス)」という骨格はテレビ版と変わらないが、2時間の映画にまとめあげる上で設定の大部分にアレンジが施されている。
相違点

巨大異星人とその抗争図

テレビ版 -
ゼントラーディ軍監察軍の争い。ゼントラーディ軍は男女混合軍だが、規律上部隊は別編成となっており、ラプラミズはボドルザー直衛部隊の指揮官で、クァドラン・ローはゼントラーディ軍女性兵用の機動兵器。

劇場版 - ゼントラーディ(男性種族)対メルトランディ(女性種族)の争い。クァドラン・ローはメルトランディの機動兵器。ゼントラーディ、メルトランディともキャラクター名がコードネーム(製造番号)付きになった(例:ミリア・ファリーナ→ミリア639)。この設定変更に伴い、ゼントラーディは有機的な曲面主体のグリーン系に、メルトランディは無機的な直線主体のパープル系にまとめられている。


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