超時空要塞マクロス_愛・おぼえていますか
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作中のシーンに合わせて、ミンメイ役の歌手飯島真理が歌う劇中歌を配置している。加藤和彦安井かずみ夫妻が提供した主題歌『愛・おぼえていますか』は、劇中においてもクライマックスの大戦闘を終結に導くキーナンバーとされた。
反響・評価

日本のアニメ界において、1984年は本作や『風の谷のナウシカ』『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』が公開された劇場用アニメの当たり年といわれる。第7回アニメグランプリ(読者投票)[注 3]では、1位ナウシカ、2位マクロス、3位うる星やつら2とグランプリ上位3作品を劇場作が占めた。

劇場公開後、手法の解説を要望された河森は「『マクロス』では、スタッフに恵まれていたから、そういう挑戦が可能だったんですよ。」と時代精神の反映的所産である事を強調している[17][18]。現在のテレビアニメというのは、登場人物があまりに抽象化記号化されていると思います。人物の感情を「説明」はしていても「表現」はしていない。だからこそ、今回はニュアンスまで含めた感情表現をしてみようと思ったともいえます。 ? 「アニメーション映画の地平線」 河森正治インタビュー[19]

本作の版権イラストのような高密度作画[12][注 4]、スピード感溢れるアクションは、後に日本製アニメの特徴となる「ハイクオリティ主義」に影響を与えたと指摘される[12]。また、当時のセル画表現の最高峰という意見もある[21]

音楽面では本作のサウンドトラックがオリコンチャート最高9位、主題歌『愛・おぼえていますか』が同チャート最高7位を獲得。飯島はTBS系『ザ・ベストテン』、日本テレビ系『ザ・トップテン』などの人気歌番組にランクインして出演した。

セルビデオは1984年のオリコンビデオチャートで、マイケル・ジャクソンの『スリラー』(輸入版)や『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を抑えて年間1位を記録した[22]

アメリカ合衆国で放送された『ロボテック』は日本製アニメ人気の火付け役となったが、ファンは『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』『機甲創世記モスピーダ』という別々の原作があることを知らなかった[23]。日本から輸入された雑誌に出ているミンメイがテレビシリーズとは違う服を着ていることを疑問に思い、それがきっかけで『マクロス』の映画の存在を知ったという[23]

2019年にNHK BSプレミアムで放送された『発表!全マクロス大投票』では、視聴者投票により作品部門第2位に選ばれた[24]。集計データにおいて男女比は男性89%、女性11%。年代別では40歳代が59.8%、50歳代が23.1%を占める結果になった[25]
あらすじ

50万周期にわたり大宇宙で抗争を続ける巨人族の二大勢力、男のゼントラーディと女のメルトランディ。西暦2009年、その戦火は地球にも及び、ゼントラーディ艦隊の奇襲を受けた地球統合軍の巨大宇宙戦艦マクロスフォールド超空間跳躍)による脱出を試みるも、動力不調から太陽系外周部へ飛び出すこととなる。地球を離れる際に避難した5万8千人の民間人は、広大な艦内に市街地を建設して生活を営み始める。地球への自力帰還をめざす航海の5か月目、土星の衛星タイタン宙域から物語は始まる。

マクロス艦内でデビューした人気歌手リン・ミンメイのコンサート当日、ゼントラーディ軍ブリタイ艦隊の追撃部隊が襲来する。可変戦闘機バルキリー隊のパイロット一条輝は市街地に侵入した敵機を追いながら、戦闘に巻き込まれたミンメイを救助する。ふたりは艦内閉鎖区画に閉じこめられ、輝は憧れのアイドルと親しくなるが、芸能マスコミにスクープされ、厳格な上官早瀬未沙から独断行動を咎められる。それでも輝はミンメイのお忍びデートに付き合い、芸能生活に疲れた彼女を元気づけるため、バルキリーの複座練習機に乗せ土星の輪の遊覧飛行に連れ出す。しかし、ゼントラーディ軍の追手に捕まり、連れ戻しに来た未沙らともどもゼントラーディ艦に収容にされる。彼らは捕虜尋問のなかで、ブリタイら巨人が地球人のありふれた生活習慣に驚き、特に男女の愛情表現(キス)に衝撃を受けるということに気付く。

輝と未沙は敵艦からバルキリーで脱出するがフォールドから弾き出され、マクロスより先に地球にたどり着く。マクロスの出航後、ゼントラーディ軍の爆撃で地上は焦土と化し、生命は死に絶えていた。軍人としての使命を失い気落ちする未沙と、彼女の前であえて気丈にふるまう輝。荒廃した地球を1か月間放浪するうちに、ふたりは寂しさを分かち合い、互いに愛しあうようになる。

輝と未沙は海上に出現した巨大宇宙移民船の廃墟を調査し、先史銀河文明プロトカルチャーの情報を得る。太古の時代に単体生殖技術が進んだ結果、男と女のプロトカルチャーが争い始め、ふたつの巨人戦闘種族が生み出されたこと。争いを望まず戦火から逃れた男女のプロトカルチャーが地球に立ち寄り、地球人の祖先に遺伝子操作を施したあと、この移民船を遺してまた去っていったことなど。暮らしの跡が残る居住区で、未沙はプロトカルチャー文字の"詞"が刻まれたメモリープレートを発見する。

一方、ミンメイはゼントラーディ基幹艦隊司令ゴル・ボドルザーのもとへ連行される。ミンメイの歌声を聴いたボドルザーは巨人たちが失った「文化」を地球人が持っていることを悟り、一時的にマクロスと休戦。保存していたプロトカルチャーのメモリープレートに刻まれていた"曲"をミンメイに歌わせ、カルチャーショックでメルトランディを屈服させようと企む。

地球に帰還したマクロス艦内で、輝と未沙はミンメイと再会を果たす。輝への愛を自覚していたミンメイは、生き別れになっていた間に結ばれた輝と未沙にショックを受け、ふたりの前から行方をくらます。おりしも、メルトランディのモルク・ラプラミズ司令もプロトカルチャーの文化を得んと、大艦隊を率いて地球周辺宙域に出現。ボドルザーは歌が未完成なことを知ると、休戦協定を破り、マクロスとメルトランディへの総攻撃を指示する。ゼントラーディ対メルトランディの艦隊決戦の火ぶたが切られ、ボドルザー旗艦から放たれた主砲の直撃でラプラミズは消滅する。

輝はミンメイを見つけ出し、未沙がメモリープレートから解読した歌詞を歌ってほしいと頼む。ミンメイは失恋に傷つきながらも、歌手としての誇りを胸に歌詞を受けとり、マクロス艦橋に用意されたステージに立つ。ミンメイが歌う『愛・おぼえていますか』が戦場に響き渡ると、男と女の巨人たちは秘めたるカールチューン(文化因子)を呼び起こされ、混乱に陥る。そして「ボドルザーを倒し、再び文化を取り戻すのだ」というブリタイの呼びかけに団結する。マクロスは両軍の援護を受けながらボドルザー旗艦内部へ侵入。輝はバルキリーを駆って旗艦中枢へ単機突入し、ボドルザーにとどめを刺す。「大昔に流行した当たり前のラブソング」が時空を超えて平和をもたらし、ミンメイと未沙は互いに顔を見合わせ笑顔を交わす。
補足
「マクロスシリーズ」中の位置付け


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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